(No.26)

ブラジルにおける黄熱
2017年3月20日更新

 ブラジルにおける黄熱の最新流行状況を踏まえた、国際間の旅行者に対する黄熱ワクチンの推奨についての最新情報

 2017年3月16日現在、黄熱ウイルスの伝播は、黄熱のリスクマップ(GRYF)に関する科学的、技術顧問団によって確認されWHOによって公表されたリスク評価(1月27日、3月6日の既報:関西空港検疫所海外感染症情報2017年No.11、No20、1月31日、2月14日のWHO International Travel and Healthウェブサイト)に先行して、これまでリスクはないとされていたブラジルの大西洋沿岸部まで拡大しています。
 2017年3月16日現在、ヒトにおける黄熱の診断確定例はリオデジャネイロ州で報告されており、動物間やヒトの黄熱ウイルス感染についての調査がサンパウロ州で実施されています。これらの報告は、熱帯・亜熱帯広葉樹林という生態系を同様に有する他の州(エスピリト・サント州、ミナス・ジェライス州)で観察されている黄熱の活動の活発化と同様の事態であることを示しています。黄熱の都市型サイクルの持続をもたらす媒介蚊であるネッタイシマカにより黄熱のヒト感染が起こっているというエビデンスは現時点ではありません。
 それ故に世界保健機関(WHO)の事務局は、リオデジャネイロ州ではリオデジャネイロ市、ニテロイ市の
市街地を除く地域に、サンパウロ州ではサンパウロ市、カンピーナス市の市街地を除く地域に黄熱の感染伝播が起こる危険性があると考えるべきと決定しました。
 結論として、黄熱に対するワクチン接種がリオデジャネイロ州とサンパウロ州のこれらの地域へ渡航する
海外からの旅行者に対して推奨されます。個々人が黄熱ワクチン接種を受けるべきと知らされる際の損益分析のおいては、黄熱感染の危険性があると裁定された地域を訪問する海外からの旅行者がとるであろう行動の類型論に重点を置くべきと考えます。
 2017年1月31日および3月6日のWHOの記事で発表されたように、2013年に黄熱伝播の危険があると裁定されたブラジルのその他の地域に関して新たな状況の変化はありません。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Yellow fever – Brazil
Disease outbreak news
20 March 2017
http://www.who.int/csr/don/20-march-2017-yellow-fever-brazil/en/