エボラ出血熱の流行状況(60)
平成27年10月07日更新
要約
1.10月4日末の週にはエボラウイルス感染症(EVD)確定例の報告はありませんでした。週毎の報告で確定例の報告がなかったのは2014年3月以来はじめてのことです。シエラレオネでは全ての接触者の健康監視が
終了しています。しかしギニアでは現在も500人以上の接触者が監視中であり、また両国で最近あるいは
現在の感染連鎖と関連した数名のハイリスク接触者が不明になっています。短期的に新たな患者の発生する
危険性が残存しています。
2.11週連続して診断確定例の数は10人以下となっています。また同時期のウイルスの感染伝播は地理的にはギニア西部とシエラレオネのいくつかの小さな地域に限られており、感染の流行は第3段階に
移行してきています。EVDにおける省庁間の協力体制の調整が行われ、この第3段階の取り組みが洗練
されれば、症例数をゼロとすることができ、EVDの伝播を継続して終焉できるでしょう。(流行地域からの
伝播か、宿主動物からの伝播のどちらかからの)ウイルスの再侵入か生存者のウイルスの再出現を
迅速に同定するための強化された監視能力、生存者の福祉を守るための包括的なパッケージの一部としての
検査能力やカウンセリング能力の改善、(ワクチンから迅速診断検査までの)革新的な技術の使用増加が
第3期の対策の枠組みの中心です。
3.ギニアではコナクリ、コヤ、フォレカリアの3県で509人の接触者が監視中です。全ての接触者は首都
コナクリのラトマ地区の単一の感染連鎖と繋がっています。加えてギニアのコナクリ、コヤ、ドゥブレカ、
フォレカリアの4県で過去6週間監視されていなかった約290人の接触者が確認されています。ギニアに
おいて9月26日と27日報告された最近の患者4人についてはカリア、フォレカリアにおける2ヶ所の村から
報告されていますがラトマでの感染連鎖と繋がっている疑い患者との接触者でしたが登録されて
いませんでした。
コナクリのラトマとディキシン自治区では各戸をまわっての患者発見に努めています。また10月4日末の
週には追跡されていない接触者による危険性をなくすためにカリアとフォレカリアでは各戸を回って調査
しています。
4.シエラレオネでは3週連続して新たな患者の発生はありませんでした。全ての接触者はボンバリと
カンビアの最も直近のアクティブな感染連鎖と繋がっていましたが21日間の監視機関を終了しています。
さらにカンビアのエボラ治療センターで治療を受けていた最後の患者も9月26日に退院しています。
しかしボンバリとカンビアで1人ずつハイリスクの接触者が監視されていないままになっています。
それぞれの地域で最終の患者が報告されてから42日間は不明の接触者捜査、捉えられていない感染を
なくすための努力がつづけられます。
5.現在EVDの影響を受けていない地域でのEVDの再侵入や再出現を迅速に検出することを確実に
するために、しっかりとした監視方法が不可欠です。10月04日末の週にギニア全体で725検体が稼働中の
検査機関8ヶ所で検査されました。収集された検体の地理的な分布の分析ではギニア34県中20県で、
1週間のうちにEVDの生きた患者あるいは死体から如何なる検体も収集されていないことを示しています。
リベリアでは10月04日末の週に100%(15中、15全て)の地区から928検体が集められ、4ヶ所の稼働中の検査機関で検査が実施されました。同時期にシエラレオネでは100%(14地区中14地区全て)の地区
から1,738検体が集められ、稼働中の検査機関10ヶ所で検査されました。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、10月4日までに確定例、可能性例、疑い例を合わせて
28,421人のEVD患者が発生しており、11,297人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には
可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています(表1)。10月4日末の週には
あらたな患者の発生報告はありませんでした。
2.診断確定例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人はギニアと
リベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。45歳以上の成人では
ギニアで約5倍、リベリアとシエラレオネで約4倍となっています。
3.10月4日末の週に、医療従事者の新たな感染例は報告されませんでした。流行が始まって以降、
医療従事者の感染者例は流行3か国で合計881人となっており、うち513人が死亡しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
1.リベリアは、最後の確定患者がEVD検査で陰性が確認されてから42日が経過したため、
2015年9月3日に終息を宣言しました。現在、最後の患者が発生してから85日目になり、
90日間の強化監視期間に入っています。10月04日末の週に15地区すべてから928検体が集められ、
4ヶ所の検査機関で検査されています。検体の81%が10月04日末の週に生存している疑い例から
採取した血液検体となりました。
2.イタリア、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の7か国において、
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が以前報告されました。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
1.10月4日末の週にはエボラウイルス感染症(EVD)確定例の報告はありませんでした。週毎の報告で確定例の報告がなかったのは2014年3月以来はじめてのことです。シエラレオネでは全ての接触者の健康監視が
終了しています。しかしギニアでは現在も500人以上の接触者が監視中であり、また両国で最近あるいは
現在の感染連鎖と関連した数名のハイリスク接触者が不明になっています。短期的に新たな患者の発生する
危険性が残存しています。
2.11週連続して診断確定例の数は10人以下となっています。また同時期のウイルスの感染伝播は地理的にはギニア西部とシエラレオネのいくつかの小さな地域に限られており、感染の流行は第3段階に
移行してきています。EVDにおける省庁間の協力体制の調整が行われ、この第3段階の取り組みが洗練
されれば、症例数をゼロとすることができ、EVDの伝播を継続して終焉できるでしょう。(流行地域からの
伝播か、宿主動物からの伝播のどちらかからの)ウイルスの再侵入か生存者のウイルスの再出現を
迅速に同定するための強化された監視能力、生存者の福祉を守るための包括的なパッケージの一部としての
検査能力やカウンセリング能力の改善、(ワクチンから迅速診断検査までの)革新的な技術の使用増加が
第3期の対策の枠組みの中心です。
3.ギニアではコナクリ、コヤ、フォレカリアの3県で509人の接触者が監視中です。全ての接触者は首都
コナクリのラトマ地区の単一の感染連鎖と繋がっています。加えてギニアのコナクリ、コヤ、ドゥブレカ、
フォレカリアの4県で過去6週間監視されていなかった約290人の接触者が確認されています。ギニアに
おいて9月26日と27日報告された最近の患者4人についてはカリア、フォレカリアにおける2ヶ所の村から
