エボラ出血熱の流行状況(55)
平成27年9月2日更新
2015年9月2日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
1. 8月30日までの1週間に合計3人(ギニア2人、シエラレオネ1人)のEVD確定例が報告されました。
シエラレオネでの症例は2週間以上ぶりです。全体的な患者発生は、5週間連続して1週に3人と安定
しています。加えて健康監視下にある接触者の数は8月23日には約600人でしたが8月30日には
約450人と減少し続けています。そのほとんどである400人以上がギニアにいます。シエラレオネで
経過観察中の48人全員はカンビア(ギニアとの国境)の西部地区から報告された最新の症例と関連
しています。救急対応チームは、さらなる限局した感染伝播の可能性があるため地域に配置されました。
今週ギニアから報告された2症例は、首都コナクリ内とその近傍で発症しました。そのうち1例は、
長い間コミュニティで症状が続いていました。隔離されたリスクの高い症例が結果として短期に
患者発生率を増加させる危険性は残っています。救急対応チームはそのような症例に対処するために
警戒態勢をとっています。
2. 8月30日の週にギニアから報告された2例は首都コナクリのラトマ地区の近くで発生しました。
1例目は9ヶ月の女児で登録された接触者ではありませんでした。彼女は家族と首都コナクリの
ラトマ地区へ来るまでにコナクリの郊外であるドゥブレカで発症し、エボラ治療センターに入院する前に
死亡しました。2例目は56歳男性で8月18日にラトマから報告された症例との接触者として登録されて
いました。8月30日ギニアで経過観察中の410人の接触者のうち、コナクリが289人、ドゥブレカが26人、
フォレカリアが95人でした。前週の600人の接触者は4つの西部の県(コナクリ、コヤ、ドゥブレカ、
フォレカリア)にわたっていました。
3. リベリアからは8月30日の週に新規報告例はありません。リベリアでは全ての接触者が現在21日の
経過観察期間を終了しました。リベリアでの最後の患者2人は治療を終え退院し7月23日に2回目のEVDの
検査で陰性でした。8月30日の週に約800検体のEVD検査を行いサーベイランスの強化を継続しています。
4. シエラレオネでは１例の新規症例が8月30日の週に報告されました。この国では2週間以上新規症例は
報告されていませんでした。症例は60歳代の女性で死後の検査でEVD陽性と判明しました。彼女は
カンビアの首長地域であるトンコリンバのセラ・カフタという村で発症し死亡するまでそこで治療を
受けました。カンビアはギニアのフォレカリア県と国境を接しており、48日間新規患者の報告は
ありませんでした。救急対応チームは速やかにその地域に派遣されました。8月30日に合計48人の
接触者が確認されました。感染源は調査中です。VSV-EBOVワクチンの第3相試験の有効性がギニアから
シエラレオネで拡がっています。接触者とカンビアで診断された症例と関連した接触者がワクチン接種を
受けられるでしょう。シエラレオネでの感染の他の連鎖に関わる全ての接触者が監視下にあります。
5. 8月30日の週には医療従事者の新規感染例は報告されていません。流行が始まって以降医療従事者の
感染者数は流行3か国で合計881人であり、うち513人が死亡しています。
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
6. ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて28,073人の
EVD患者が発生しており、11,290人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の
高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています(表1)。8月30日の週に、
ギニアで2人、シエラレオネで1人の新たな確定例が報告されました。
7. 診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15～44歳の成人は
ギニアとリベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。
8. 8月30日の週には医療従事者の新規感染例は報告されていません。流行が始まって以降医療従事者の
感染者数は流行3か国で合計881人であり、うち513人が死亡しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
1. 8月30日までの1週間に合計3人(ギニア2人、シエラレオネ1人)のEVD確定例が報告されました。
シエラレオネでの症例は2週間以上ぶりです。全体的な患者発生は、5週間連続して1週に3人と安定
しています。加えて健康監視下にある接触者の数は8月23日には約600人でしたが8月30日には
約450人と減少し続けています。そのほとんどである400人以上がギニアにいます。シエラレオネで
経過観察中の48人全員はカンビア(ギニアとの国境)の西部地区から報告された最新の症例と関連
しています。救急対応チームは、さらなる限局した感染伝播の可能性があるため地域に配置されました。
今週ギニアから報告された2症例は、首都コナクリ内とその近傍で発症しました。そのうち1例は、
長い間コミュニティで症状が続いていました。隔離されたリスクの高い症例が結果として短期に
患者発生率を増加させる危険性は残っています。救急対応チームはそのような症例に対処するために
警戒態勢をとっています。
2. 8月30日の週にギニアから報告された2例は首都コナクリのラトマ地区の近くで発生しました。
1例目は9ヶ月の女児で登録された接触者ではありませんでした。彼女は家族と首都コナクリの
ラトマ地区へ来るまでにコナクリの郊外であるドゥブレカで発症し、エボラ治療センターに入院する前に
死亡しました。2例目は56歳男性で8月18日にラトマから報告された症例との接触者として登録されて
いました。8月30日ギニアで経過観察中の410人の接触者のうち、コナクリが289人、ドゥブレカが26人、
フォレカリアが95人でした。前週の600人の接触者は4つの西部の県(コナクリ、コヤ、ドゥブレカ、
フォレカリア)にわたっていました。
3. リベリアからは8月30日の週に新規報告例はありません。リベリアでは全ての接触者が現在21日の
