エボラ出血熱の流行状況42 平成27年6月3日更新
2015年6月3日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 過去10か月間で最低数であった9人のEVD症例(ギニアの2県とシエラレオネの1地区)が報告された
5月10日末の週から、EVD感染伝播の強さと地理的広がりは増加しました。5月31日末の週にギニアの
4県とシエラレオネの3つの地区から、25人のEVD確定例が報告されました。
ギニアとシエラレオネでの数例は、数週間確定例が報告されなかった地域で発生し感染源が不明で
あり、感染連鎖の原因が未検出のまま継続していることを示しています。厳格な接触者追跡、活発な
症例探索と感染症防御と管理は、感染伝播のあらゆる連鎖を発見してこれを手断ち切るために、現在の
集約したレベルを維持しなければなりません。しかし、これから雨季となるため、前線での現場活動は
難しくなります。
・ 5月31日末の週にギニアの4つの県から合計13人の確定例が報告されました。シエラレオネと国境を
接するフォレカリア県からが最も多く7人でした。複数の感染連鎖はフォレカリア県の10の地区の
うちの4つで起こりました。しかし、すべての症例は、以前の登録された症例との接触者であり、
確立した疫学的関連がありました。残りの症例はギニア-ビサウと国境を接しているボケの北西部の
県から1人、首都コナクリと隣接しているドゥブレカの西海岸の県から1人報告され、フリアの西内陸部
から1人報告されました。
・ 前週、現地スタッフに向けられたいくつかの暴力事件が報告され、コミュニティの関わりは、
ギニアの4つの影響を受けたすべての県で難しいとわかりました。
これに加えて、13の全国的に報告された症例のうち4人は、コミュニティでの死後の検査のみで
発見されました。コミュニティで死亡した4人のうち、2人は登録された接触者であり、接触者を
追跡できる場合においても、発症直後に迅速な検査と治療を確実に受けるための系統立った監視体制が
まだ困難であることが示唆されました
・ 5月31日までの週でシエラレオネからは3つの地区から合計12人の確定症例が報告されました。
症例のほとんどはポートロコから8人、ちょうど首都フリータウンの北にあるカフフブロム首長支配
地域の住宅密集地域から報告されました。
症例のうち一人以外はすべて、その首長支配地域の隔離された家での登録された症例との接触者でした。
更なる症例は同じ近隣からですが、接触者リストにはなく、発症した時は隔離されていない家に住んで
いました。
カンビア地区は5月31日までの2週以上の間最初の症例を報告しました。症例はコミュニティでの
死亡後に検査され感染が確認され、既知の症例との接触者ではありませんでした。残りの3人の
症例は、首都フリータウンから報告されました。このとき、調査は初期であったにもかかわらず、
3症例のいずれも感染伝播において既知症例との関連はありません。
・ 5月31日には合計1880人が接触者との関連が報告され、ギニア6県(ボケ、コナクリ、ドゥブレカ、
フォレカリア、フリア、キンディア)で経過観察となっています。シエラレオネでは合計461人が
3県(カンビア、ポートロコ、首都フリータウンを含む西部地区)が接触者として経過観察中です。
・ ギニアビサウから2つの対応チームがいくつかの入国地点とコミュニティの感度を上げるために
ギニアとの国境に配備されました。
・ ギニアとシエラレオネの医療従事者はそれぞれ4月6日と5月14日に報告されました。ギニア、
リベリア、シエラレオネで流行が発生してから合計869人の医療従事者の感染が報告され、507人が
死亡しています。
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を併せて27,145人の
EVD患者が発生しており、11,147人が死亡(ほとんどが死亡原因は不明であり、可能性例や疑い例も
含みます)しています。5月31日までの7日間にギニアで新規患者は13人、シエラレオネでは12人が
報告されました。(表1)リベリアは5月9日に終息が宣言されています。
・ 確定例の男女比はほぼ同じです。14歳以下の小児と比べると15歳~44歳の成人の患者数はおよそ
3~4倍となっています。45歳以上の成人は小児と比べると4~5倍になっています。(表2)
・ 医療従事者の感染者数は流行3か国で合計869人となっており、うち507人が死亡しています。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
* 最後の確定例が埋葬されて42日が経過した後に、リベリアの流行は終息が宣言されました。現在、3か
月の高警戒期間に入っています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 3 June 2015
http://apps.who.int/ebola/en/current-situation/ebola-situation-report-3-june-2015
要約
・ 過去10か月間で最低数であった9人のEVD症例(ギニアの2県とシエラレオネの1地区)が報告された
5月10日末の週から、EVD感染伝播の強さと地理的広がりは増加しました。5月31日末の週にギニアの
4県とシエラレオネの3つの地区から、25人のEVD確定例が報告されました。
ギニアとシエラレオネでの数例は、数週間確定例が報告されなかった地域で発生し感染源が不明で
あり、感染連鎖の原因が未検出のまま継続していることを示しています。厳格な接触者追跡、活発な
症例探索と感染症防御と管理は、感染伝播のあらゆる連鎖を発見してこれを手断ち切るために、現在の
集約したレベルを維持しなければなりません。しかし、これから雨季となるため、前線での現場活動は
難しくなります。
・ 5月31日末の週にギニアの4つの県から合計13人の確定例が報告されました。シエラレオネと国境を
接するフォレカリア県からが最も多く7人でした。複数の感染連鎖はフォレカリア県の10の地区の
