(No.240)

エボラ対応のロードマップ関する状況報告15 平成26年11月26日更新

 2014年11月26日、WHO(世界保健機関)は、エボラ対応のロードマップに関する状況報告を更新しました。
 11月23日の時点で、合計15,935人のエボラウイルス疾患(EVD)の確定例、可能性例、疑い例が、感染を受けた6か国(ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)と過去に感染を受けた2か国(ナイジェリア、セネガル)から報告されています。死亡者は5,689人です。今回の流行において、症例数と死亡者数は過小報告され続けています。報告された症例数の発生割合は、ギニアは安定(11月23日の週に新たな確定例148人が報告)、リベリアは安定もしくは減少(同期間に新たな確定例67人が報告)、そして、シエラレオネは現在も増加(同時期に新たな確定例385人が報告)しています。シエラレオネでの流行開始以来の累計報告数は、まもなくリベリアの報告数を上回る見込みです。最も感染伝播が継続している3か国全体における致死率は約60%です。11月23日の週に、ギニアで医療従事者3人の感染が報告されました。
 ロードマップの体系に沿って、国別の報告は3つのカテゴリーに分類されます。1つは、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、1つは、初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国(マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)、もう1つは、これらの国々と隣接もしくは感染伝播が活発な地域と強い貿易関係にある国です。また、西アフリカにおけるEVDの流行とは関連のない、別のEVDの流行が発生していたコンゴ民主共和国は、終息が宣言されています。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
 現在、合計15,901人のEVDの確定例、可能性例、疑い例と死亡者5,674人が、11月23日の終わりにギニア保健省とシエラレオネ保健省から、11月22日にリベリア保健省から報告されています(表1参照)。このデータは、WHOの各国事務局から報告されたものです。

表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数

国名

症例定義

症例数

21日以内の

症例数

死亡者数

ギニア

確定

1,850

374

1,050

可能性

210

未報告

210

疑い

74

未報告

0

国別総数

2,134

374

1,260

リベリ

確定

2,727

319

未確定

可能性

1,754

未報告

未確定

疑い

2,687

未報告

未確定

国別総数

7,168

319

3,016

シエラレオネ

確定

5,441

1,339

1,189

可能性

79

5

174

疑い

1,079

未報告

35

国別総数

6,599

1,339

1,398

15,901

2,032

5,674


※表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
  図1:ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD症例の地理的分布

※図1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。この地図に示された境界線や名前、使用された記号については、いかなる意味においてもWHOの見解を示すものではありません。これはすべての国、領域、都市、地域 の法的立場、またそれぞれの当局の法的立場を考慮してのことです。地図上の点線や破線は、現在完全な合意が得られていない可能性がある部分のおよその境界を示しています。

 11月23日の時点で、合計592人の医療従事者がEVDに感染したことが確認されており、このうち340人が死亡しました(表2参照)。この数は、マリ2人(うち1人死亡)、ナイジェリア11人、スペインでエボラ陽性患者治療の過程で感染した1人、アメリカ合衆国3人(うち2人が国内で感染、1人はギニアで感染)が含まれています。

表2. ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数

国名

症例数

死亡者数

ギニア

97

56

リベリア

342

172

シエラレオネ

136

105

総数

575

333

※表2のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。

2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
 現在、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の5か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国から入国してきた患者が報告されています(表3参照)。
 マリでは、6人の死亡者(確定例5人、可能性例1人)を含む合計8人の患者(確定例7人、可能性例1人)が報告されました。直近の患者は、マリの首都バマコからの報告であり、10月24日に死亡した初発患者との関連はありません。初発患者との接触者は、全員が21日間の健康監視を終了しました。11月23日の時点で、バマコでの発生に関連した接触者の288人中285人が健康監視されています。
 スペインでは、マドリッドで患者の治療中に感染した医療従事者は、2度のEVD陰性が確認され、退院してから36日が経過しました。42日(EVDの潜伏期間21日の2倍)が経過すると終息が宣言されます。この医療従事者の接触者83人は、すでに21日間の健康監視を終了しています。
 アメリカ合衆国では、1人の死亡を含む4人のEVD患者が報告されました。ニューヨークの医療従事者1人、テキサスの医療従事者2人は、2度のEVD陰性が確認され、すでに退院しています。この国におけるすべての接触者は、21日間の健康監視を終了しました。
 ナイジェリアでは、20人の患者が発生し、8人が死亡しました。セネガルでは、1人の患者が発生、死亡は無しです。しかしながら、両国は対策の成功により、セネガルは10月17日に、ナイジェリアは10月19日にEVD流行の終息が宣言されました。
表3.マリ、スペイン、アメリカ合衆国におけるEVD症例数と死亡者数

国名

確定例

可能性例

疑い例

死亡者数

医療従事者の割合

健康監視中の接触者数

マリ

7

1

0

6

25

288

スペイン

1

0

0

0

100

0

アメリカ合衆国

4

0

0

1

75

0


※ 表3のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。