(No.175)

ジカウイルス感染症が発生している国または地域への渡航者に対するWHO情報
平成28年9月6日更新

 世界保健機構(WHO)は、利用可能な証拠に基づいて、ジカウイルス感染症が発生している国または
地域への渡航や貿易の普遍的な制限を表明しておりません。

 しかし、WHOは、妊娠した女性に対してジカウイルス感染症が引き続き発生している地域へ渡航しない
ように勧告しています。この勧告は、ジカウイルスに感染した妊婦が出産した新生児において、小頭症や
その他の先天性奇形が発生する危険性が増加するという根拠に基づいています。小頭症とは、新生児の
頭蓋が小さい状態で出生するか、生後に頭蓋の成長が止まる状況のことを指します。

 予防策として、各国政府は利用可能な証拠や地域の危険因子に基づいて、それぞれの住民に対して
公衆衛生学的な推奨や渡航に関する推奨を行っています。

 ジカウイルスは、感染したヤブカ属の蚊に刺されることによって、人々に一次感染を起こします。
また、性交渉によっても感染します。

ジカウイルス感染症が感染し得る地域への渡航の前に
 ジカウイルス感染症のアウトブレイクが起こっている地域への渡航者は、起こり得る危険性や、
蚊刺傷やジカウイルスの性交渉による伝播の可能性を減らすための適切な手段に関する、最新の勧告に
ついて検索すべきです。

ジカウイルス感染症が感染し得る地域に滞在中は
 男性、女性ともに、ジカウイルスやエイズウイルス(HIV)、その他の性感染症および望まない妊娠を
防ぐために、コンドームの継続的な使用を含めたより安全な性交渉の手段を実践するか、性行為を避ける
べきです。

 旅行中の蚊刺傷を防止するために、渡航者には以下のことが勧められます。
・衣服は、できれば明るい色で可能な限り体全体を覆うものを着てください。
・蚊の忌避剤(虫除け)を使用してください。:忌避剤は、露出した肌や衣服に対して使用し、DEET
 (ジエチルトルアミド)かIR3535、あるいはイカリジンを含有していなければなりません。
 また、忌避剤は使用方法に厳密に従って使用しなければなりません。
 ;例えば、もし忌避剤と日焼け止めを同時に使用する場合は、日焼け止めを先に塗り、その後に
 忌避剤を塗る、など。
・網戸や防虫剤を塗布したネットなどをドアや窓に設置したり、ドアや窓を閉めるなど、物理的な障壁を
 用いてください。また、特にヤブカ属の蚊の活動性が最も高くなる日中において、蚊帳を使用して
 就寝してください。

帰国した時に
 引き続きあり得る感染の危険性を防止し、妊娠および胎児の不幸な結果を生まないために、渡航からの
全ての帰国者は、少なくとも6ヶ月の間、正しく持続的にコンドームを使用することを含めたより安全な
性交渉を実践するか、性交渉を控えることを考慮すべきです。

 帰国した渡航者は、刺傷をとおしてその他の人に感染を拡げる可能性を回避するため、帰国後もなお
少なくとも3週間は昆虫忌避剤を使用すべきです。

 妊婦の性交渉のパートナーは、少なくとも妊娠期間中は、より安全な性交渉を実践するか、性交渉を
控えるべきです。

【出典】
WHO,
Emergencies preparedness, response
Information for travellers visiting Zika affected countries
Updated 6 September 2016
http://www.who.int/csr/disease/zika/information-for-travelers/en/