(No.170)

黄熱の流行状況(18)
平成28年8月26日更新

 黄熱のアウトブレイクは、2015年12月末にアンゴラ共和国の首都ルアンダで最初に認められました。
最初の黄熱感染者は、2016年1月19日に南アフリカの国立伝染病研究所(NICD)により、1月20日に
セネガルの首都ダカールのパスツール研究所により確認されています。その後、感染者数の急激な増加を
認めています。

要約
アンゴラの疫学情報の更新(8月18日現在)
 6月23日以来、新しい診断確定例がありません。
3,984人の疑い患者が報告されており、うち369人が死亡者です(死亡率 (CFR: case fatality rate) 9.2%)。
 3,984人のうち891人が診断確定例で、うち120人が死亡者です(CFR:13.6%)。
18州中16州において、最低1人の現地感染を伴う診断確定例が報告されています。

アウトブレイク対策としてのワクチン集団接種キャンペーン
 アンゴラの現地感染が確認された地域において、アウトブレイク対策としてのワクチン集団接種
キャンペーンが実行されています(図1参照)。更に、約300万人(フェーズⅠ)及び追加として200万人
(フェーズⅡ)を対象とした、予防的なワクチン接種キャンペーンが8月15日に開始されました。
キャンペーンの初期フェーズにおいて、22郡(このうち17郡は、コンゴ民主共和国(DRC)、ナミビア、
コンゴ共和国と国境を接しているか、その近隣地域です)の危険性の高い人々に対して免疫を持たせること
を目的としています。8月24日現在、2,982,134人の人々がワクチン接種を受けています(この対象人口の
76%がフェーズⅠのキャンペーンの対象です)。

コンゴ民主共和国(DRC)の疫学情報の更新(8月25日現在)
 2,410人の疑い患者が全26州中8州から報告されています。;
2,164人に対して検査が行われ、75人の診断が確定し、このうち死亡者は16人でした(CFR:21.33%)。;
75人の診断確定例が7州から報告されており、このうち、57人がアンゴラからの輸入例、13人が
国内発生例、5人が今回の流行との関連のない森林型黄熱例です。また、新たに患者が発見された
同国北部の南ウバンギ州において疑い患者1人が調査中です。

予防的ワクチン接種キャンペーン
 DRCにおいて、予防的なワクチン接種キャンペーンが8月17日に開始されました。このキャンペーンでは、
キンシャサ州の32の保健行政区における8百万人に加え、アンゴラと国境を接しているかその近隣にある
16の保健行政区における3百万人に対して免疫を持たせることを目的にしています。8月24日現在、
中央カサイ州、カサイ州、中央コンゴ州、クワンゴ州、ルアラバ州の報告されている保健行政区において、
6,925,276人の人々がワクチン接種を受けています。キンシャサ州で行われるワクチン接種キャンペーンでは
ワクチンの分割投与法が用いられましたが、この投与法におけるワクチン投与量は標準投与量の5分の1で
あり、利用可能なワクチン量が限られている状況で緊急事態においてのみ推奨される方法です。

【出典】
WHO Yellow Fever
Yellow Fever Situation Report
26 August 2016
http://www.who.int/emergencies/yellow-fever/situation-reports/26-august-2016/en/