(No.6)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症-サウジアラビア
2017年1月17日更新

 2016年12月16日から31日の間にサウジアラビア国際保健規則(IHR)担当窓口は新たに2人の死亡を含む15人のMERS-CoV患者を報告しました。また過去に報告された患者5人が死亡したことを加えて報告しました。

症例の詳細情報
1.49歳男性。サウジアラビア国籍のターイフ市Khurmahの住人で12月25日に発症し、29日に入院しまし
 た。患者には基礎疾患が有り、30日の検査でMERS-CoV陽性と判明しました。発症前2週間以内にラクダ
 との接触歴、ラクダ生乳の喫飲歴があります。現在患者の状態は安定しており、病棟の陰圧室に収容され
 ています。農業省は連絡を受け、ラクダの調査を継続しています。
2.41歳女性。サウジアラビアに国籍をもたないアスィール州アブハー市の医療従事者です。12月28日に
 世界保健機関(WHO)に報告された50歳患者(下記No.7)への接触者として無症候でしたが監視されて
 いました。12月28日の検査でMERS-CoV陽性と判明しました。12月25日から26日にかけてMERS患者の
 ケアをしています。現在は無症候で安定しているため自宅で隔離の状態です。
3.30歳女性。サウジアラビアに国籍をもたないアスィール州アブハー市の医療従事者です。12月28日に
 世界保健機関(WHO)に報告された50歳患者(下記No.7)への接触者として無症候でしたが監視されて
 いました。28日の検査でMERS-CoV陽性と判明しました。12月25日から26日にかけてMERS患者のケア
 をしています。現在は無症候で安定しているため自宅で隔離の状態です。
4.66歳男性。サウジアラビア国籍のマディーナ州マディーナ市の住人で12月21日に発症し、26日に入院
 しました。患者には基礎疾患が有り、28日の検査でMERS-CoV陽性と判明しました。発症前2週間以内に
 ラクダとの接触歴、ラクダ生乳の喫飲歴があります。現在患者は病棟の陰圧室に収容されています。
 農業省は連絡を受け、ラクダの調査を継続しています。
5.46歳女性。サウジアラビア国籍のリヤド州リヤド市の住人で12月21日に発症し、26日に入院しました。
 患者には基礎疾患があります。27日の検査でMERS-CoV陽性が判明しました。発症前2週間以内における
 既知の危険因子への曝露歴について調査中です。現在患者の状態は安定しており、病棟の陰圧室に収容
 されています。
6.82歳男性。サウジアラビア国籍のナジャラン州ナジャラン市の住人で12月21日に発症し、24日に入院
 しました。患者には基礎疾患があります。26日の検査でMERS-CoV陽性が判明しました。発症前2週間
 以内における既知の危険因子への曝露歴について調査中です。現在患者は重篤な状態で集中治療室に収容
 され、人工呼吸器が装着されています。
7.50歳男性。サウジアラビア国籍のアスィール州アブハー市の住人で、12月21日に発症し、25日に入院
 しました。患者には基礎疾患があります。26日の検査でMERS-CoV陽性が判明しました。発症前2週間
 以内における既知の危険因子への曝露歴について調査中です。現在患者は重篤な状態で集中治療室に収容
 され、人工呼吸器が装着されています。
8.44歳男性。サウジアラビア国籍のリヤド州リヤド市の住人で12月20日に発症し、24日に入院しました。
 患者には基礎疾患はありません。25日の検査でMESR-CoV陽性が判明しました。発症前2週間以内におけ
 る既知の危険因子への曝露歴について調査中です。現在患者の状態は安定しており、病棟の陰圧室に収容
 されています。
9.64歳女性。サウジアラビア国籍のナジャラン州ナジャラン市の住人で12月17日に発症し、21日に入院
 しました。患者には基礎疾患があり、23日の検査でMERS-CoV陽性が判明しました。病棟の陰圧室に
 収容されましたが状態が悪化し、12月30日に死亡しました。発症前2週間以内における既知の危険因子
 への曝露歴について調査中です。
10.78歳男性。サウジアラビア国籍のリヤド州リヤド市の住人で12月18日に発症し、19日に入院しまし
 た。患者には基礎疾患があります。21日の検査でMERS-CoV陽性が判明しました。発症前2週間以内に
 ラクダとの接触歴があります。現在患者の状態は安定しており、病棟の陰圧室に収容されています。
 農業省は連絡を受け、ラクダの調査を継続しています。
11.24歳男性。サウジアラビア国籍のマッカ州メッカの住人で症状はありませんがWHOに12月20日報告
 された47歳のMERS患者(下記No.12)との家庭内接触者として監視されていました。21日の検査で 
 MERS-CoV陽性が判明しました。患者には基礎疾患は無く、今回の検査前、2週間以内における既知の
 危険因子への曝露歴はありません。現在も無症候で自宅隔離されています。
12.47歳男性。サウジアラビア国籍のマッカ州メッカの住人で12月17日に発症し、翌日入院しました。
 患者には基礎疾患があり、19日の検査でMERS-CoV陽性が判明しました。発症前2週間以内にラクダとの
 接触歴、ラクダ生乳の喫飲歴があります。現在患者の状態は安定しており、病棟の陰圧室に収容されて
 います。
13.57歳男性。サウジアラビア国籍のリヤド州リヤド市の住人で12月13日に発症し、18日に入院しまし
 た。患者には基礎疾患はなく、19日の検査でMERS-CoV陽性が判明しました。発症前2週間以内における
 既知の危険因子への曝露歴について調査中です。現在患者の状態は安定しており、病棟の陰圧室に収容
 されています。
14.22歳女性。サウジアラビア国籍のタイフ州タイフ市の住人で、12月14日に発症し、16日に入院しまし
 た。患者には基礎疾患があります。18日の検査でMERS-CoV陽性が判明しました。発症前2週間以内に
 おける既知の危険因子への曝露歴について調査中です。現在患者の状態は安定しており、病棟の陰圧室に
 収容されています。
15.60歳男性。サウジアラビア国籍のマディーナ州Mahd Aldhahab市の住人で12月1日に発症し、6日に
 入院しました。患者には基礎疾患があり、11日の検査でMERS-CoV陽性が判明しました。更に14日に
 採取した鼻咽頭スワブを15日に検査したところMERS-CoV陽性でした。患者は病棟の陰圧室に収容され
 ましたが状態が悪化し、12月24日に死亡しました。発症前2週間以内にラクダとの接触歴、ラクダ生乳の
 喫飲歴があります。農業省は連絡受け、ラクダの調査を継続中です。

 サウジアラビア王国の国際保健規則(IHR)担当窓口はまたWHOに対して5人の既報告の患者が死亡したことを報告しました。(下表)

 関西空港検疫所海外感染症情報
 2016年-209 2例目
 2016年-216 6例目
 2016年-217 1例目
 2016年-217 2例目
 2016年-217 9例目

 これらの患者と接触歴のある家族や医療従事者に対して追跡調査が行われています。

 WHOには2012年9月以降、全世界で1,879人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち666人が関連死しています。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia

Disease outbreak news
17 January 2017
http://www.who.int/csr/don/17-january-2017-mers-saudi-arabia/en/