経過観察期間を終了しました。リベリアでの最後の患者2人は治療を終え退院し7月23日に2回目のEVDの
検査で陰性でした。8月30日の週に約800検体のEVD検査を行いサーベイランスの強化を継続しています。
4. シエラレオネでは１例の新規症例が8月30日の週に報告されました。この国では2週間以上新規症例は
報告されていませんでした。症例は60歳代の女性で死後の検査でEVD陽性と判明しました。彼女は
カンビアの首長地域であるトンコリンバのセラ・カフタという村で発症し死亡するまでそこで治療を
受けました。カンビアはギニアのフォレカリア県と国境を接しており、48日間新規患者の報告は
ありませんでした。救急対応チームは速やかにその地域に派遣されました。8月30日に合計48人の
接触者が確認されました。感染源は調査中です。VSV-EBOVワクチンの第3相試験の有効性がギニアから
シエラレオネで拡がっています。接触者とカンビアで診断された症例と関連した接触者がワクチン接種を
受けられるでしょう。シエラレオネでの感染の他の連鎖に関わる全ての接触者が監視下にあります。
5. 8月30日の週には医療従事者の新規感染例は報告されていません。流行が始まって以降医療従事者の
感染者数は流行3か国で合計881人であり、うち513人が死亡しています。
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
6. ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて28,073人の
EVD患者が発生しており、11,290人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の
高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています(表1)。8月30日の週に、
ギニアで2人、シエラレオネで1人の新たな確定例が報告されました。
7. 診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15～44歳の成人は
ギニアとリベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。
8. 8月30日の週には医療従事者の新規感染例は報告されていません。流行が始まって以降医療従事者の
感染者数は流行3か国で合計881人であり、うち513人が死亡しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
|
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
|
ギニア |
確定例 |
3,337 |
8 |
2,077 |
|
可能性例 |
452 |
未報告 |
452 |
|
|
疑い例 |
3 |
未報告 |
データなし |
|
|
国別総数 |
3,792 |
8 |
2,529 |
|
|
リベリア※ |
確定例 |
3,151 |
- |
データなし |
|
可能性例 |
1,879 |
- |
データなし |
|
|
疑い例 |
5,636 |
- |
データなし |
|
|
国別総数 |
10,666 |
- |
4,806 |
|
|
リベリア※2 |
確定例 |
6 |
0 |
2 |
|
可能性例 |
0 |
未報告 |
データなし |
|
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
|
国別総数 |
6 |
0 |
2 |
|
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,698 |
1 |
3,587 |
|
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
|
疑い例 |
4,624 |
未報告 |
158 |
|
|
国別総数 |
13,609 |
1 |
3,953 |
|
|
総数 |
確定例 |
15,192 |
9 |
データなし |
|
可能性例 |
2,618 |
未報告 |
データなし |
|
|
疑い例 |
10,263 |
未報告 |
データなし |
|
|
総数 |
28,073 |
9 |
11,290 |
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されました。継続されている調査と患者と死亡者を
遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。2015年5月9日以降に報告された
患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると考えられて
います。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
|
国名 |
症例数 |
||||
|
性別＊ （人口10万対） |
年齢別♯ （人口10万対） |
||||
|
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
|
ギニア |
1,594 |
1,738 |
530 |
1,898 |
860 |
|
(29) |
(32) |
(11) |
(41) |
(55) |
|
|
リベリア§ |
1,911 |
1,838 |
561 |
2060 |
703 |
|
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(132) |
|
|
シエラレオネ |
4,813 |
5,102 |
1,989 |
5,616 |
2,138 |
|
(169) |
(176) |
(82) |
(217) |
(289) |
|
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
＊ 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§データは2015年5月9日までのものです。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 30 August 2015
http://www.who.int/csr/don/02-september-2015-mers-saudi-arabia/en/