(No.95)

コレラ – ケニア
12月13日更新

 

 2017年1月1日から11月29日までに、ケニア保健省から世界保健機関(WHO)に対して合計で3,976人の検査でコレラ診断例および可能性の高い例が報告され、これは76人の死亡例を含みます(致死率1.9%)。報告された患者の内、596人が検査で確定されました。

 2017年1月1日から11月29日まで、47あるケニアのカウンティのうち20か所(43%)で患者が報告されています。11月29日現在、7つのカウンティでコレラの流行が続いています(エンブ、ガリッサ、キリニャガ、モンバサ、ナイロビ、トゥルカナ、ワジル)。

 2017年におけるケニアの疫学は、アウトブレイク発生地域のコミュニティ、すなわち(難民)キャンプや施設、あるいはマスギャザリングのイベント中に、感染が継続しているという特徴があります。コミュニティでの継続的な感染は患者合計の約70%を占めており、大半の患者は首都ナイロビから発生しています。キャンプでの感染は主にガリッサとトゥルカナで発生し、患者合計の23%を占めます。どちらのカウンティも大規模な難民キャンプ、すなわちダダブ(Dadab)とカクマ(Kakuma)キャンプ、を設置しています。これらキャンプにおける難民は、複雑な緊急事態や大規模なコレラのアウトブレイクを現在経験しているカウンティから来ています。患者の7%は施設やマスギャザリングイベントで発生しており、これらは多くの人々が感染する特定感染源になっています。

 ケニアでは毎年コレラのアウトブレイクが起きていますが、大規模な周期的流行は約5~7年毎に発生し、2~3年続きます。

公衆衛生上の取り組み

 ケニアはアウトブレイクの対策活動を調整するため、国家的タスクフォースを立ち上げました。2017年1月以来、WHOとその支援組織はアウトブレイクを制御するために国に対して技術的支援を提供しています。国の対応計画策定に続き、WHOと支援組織はアウトブレイクへの対応活動、すなわちサーベイランス、患者の管理、社会動員を拡大するため国に対して支援を行っています。これはWASHすなわち水(Water)、下水設備(Sanitation)、衛生(Hygiene)関連活動のほかに、食品衛生基準の改善と安全な食料品の取り扱いが加わっています。この結果、コレラの患者数は減少しています。

WHOによるリスクアセスメント

 患者数の報告が減少しているにもかかわらず、アウトブレイクは2つの主要な地域周辺に集中しているようです。第1は特定の難民キャンプ、カクマとダダブで、第2は人口の多い首都ナイロビです。この2つの地域は関連があり、一つ目は過密状態で治療へのアクセスが制限され、2つめでは高い人口密度が考えられます。これは他の地区へアウトブレイクが拡大する可能性につながります。また以前の流行では雨季に患者数の増加がみられていますが、最近雨季が始まっています。

 さらに多様な身体的、社会的、政治的、そして環境的な要因がコレラのアウトブレイクに対するケニアの人々の脆弱性と感受性を高めます。これにはアフリカの角(Horn of Africa)と呼ばれる地域での干ばつ、紛争、不安定な状況などがあり、ソマリアと南スーダンにおえる紛争から逃れた人々の国内外の動きが含まれます。

 全体として、現在の流行のリスクは国レベルで高く、地域レベルと全世界レベルでは低くなっています。

WHOによるアドバイス

 WHOはコレラ治療センターで適切かつ適宜患者を管理することを推奨しています。感染が発生しているコミュニティでは、水へのアクセス、効果的な下水設備、適切な廃棄物管理を改善し衛生環境と安全な食事習慣を強化するべきです。重要な公衆衛生情報は、提供されるべきです。WHOは潜在的曝露を防ぐために、感染発生地域への旅行者に適切な衛生措置をとるように促しています。

 WHOは現在の流行において、利用出来る情報に基づき、ケニアへの旅行と貿易にいかなる制限も推奨していません。

コレラの詳細については、下記のリンクを参照してください:
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs107/en/

【出典】 Emergencies preparedness, response
Cholera – Kenya
Disease outbreak news  11 December 2017
http://www.who.int/csr/don/11-december-2017-cholera-kenya/en