(No.76)

チクングニア熱-イタリア
9月19日更新

 9月14日現在、イタリアで国内発生のチクングニア熱患者14人が確定診断され、14人のうち6人がローマで、8人がラツィオ州アンツィオの沿岸地域でした。追加症例は調査中です。
 最初の症例の発症日は2017年8月5日です。最新の症例の発症日は2017年8月25日から9月7日の間です。

公衆衛生上の取り組み
 イタリア国家チクングニア熱サーベイランスと対応計画(Italian National Chikungunya Surveillance and Response Plan)に記載されている以下の公衆衛生対策が実施されています。

・アンツィオとローマ地区における媒介蚊の駆除と制御対策。
・チクングニア熱と蚊刺されに対する防御についての住民への情報提供。保健省のウェブサイトに見られる 
 ようなチクングニア熱についてのページがあります。
・輸血による感染伝播の阻止
・患者管理をしている医療従事者のための情報とガイドライン

国立衛生研究所(Istituto Superiore di Sanita)はこの流行に関して2017年9月8日付けで公式声明を発表しました。

WHOによるリスク評価
 さらなる感染伝播のリスクが存在します。これは以下の理由によります。
・ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)は地中海地域を通して定着しています。
・媒介蚊は過去にチクングニア熱のアウトブレイクを維持する能力を示しています。
・現在患者がいる地域は人口が多く、夏は特に観光客で賑わいます。

 この疾患は、そのほとんどがアフリカ、アジア、アメリカとインド亜大陸で起きます。2007年イタリア北東部のエミリア・ロマーニャ州で、ヨーロッパで最初の感染伝播が報告されました。このアウトブレイクの間に217の確定例があり、ヒトスジシマカによる蚊媒介性のアウトブレイクがヨーロッパで可能であることが示されました。現在、2017年8月初旬に始まったヴァール県におけるもう一つ別の国内発生のアウトブレイクが進行中です。

WHOからのアドバイス

個人防護
 基本的な予防策がイタリアのこの地域に住む人々及び旅行者によって採用されるべきです。これは長袖・長ズボンを着用することや虫除け剤の使用、蚊の侵入を防ぐための網戸がぴったりと据え付けられているかを確認することを含んでいます。
 日中に刺す媒介蚊に対して、露出する皮膚を最小限にする衣服を身に着けることが助言されます。虫除け剤は、製品のラベルにある指示に厳密に従って露出する皮膚や衣服に対して使用できます。虫除け剤はDEET、IR3535またはイカリジン(Icaridin)を含んでいるべきです。蚊に刺されることを防ぐために、人々は蚊帳の中で寝る、またエアコンや網戸を使う必要があります。蚊取り線香や他の殺虫剤も室内における蚊に刺されることを減らします。

媒介蚊の制御
 ヒトスジシマカは、使用済みの車のタイヤ、鉢植えの受け皿、雨水の貯水樽や貯水槽そして下水の排水枡のような人工の容器に加えて、木の穴や岩の凹みのような広範な水溜まりにおいて旺盛に生育します。
 感染予防と制御は、蚊の繁殖を助ける水が溜まる自然或いは人工の生息地の数を減らしていくことに強く依存しています。そのためには、流行地域のコミュニティの動員と媒介蚊の監視強化が必要です。流行期間中、源泉地を減らすことで水溜まりにおける蚊の幼虫を殺すことに加えて、飛んでいる蚊を殺すために殺虫剤の室内での噴霧は実行されるでしょう。

チクングニア熱について
 チクングニア熱は感染蚊によってヒトに感染伝播するウイルス性疾患です。熱や酷い関節痛を起こします。他の症状としては筋肉痛、頭痛、嘔気、倦怠感と発疹があります。関節痛によりしばしば消耗させ、その期間はまちまちです。このように、このウイルスは急性、亜急性、慢性の病気の原因となります。この病気の治療法はなく、治療は症状を緩和することに焦点が当てられています。蚊の繁殖地の近傍での居住はチクングニア熱の重大なリスク要因となります。
 
【出典】WHO Emergencies preparedness, response
Chikungunya-Italy
Disease outbreak news 15 September 2017
http://www.who.int/csr/don/15-september-2017-chikungunya-italy/en/