(No.96)

コレラーザンビア
12月13日更新

 

 2017年10月6日、ザンビアの保健大臣は首都ルカサでコレラのアウトブレイクを発表しました。2017年9月28日から12月7日の期間で、アウトブレイクの始まりから15人の死亡を含む547人(致死率 1.8%)が報告されています。最初のアウトブレイクの期間は、9月28日から10月20日まででした。2017年10月21日から11月4日までは、報告数は毎週5人以内でした。しかし、2017年11月5日から患者の増加がみられ、11月26日に始まる週では合計136人が報告されました。

 コレラのアウトブレイクは、最初にチパタ(Chipata)準地区で発生し、2017年10月9日頃にカニャマ(Kanyama)準地区に広がりました。このアウトブレイクはルサカ市の西側にある都市近郊の町から、新しい患者が報告されたケルストン(Chelstone)準地区の東側に拡大しています。12月7日現在、感染が発生した準地区はチパタ、カニャマ、Chawama、Matero、Chilenjeそしてケルストンです。62人の患者が現在コレラ治療センターで治療を受けており、これはチパタ、カニャマ、マテロそしてBauleniにあります。患者の3分の1が5歳未満で、3分の2が5歳以上です。

 合計で282件の迅速診断検査が行われました。このうち230件が陽性でした。310件の培養検査の内、53件がVibrio cholera O1 Ogawa陽性でした(48件がチパタ、4件がカニャマ、そして1件がバウレニです)。水質モニタリングはすべての準地区で継続されており、カニャマ、マテロ、チパタでは活動が強化されています。これまでのところ検査された水源の42%が糞便性大腸菌または大腸菌で汚染されていることが示されています。

公衆衛生上の取り組み

現在、以下の通り公衆衛生対策が行われています:

・ 保健省は世界保健機関(WHO)とその支援組織と協力してアウトブレイクを制御しています。
・ 患者を治療するため5つのコレラ治療センターが設立されました。Chawama、チパタ、カニャマ、マテロ、そしてバウレニ準地区です。これまで441人の治療が成功し退院しています。
・ コレラアウトブレイクガイドラインと、標準的な手続きが更新され医療従事者と共有されました。
・ ルサカ地区の施設は積極的サーベイランス、健康教育、塩素の流通、接触者の追跡そして環境健康モニタリングを継続しています。
・ 保健省と協力して、地方自治体は汚染した水源の閉鎖に着手し、感染が発生した地域で水の供給を改善するための水および衛生(WASH)介入を実施しました。これには家庭用塩素の供給、簡易トイレの消毒、水槽の設置、浄水器の設置、水質モニタリングの強化があります。
・ ルサカ市議会は、カニャマとチパタのゴミの収集を強化し、下水処理用の浄化槽を優先的に空にしました。

WHOによるリスクアセスメント

 現在のアウトブレイクはザンビアの最大都市ルサカで発生しています。主要な感染発生地域であるチパタとカニャマは人口密度が高く、飲み水と下水設備は不適切です。これはこの病気を広がりやすくします。このアウトブレイクの感染源は、汚染された水の供給、汚染された食料、不適切な下水そして不十分な衛生習慣です。

 不適切な水の供給や下水に加え、雨季の到来によりルサカと他の州におけるアウトブレイクの危険性が増します。コレラ対策のための適切な供給が、準備活動の一環として得られるべきです。

 ザンビアは近隣諸国から約60,000人の難民(2017年9月の時点)を抱えています。難民の大部分はコンゴ民主共和国(DRC)出身であり、ルサカから1,000㎞以上離れたンチェレンゲ(Nchelenge)難民キャンプに住んでいます。

 難民の流入により居住地は過密になり、避難所、医療施設、WASH施設の必要性が高まりました。ほとんどの難民は健康状態が悪く、特に子供で顕著です。このため、アウトブレイクの危険性が高くなります。水の衛生環境は、受け入れる側の課題です。DRCの安全状況を考慮すると、さらなる難民の流入が予想されます。

WHOによるアドバイス

 WHOはコレラ治療センターで、適切かつ適宜患者を管理することを推奨しています。感染が発生しているコミュニティにおいて、飲料水と下水の基本的施設へのアクセスを改善し、衛生環境と食料の安全習慣を改善することは、コレラを制御する最も効果的な手段です。また経口コレラワクチンの使用もアウトブレイクの制御に利用できます。重要な公衆衛生情報は提供されるべきです。

 WHOは現在の流行において利用できる情報に基づき、ザンビアへの渡航と貿易についていかなる制限も推奨していません。

 コレラの詳細については、下記のリンクを参照してください:
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs107/en/