中国における鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染例
5月19日更新
2017年5月5日、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は世界保健機関（WHO）に対し、同国本土において新たに合計24人の鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染例が検査で確認されたことを報告しました。
症例の詳細情報
発症日は2017年4月14日から4月29日の範囲です。この24人の感染例のうち9人が女性でした。年齢は25歳から82歳で中央値は56.5歳でした。症例は次の地域から報告されています；安徽省（1人）、北京市(1人)、重慶市（2人）、甘粛省（1人）、広西チワン族自治区（1人）、河北省（7人）、河南省（1人）、湖北省（1人）、湖南省(1人)、江蘇省（1人）、四川省（6人）、陝西省 (1人)です。2013年にこのウイルスが明らかになって以来、同疾患が陝西省において初めて報告されました。
報告時点で9人が死亡し、13人が肺炎（2人）か重症肺炎（11人）のいずれかの診断を受けており、2人がまだ調査中です。19人が家禽か生鳥市場への曝露歴があり、2人が家禽への曝露歴に関する情報がありませんでした。現在3人がまだ調査中です。集団感染例は報告されておりません。
2013年初頭以来、現在までに国際保健規則(IHR)を通じて鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者が合計1,463人報告されています。
公衆衛生上の取り組み
2016年12月以来のヒト感染例の増加を考慮し、中国政府は国家レベルと地方レベルで以下のような強化策を講じています。
・最も症例の多かった地域と新たに症例が出現した地域に焦点を絞ってリスク評価と感染予防および
感染制御ための指導を強化しています。
・生鳥市場の管理と地域間輸送に焦点を絞った感染対策の強化を継続しています。
・効果的な予防と管理の対策を提供するため詳細な感染源調査を実施します。
・致死率を下げるために鳥インフルエンザ（H7N9）のヒト感染例の早期発見と治療を継続します。
・自己防衛の指導と共にリスクコミュニケーションや情報を一般市民に継続して提供しています。
・感染予防や感染制御のさらなる指導を提供するために、ウイルスによる汚染範囲やウイルスの変異の規模
を明らかにし、ウイルス学的サーベイランスの強化を行います。
WHOリスク評価
2016年10月1日以来に発症した5番目の鳥インフルエンザA（H7N9）の流行におけるヒト感染例の総数は、流行早期のヒト感染例数と比較してもより多くなっています。これはウイルスが拡大していることを示唆しており、ヒトと動物の両方の保健分野においてさらに強化したサーベイランスと制御方法が重要であることを強調しています。
ほとんどのヒト感染例は、生鳥市場への曝露を含む、感染した家禽あるいは汚染された環境を通じて、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに曝露されています。ウイルスは引き続き動物や環境から検出されており、生きた家禽の販売が引き続き行われていることから、更なるヒト感染例の発生が予測されます。同じ病棟の患者間などの上記事例を含む、鳥インフルエンザA(H7N9)のヒトにおける小規模な集団感染事例が報告されていますが、現在の疫学的およびウイルス学的な証拠より、このウイルスはヒトの間で持続的に感染伝播する能力を獲得していないことが示されています。そのため、コミュニティレベルにおける更なる感染拡散の可能性は低いと考えられます。
疫学的状況の緊密な観察や、最近のヒトウイルスの特徴を更に明らかにすることは、関連する危険性を分析し適時に危機管理手段を適応させていくために大変重要です。
WHOからのアドバイス
WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、可能な限り養鶏場への立ち入り、生鳥市場における動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを勧めています。渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣の維持に努めるべきです。
WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。鳥インフルエンザが考えられる地域を渡航する、または帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザウイルスへの感染を鑑別診断として考えておくべきです。
WHOは各国に対して、重症急性呼吸器感染症(SARI)およびインフルエンザ様疾患(ILI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、通常と異なる症状がないか慎重に調査し、国際保健規則(2005)に基づきヒト感染例は必ずWHOに報告し、各国の健康に備える活動を続けていくことを求めています。
【出典】
Emergencies preparedness, response
