(No.37)

中国における鳥インフルエンザA(H7N9)について(109)
2015年3月11日更新

 2015年3月9日、中国の国家衛生家族計画(出産)委員会(NHFPC)は、2015年1月21日から2月25日の間に鳥インフルエンザA(H7N9)の人感染確定例59人が発生したことを世界保健機関(WHO)に報告しました。うち17人は死亡しています。以下は59人が発生した週の一覧です。
  第4週(1月19日~25日) 5人
  第5週(1月26日~2月1日)13人
  第6週(2月2日~8日) 9人
  第7週(2月9日~15日)15人
  第8週(2月16日~22日)14人
  第9週(2月24日~25日)3人
 59人のうち44人(75%)は男性です。殆どの症例(49人、83%)で生きた家禽や市場での曝露歴があります。6人については曝露歴が不明です。3つの家族内発生があり、それぞれ2人ずつ発生を認めています。その6人のうち、4人が生きた家禽や、市場で鳥との曝露があり、1人は曝露歴がなく、1人は調査中です。
 9つの行政区からの報告数は以下の通りです:
 安徽省4人、福建省1人、広東省35人、貴州省1人、湖南省2人、江蘇省3人、
 江西省1人、上海1人、浙江省11人

 中国政府は、以下のようなサーベイランスと対策を実施しています。
  * サーベイランス及び状況分析の強化
  * 患者管理と治療の再強化
  * 生きた家禽市場での感染防止や、感染の起こった市場の閉鎖、屠畜、凍結などの処理の集約化
  * 市民への情報提供

 WHOは、中国と緊密な協力のもと、疫学的状況の監視と、さらなる最新の情報に基づくリスク評価を管理しています。
 鳥インフルエンザA(H7N9)の散発感染例は、流行した近隣の地域でさらに起こりうると考えられます。流行地域から海外へ渡航する場合、渡航中もしくは到着後に感染が発覚(検出)するかもしれません。もし以上のことが起こったとしても、ウイルスがヒト-ヒト間で容易に伝播する能力を有していないと見られるため、コミュニティ・レベルでの拡散(拡がり)は起こりそうにないと考えられます。
  WHOは鳥インフルエンザが発生している地域への渡航者に対しては家禽農場への訪問や、生きた家禽市場での曝露、屠畜場に足を踏み入れること、鳥や他の動物の排泄物で汚染された所を触ることなどを避けるように忠告しています。
  WHOは入国の時点でこれに関連して特にスクリーニングを実施したり、渡航、交易を制限したりすることを勧めてはいません。発生地域を旅行中あるいは帰国後すぐに急性の重篤な呼吸器症状を呈した場合には、鳥インフルエンザへの罹患を考慮すべきであるとしています。

 【出典】
  WHO, Global Alert and Response (GAR).
  Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – China, 11 March 2015
  http://www.who.int/csr/don/11-march-2015-avian-influenza-china/en/