(No.32)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症-カタール
2017年4月4日更新

 2017年3月21日、カタール国際保健規則(IHR)担当窓口は新たに1人の中東呼吸器症候群(MERS-CoV)感染確定例を報告しました。 

患者の詳細情報
 62歳男性です。カタールのドーハ市の住人で2017年3月15日に発症しています。患者には基礎疾患が
あり、同日、個人のクリニックを受診し、20日に入院しています。入院後のリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応検査(PCR),(upE and ORF1b and N)でMERS-CoV陽性となっています。現在患者の状態は安定しており、病棟の陰圧室に隔離されています。
 患者には過去7ヶ月間以内におけるカタール外への出国歴はなく、ラクダや有症者との接触歴もありません。発症前2週間以内における既知の危険因子への暴露歴について調査中ですが,感染源については未確定のままです。
 現在までに、カタールでは19人のMERS診断確定患者が報告されたことになりますが、これまでの最終例は2016年6月の患者(既報2016年6月29日更新分)でした。
 WHOには2012年9月以降、全世界で1,936人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち少なくとも690人が関連死しています。

公衆衛生対策
 カタール保健省の衛生保護-感染症コントロール部門は直ちに症例の調査と接触者の追跡調査を実施しました。全体で23人の医療従事者と接触者が検査をされ、全員MERS-CoV陰性でした。すべての接触者は2週間の監視期間終了まで追跡されます。
 適切な感染防御手段についての衛生教育メッセージが接触者全員で共有され、推奨されるMERS-CoV感染防御手段の遵守といかなる呼吸器症状の発現も専門家に報告するように接触者は勧告をうけています。

【出典】Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Qatar
Disease outbreak news
4 April 2017
http://www.who.int/csr/don/04-april-2017-mers-qatar/en/