ブラジルにおける黄熱
2017年1月13日更新
2017年1月6日ブラジルの保健省はミナスジェライス州の6郡において黄熱疑い患者12人が発生したことを報告しました。
同日ブラジルの国際保健規則(IHR)担当窓口は汎アメリカ保健機構/世界保健機関(PAHO/WHO)に対して
12人の情報を以下の様に報告しました。農村地域の住民であり、平均年齢は37歳(7-53歳)でした。初発
患者は昨年の12月18日に発症しており、デングウイルス、ハンタウイルス、レプトスピラ、マラリアロッキー山紅斑熱、それぞれの型(A型、B型、C型、D型、E型)の肝炎ウイルスの鑑別のために州委託のEzequiel Dias基金研究所に患者検体が送付されました。結果は保留の状態です。
1月12日にはブラジルIHR担当窓口は本件に関する情報を更新しましたが、その報告によりますと、疑い
患者は110人にのぼっており、30人が死亡しているとのことです。患者は同州の15郡から報告されており、下表の通りです。19人の疑い患者の血清で黄熱検査結果陽性でした。この19人のうち10人が死亡しています。(致死率53%)また同州では13郡で家畜における流行がみられていますがその内アーグァボア、Durande、イパチンガ、サンペードロドスアスイー、Simonesia、テオフィロオトニの6郡では現在までヒトの感染は報告されていません。
公衆衛生上の取り組み
州及び郡レベルの保健当局は今回のアウトブレイクに対し、いくつかの対策を行っています。
・保健省はミナスジェライス州に技術者のチームを配置し、州、郡レベルにおける保健長官を補佐し、サー
ベイランスやアウトブレイクの調査、ベクターのコントロール、保健医療サービスの調整などを実施して
います。
・流行の発生している郡の農村地域では各戸をまわっての予防接種キャンペーンが行われています。
・ミナスジェライス州との境界を有する州では黄熱の流入の可能性を考慮して準備対策が行われています。
・地元紙は保健省と共同で住民に現況に対する情報を継続的に提供しています。
WHOによるリスク評価
ミナスジェライス州においては過去にも黄熱のアウトブレイクがありました。直近のアウトブレイクは2002年から2003年にかけてのもので、23人の死亡(死亡率37%)を含む63人の診断確定患者が発生して
います。
今回の黄熱アウトブレイクは予防接種率の比較的低い地域で発生しており、そのような地域では感染は急激に拡大する傾向があります。懸念されるのは、生態系からみてウイルス伝播が起こりやすいミナスジェライス州に近接したエスピリトサント州やバヒーア州の南部などに感染伝播が拡大するかどうかです。これらの地域は以前、感染伝播の可能性が低いとされており、黄熱ワクチンの接種は推奨されていませんでした。この地域にウイルスがもたらされると黄熱大流行の引き金になる可能性があります。また感染者がブラジルの内外を問わず、シマカが生息しており、ヒト‐ヒト感染のローカルサイクルを形成してしまうような脆弱な地域に渡航するリスクもあります。ジカウイルス、チクングニア、デングのアウトブレイクが同時に発生している環境中での対策はいっそう困難なものとなっています。
WHO は疫学的状況のモニターリングとリスク評価を活用可能な最新の情報にもとづいて継続しています。
WHOによるアドバイス
黄熱は、渡航の少なくとも10日以上前にワクチンを接種する事により、容易に予防することができます。そのためWHO は加盟国のなかでも地域での伝播サイクルが形成されうる(即ち、効率のよいベクターが生息している)国々に対しては、潜在的に流行の可能性のある地域への渡航者が免疫を獲得しているように感染防御を強化するよう推し進めています。
WHOは現時点で入手できる情報にもとづいてブラジルへのいかなる渡航や,交易の制限も推奨はしていません。
【出典】
Emergencies preparedness, response
Yellow fever – Brazil
Disease Outbreak News
13 January 2017
http://www.who.int/csr/don/13-january-2017-yellow-fever-brazil/en/
同日ブラジルの国際保健規則(IHR)担当窓口は汎アメリカ保健機構/世界保健機関(PAHO/WHO)に対して
12人の情報を以下の様に報告しました。農村地域の住民であり、平均年齢は37歳(7-53歳)でした。初発
患者は昨年の12月18日に発症しており、デングウイルス、ハンタウイルス、レプトスピラ、マラリアロッキー山紅斑熱、それぞれの型(A型、B型、C型、D型、E型)の肝炎ウイルスの鑑別のために州委託のEzequiel Dias基金研究所に患者検体が送付されました。結果は保留の状態です。
