(No.7)

中国における鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染例
2017年1月18日更新

 2017年1月11日、香港特別行政区の保健局が世界保健機関(WHO)に対し、新たに1人の鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染確定例を報告しました。また、2017年1月12日、マカオ特別行政区の保健局がWHOに対し、新たに1人の鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染確定例を報告しました。

症例の詳細情報
 2017年1月11日、香港特別行政区の保健局から、1人の鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染例が報告
されました。患者は10歳の男児で、2016年12月31日に広東省仏山市への旅行歴がありました。
 患者は2017年1月3日に香港に帰還し、8日に発症しました。また、9日に入院し10日に退院しています。
1月9日に採取された鼻咽頭吸引検体において鳥インフルエンザA(H7)が陽性となったことに従い、10日に再入院のうえ隔離されています。その後、1月11日に採取された別の鼻咽頭吸引検体において、鳥インフルエンザA(H7N9)が陽性であることが確認されました。
 患者は2016年12月31日から2017年1月3日にかけて、広東省仏山市にある、裏庭で鶏を飼育している
親族の家を訪問しましたが、これらの鶏との直接接触はなかったと報告されています。また、患者とその
家族は広東省に滞在中に市場を訪れていますが、鶏のいる区域には入場していないと報告されています。
 2017年1月11日現在、この10歳の少年の接触者として、27人の濃厚接触者と70人のその他の接触者が特定されています。このその他の接触者のうち4人に症状がありましたが、そのうち2人はインフルエンザAが
陰性であり、その他の2人の検査結果はまだ出ておりません。残りの接触者は無症状のままであり、医学的な監視の下に置かれています。
 2017年1月12日、マカオ特別行政区の保健局から、1人の鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染例が報告されました。患者は、マカオに近接している広東省中山市在住の72歳の女性です。患者は自宅において鶏への曝露があり、近所の家禽市場へも頻繁に訪問していました。また、患者は1月8日に発症し中山市の病院に入院しましたが、9日に退院しマカオに移動した後、10日に肺炎の診断で公立病院に入院しています。1月10日に採取された検体において、12日に逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法により鳥インフルエンザA(H7N9)が陽性であることが判明しました。その後、患者は隔離病棟に隔離されました。この患者には高血圧と糖尿病の既往歴があります。現在の状態は落ち着いています。
 2017年1月12日現在、3人の親族、4人の救急車乗務員、4人の病院での同室者、および32人の医療従事者がこの患者の濃厚接触者として特定されています。これらの接触者は5日間の抗ウイルス治療を受けており、その後10日間にわたり医学的な観察下に置かれます。
 2013年初頭以降、国際保健規則(IHR)を通して、鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者が合計
918人報告されています。

公衆衛生上の取り組み
 香港保健局の衞生防護センターは、次の対策をとっています。
・住民に対して、同地域内に滞在中および他地域に渡航中において、個人衛生、食品衛生および環境衛生
 を厳密に維持することを強く要請しました。
・医師、病院、学校およびその他の公共施設に対して、最新の状況に関する警告を発出しました。
 マカオ当局は、次の対策をとっています。
・リスク評価の実行
・症例管理と濃厚接触者の観察
・患者家族と医療スタッフのフォローアップを行うために、中国当局とコミュニケーションを図ること
・状況とその対策に関する情報共有を行うため、記者会見を開催すること
・生きた家禽との接触を避けるよう住民に強く要請すること

WHOのリスク評価
 鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染例の増加は、昨年もこの時期(12月から1月)に認めています。
それにもかかわらず、疫学的状況の厳密な監視と最近のウイルスの特徴を更に明らかにすることは、関連する危険性を分析し危機管理対策を適時に適合させるために大変重要です。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – China
Disease outbreak news
18 January 2017
http://www.who.int/csr/don/18-january-2017-ah7n9-china/en/