(No.38)

ナイジェリアにおける髄膜炎菌性疾患
2015年3月13日更新

 2015年1月26日~3月5日の間に、ナイジェリア疾病管理センター(NCDC)は、50人の死者を含む652人の髄膜炎菌性疾患疑いの患者をWHO(世界保健機関)に報告しました。患者は、ケビ州とソコト州の10県で報告されています。検査の結果、髄膜炎菌の血清群C 群の優位性が確認されており、他の血清群は同定されませんでした。
 ザムファラ州で最近、髄膜炎菌性疾患疑い患者の発生はありましたが、流行はまだ確認されていません。

公衆衛生対策
 国家専門委員会が、流行対策のために立ち上げられました。WHOは、国境なき医師団、UNICEFなどのパートナーと共に、状況の詳細な調査やナイジェリア政府に対してのワクチンキャンペーン、その他の緊急対策のサポートを実施しています。流行性髄膜炎制御ワクチン備蓄国際協調グループ(ICG)は、204,850回分のワクチンを供給しています。GAVIアライアンス(GAVI:ワクチンと予防接種のための世界同盟/The Global Alliance for Vaccines and Immunizationより改称)は、流行に備えて5,000バイアルの抗生剤を準備しています。患者治療と社会的動員についても実行中です。

背景
 脳脊髄髄膜炎は、いくつかの微生物の感染によって引き起こされる細菌性疾患です。このうち、髄膜炎菌(N.meningitidis)は、細菌性髄膜炎の最も一般的な原因となっています。この疾患は非常に感染力が強く、多くのアフリカ諸国で季節性の流行があります。多価ワクチン(MenAfrivac)の導入により、もっとも流行している血清群A群の流行は有意に抑えられています。2011年から2014年まで、ナイジェリア政府はケビ州も含めて発生頻度の高い州でA群に対するワクチンの大規模キャンペーンを実施しました。しかし、他の血清群の髄膜炎菌に罹患する危険性は残っており、今回のようなC群の流行が発生しています。本疾患は、抗生剤で治療可能であり、ワクチンで予防可能な疾患です。

WHOの勧告
 WHOは、今回の流行に関していかなる渡航や交易の制限も推奨していません。

 【出典】
  WHO, Global Alert and Response (GAR).
  Meningococcal disease - Nigeria, 13 March 2015
  http://www.who.int/csr/don/13-march-2015-nigeria/en/