うちの4つで起こりました。しかし、すべての症例は、以前の登録された症例との接触者であり、
確立した疫学的関連がありました。残りの症例はギニア-ビサウと国境を接しているボケの北西部の
県から1人、首都コナクリと隣接しているドゥブレカの西海岸の県から1人報告され、フリアの西内陸部
から1人報告されました。
・ 前週、現地スタッフに向けられたいくつかの暴力事件が報告され、コミュニティの関わりは、
ギニアの4つの影響を受けたすべての県で難しいとわかりました。
これに加えて、13の全国的に報告された症例のうち4人は、コミュニティでの死後の検査のみで
発見されました。コミュニティで死亡した4人のうち、2人は登録された接触者であり、接触者を
追跡できる場合においても、発症直後に迅速な検査と治療を確実に受けるための系統立った監視体制が
まだ困難であることが示唆されました
・ 5月31日までの週でシエラレオネからは3つの地区から合計12人の確定症例が報告されました。
症例のほとんどはポートロコから8人、ちょうど首都フリータウンの北にあるカフフブロム首長支配
地域の住宅密集地域から報告されました。
症例のうち一人以外はすべて、その首長支配地域の隔離された家での登録された症例との接触者でした。
更なる症例は同じ近隣からですが、接触者リストにはなく、発症した時は隔離されていない家に住んで
いました。
カンビア地区は5月31日までの2週以上の間最初の症例を報告しました。症例はコミュニティでの
死亡後に検査され感染が確認され、既知の症例との接触者ではありませんでした。残りの3人の
症例は、首都フリータウンから報告されました。このとき、調査は初期であったにもかかわらず、
3症例のいずれも感染伝播において既知症例との関連はありません。
・ 5月31日には合計1880人が接触者との関連が報告され、ギニア6県(ボケ、コナクリ、ドゥブレカ、
フォレカリア、フリア、キンディア)で経過観察となっています。シエラレオネでは合計461人が
3県(カンビア、ポートロコ、首都フリータウンを含む西部地区)が接触者として経過観察中です。
・ ギニアビサウから2つの対応チームがいくつかの入国地点とコミュニティの感度を上げるために
ギニアとの国境に配備されました。
・ ギニアとシエラレオネの医療従事者はそれぞれ4月6日と5月14日に報告されました。ギニア、
リベリア、シエラレオネで流行が発生してから合計869人の医療従事者の感染が報告され、507人が
死亡しています。
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を併せて27,145人の
EVD患者が発生しており、11,147人が死亡(ほとんどが死亡原因は不明であり、可能性例や疑い例も
含みます)しています。5月31日までの7日間にギニアで新規患者は13人、シエラレオネでは12人が
報告されました。(表1)リベリアは5月9日に終息が宣言されています。
・ 確定例の男女比はほぼ同じです。14歳以下の小児と比べると15歳~44歳の成人の患者数はおよそ
3~4倍となっています。45歳以上の成人は小児と比べると4~5倍になっています。(表2)
・ 医療従事者の感染者数は流行3か国で合計869人となっており、うち507人が死亡しています。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,223 |
49 |
2,010 |
可能性例 |
419 |
未報告 |
419 |
|
疑い例 |
10 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,652 |
49 |
2,429 |
|
リベリア* |
確定例 |
3,151 |
0 |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
0 |
4,806 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,620 |
23 |
3,546 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
3,920 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
12,827 |
23 |
3,912 |
|
総数 |
確定例 |
14,994 |
72 |
データなし |
可能性例 |
2,585 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
9,566 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
27,145 |
72 |
11,147 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
* 最後の確定例が埋葬されて42日が経過した後に、リベリアの流行は終息が宣言されました。現在、3か
月の高警戒期間に入っています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,549 |
1,669 |
500 |
1,841 |
832 |
(28) |
(31) |
(11) |
(40) |
(53) |
|
リベリア |
1,911 |
1,838 |
561 |
2,060 |
703 |
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(132) |
|
シエラレオネ |
4,641 |
4,948 |
1,904 |
5,454 |
2,062 |
(163) |
(171) |
(79) |
(211) |
(279) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 3 June 2015
http://apps.who.int/ebola/en/current-situation/ebola-situation-report-3-june-2015