1月12日にはブラジルIHR担当窓口は本件に関する情報を更新しましたが、その報告によりますと、疑い
患者は110人にのぼっており、30人が死亡しているとのことです。患者は同州の15郡から報告されており、下表の通りです。19人の疑い患者の血清で黄熱検査結果陽性でした。この19人のうち10人が死亡しています。(致死率53%)また同州では13郡で家畜における流行がみられていますがその内アーグァボア、Durande、イパチンガ、サンペードロドスアスイー、Simonesia、テオフィロオトニの6郡では現在までヒトの感染は報告されていません。
郡 | 患者数(うち死亡者数) |
Ladainha(ラダイーニャ) | 31(11) |
Caratinga(カラティンガ) | 20(1) |
Imbe de Minas(インベーデミナス) | 14(1) |
Piedade de Caratinga(ピエダーデデカラチンガ) | 12(4) |
Poté | 6(3) |
Ubaporanga | 6(2) |
Itambacuri(イタンバクリ) | 5(3) |
Ipanema(イパネマ) | 4(1) |
Malacacheta | 4(2) |
Entre Folhas(エントレーフォーリャス) | 2 |
Frei Gaspar | 1 |
Inhapim(イニャピン) | 2 |
São Domingos das Dores(サンドミンゴダスドーレス) | 1 |
São Sebastião do Maranhão(サンセバスチャンドマラニョン) | 1(1) |
Setubinha | 1(1) |
公衆衛生上の取り組み
州及び郡レベルの保健当局は今回のアウトブレイクに対し、いくつかの対策を行っています。
・保健省はミナスジェライス州に技術者のチームを配置し、州、郡レベルにおける保健長官を補佐し、サー
ベイランスやアウトブレイクの調査、ベクターのコントロール、保健医療サービスの調整などを実施して
います。
・流行の発生している郡の農村地域では各戸をまわっての予防接種キャンペーンが行われています。
・ミナスジェライス州との境界を有する州では黄熱の流入の可能性を考慮して準備対策が行われています。
・地元紙は保健省と共同で住民に現況に対する情報を継続的に提供しています。
WHOによるリスク評価
ミナスジェライス州においては過去にも黄熱のアウトブレイクがありました。直近のアウトブレイクは2002年から2003年にかけてのもので、23人の死亡(死亡率37%)を含む63人の診断確定患者が発生して
います。
今回の黄熱アウトブレイクは予防接種率の比較的低い地域で発生しており、そのような地域では感染は急激に拡大する傾向があります。懸念されるのは、生態系からみてウイルス伝播が起こりやすいミナスジェライス州に近接したエスピリトサント州やバヒーア州の南部などに感染伝播が拡大するかどうかです。これらの地域は以前、感染伝播の可能性が低いとされており、黄熱ワクチンの接種は推奨されていませんでした。この地域にウイルスがもたらされると黄熱大流行の引き金になる可能性があります。また感染者がブラジルの内外を問わず、シマカが生息しており、ヒト‐ヒト感染のローカルサイクルを形成してしまうような脆弱な地域に渡航するリスクもあります。ジカウイルス、チクングニア、デングのアウトブレイクが同時に発生している環境中での対策はいっそう困難なものとなっています。
WHO は疫学的状況のモニターリングとリスク評価を活用可能な最新の情報にもとづいて継続しています。
WHOによるアドバイス
黄熱は、渡航の少なくとも10日以上前にワクチンを接種する事により、容易に予防することができます。そのためWHO は加盟国のなかでも地域での伝播サイクルが形成されうる(即ち、効率のよいベクターが生息している)国々に対しては、潜在的に流行の可能性のある地域への渡航者が免疫を獲得しているように感染防御を強化するよう推し進めています。
WHOは現時点で入手できる情報にもとづいてブラジルへのいかなる渡航や,交易の制限も推奨はしていません。
【出典】
Emergencies preparedness, response
Yellow fever – Brazil
Disease Outbreak News
13 January 2017
http://www.who.int/csr/don/13-january-2017-yellow-fever-brazil/en/