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – China
Disease outbreak news 18 May 2017
http://www.who.int/csr/don/18-may-2017-ah7n9-china/en/
症例の詳細情報
発症日は2017年4月14日から4月29日の範囲です。この24人の感染例のうち9人が女性でした。年齢は25歳から82歳で中央値は56.5歳でした。症例は次の地域から報告されています；安徽省（1人）、北京市(1人)、重慶市（2人）、甘粛省（1人）、広西チワン族自治区（1人）、河北省（7人）、河南省（1人）、湖北省（1人）、湖南省(1人)、江蘇省（1人）、四川省（6人）、陝西省 (1人)です。2013年にこのウイルスが明らかになって以来、同疾患が陝西省において初めて報告されました。
報告時点で9人が死亡し、13人が肺炎（2人）か重症肺炎（11人）のいずれかの診断を受けており、2人がまだ調査中です。19人が家禽か生鳥市場への曝露歴があり、2人が家禽への曝露歴に関する情報がありませんでした。現在3人がまだ調査中です。集団感染例は報告されておりません。
2013年初頭以来、現在までに国際保健規則(IHR)を通じて鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者が合計1,463人報告されています。
公衆衛生上の取り組み
2016年12月以来のヒト感染例の増加を考慮し、中国政府は国家レベルと地方レベルで以下のような強化策を講じています。
・最も症例の多かった地域と新たに症例が出現した地域に焦点を絞ってリスク評価と感染予防および
感染制御ための指導を強化しています。
・生鳥市場の管理と地域間輸送に焦点を絞った感染対策の強化を継続しています。
・効果的な予防と管理の対策を提供するため詳細な感染源調査を実施します。
・致死率を下げるために鳥インフルエンザ（H7N9）のヒト感染例の早期発見と治療を継続します。
・自己防衛の指導と共にリスクコミュニケーションや情報を一般市民に継続して提供しています。
・感染予防や感染制御のさらなる指導を提供するために、ウイルスによる汚染範囲やウイルスの変異の規模
を明らかにし、ウイルス学的サーベイランスの強化を行います。
WHOリスク評価
2016年10月1日以来に発症した5番目の鳥インフルエンザA（H7N9）の流行におけるヒト感染例の総数は、流行早期のヒト感染例数と比較してもより多くなっています。これはウイルスが拡大していることを示唆しており、ヒトと動物の両方の保健分野においてさらに強化したサーベイランスと制御方法が重要であることを強調しています。
ほとんどのヒト感染例は、生鳥市場への曝露を含む、感染した家禽あるいは汚染された環境を通じて、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに曝露されています。ウイルスは引き続き動物や環境から検出されており、生きた家禽の販売が引き続き行われていることから、更なるヒト感染例の発生が予測されます。同じ病棟の患者間などの上記事例を含む、鳥インフルエンザA(H7N9)のヒトにおける小規模な集団感染事例が報告されていますが、現在の疫学的およびウイルス学的な証拠より、このウイルスはヒトの間で持続的に感染伝播する能力を獲得していないことが示されています。そのため、コミュニティレベルにおける更なる感染拡散の可能性は低いと考えられます。
疫学的状況の緊密な観察や、最近のヒトウイルスの特徴を更に明らかにすることは、関連する危険性を分析し適時に危機管理手段を適応させていくために大変重要です。
WHOからのアドバイス
WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、可能な限り養鶏場への立ち入り、生鳥市場における動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを勧めています。渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣の維持に努めるべきです。
WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。鳥インフルエンザが考えられる地域を渡航する、または帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザウイルスへの感染を鑑別診断として考えておくべきです。
WHOは各国に対して、重症急性呼吸器感染症(SARI)およびインフルエンザ様疾患(ILI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、通常と異なる症状がないか慎重に調査し、国際保健規則(2005)に基づきヒト感染例は必ずWHOに報告し、各国の健康に備える活動を続けていくことを求めています。
【出典】
Emergencies preparedness, response
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – China
Disease outbreak news 18 May 2017
http://www.who.int/csr/don/18-may-2017-ah7n9-china/en/