報告されていますがラトマでの感染連鎖と繋がっている疑い患者との接触者でしたが登録されて
いませんでした。
コナクリのラトマとディキシン自治区では各戸をまわっての患者発見に努めています。また10月4日末の
週には追跡されていない接触者による危険性をなくすためにカリアとフォレカリアでは各戸を回って調査
しています。
4.シエラレオネでは3週連続して新たな患者の発生はありませんでした。全ての接触者はボンバリと
カンビアの最も直近のアクティブな感染連鎖と繋がっていましたが21日間の監視機関を終了しています。
さらにカンビアのエボラ治療センターで治療を受けていた最後の患者も9月26日に退院しています。
しかしボンバリとカンビアで1人ずつハイリスクの接触者が監視されていないままになっています。
それぞれの地域で最終の患者が報告されてから42日間は不明の接触者捜査、捉えられていない感染を
なくすための努力がつづけられます。
5.現在EVDの影響を受けていない地域でのEVDの再侵入や再出現を迅速に検出することを確実に
するために、しっかりとした監視方法が不可欠です。10月04日末の週にギニア全体で725検体が稼働中の
検査機関8ヶ所で検査されました。収集された検体の地理的な分布の分析ではギニア34県中20県で、
1週間のうちにEVDの生きた患者あるいは死体から如何なる検体も収集されていないことを示しています。
リベリアでは10月04日末の週に100%(15中、15全て)の地区から928検体が集められ、4ヶ所の稼働中の検査機関で検査が実施されました。同時期にシエラレオネでは100%(14地区中14地区全て)の地区
から1,738検体が集められ、稼働中の検査機関10ヶ所で検査されました。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、10月4日までに確定例、可能性例、疑い例を合わせて
28,421人のEVD患者が発生しており、11,297人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には
可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています(表1)。10月4日末の週には
あらたな患者の発生報告はありませんでした。
2.診断確定例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人はギニアと
リベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。45歳以上の成人では
ギニアで約5倍、リベリアとシエラレオネで約4倍となっています。
3.10月4日末の週に、医療従事者の新たな感染例は報告されませんでした。流行が始まって以降、
医療従事者の感染者例は流行3か国で合計881人となっており、うち513人が死亡しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
1.リベリアは、最後の確定患者がEVD検査で陰性が確認されてから42日が経過したため、
2015年9月3日に終息を宣言しました。現在、最後の患者が発生してから85日目になり、
90日間の強化監視期間に入っています。10月04日末の週に15地区すべてから928検体が集められ、
4ヶ所の検査機関で検査されています。検体の81%が10月04日末の週に生存している疑い例から
採取した血液検体となりました。
2.イタリア、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の7か国において、
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が以前報告されました。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,344 |
6 |
2,081 |
可能性例 |
453 |
未報告 |
453 |
|
疑い例 |
7 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,805 |
6 |
2,534 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
- |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
- |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
- |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
- |
4,806 |
|
リベリア※2 |
確定例 |
6 |
0 |
2 |
可能性例 |
未報告 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
6 |
0 |
2 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,704 |
0 |
3,589 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
4,954 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
13,945 |
5 |
3,955 |
|
総数 |
確定例 |
15,205 |
6 |
データなし |
可能性例 |
2,619 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
10,597 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
28,421 |
6 |
11,297 |
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることが
あります。2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立
した集団発生を構成していると考えられています。リベリアは2015年9月3日にEVD流行の終息が
宣言されました。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,596 |
1,743 |
532 |
1,902 |
861 |
(29) |
(32) |
(11) |
(41) |
(55) |
|
リベリア§ |
1,911 |
1,838 |
561 |
2,060 |
703 |
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(132) |
|
シエラレオネ |
4,823 |
5,118 |
1,992 |
5,636 |
2,140 |
(169) |
(176) |
(82) |
(218) |
(290) |
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§ リベリアのデータは2015年5月9日までのものです。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 07 October 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-7-october-2015