(No.4)

E型肝炎-ナミビア共和国
1月22日更新

 

 2017年10月13日に終了した週に、最初の確定患者がナミビアの首都ウイントフック(Windhoek)地区の公立病院に入院しました。患者はE型肝炎の徴候と症状を伴っていました。2018年1月8日に終わる週に、合計237人の可能性が高い患者と確定患者がウイントフック地区にある複数の保健施設でみられました。患者が同様の徴候と症状を伴っていました。すべての疑い患者はA、B、C型肝炎の検査が陰性でした。237人中41人がさらなる検査のために送られました。そして2018年1月8日、結果が判明した21人がE型肝炎のIgM抗体陽性でした。2017年11月19日、1人の確定患者が死亡しました。患者は26歳の女性で、死亡する4日前に児を出産していました。児の状態は不明です。患者の大多数はホマス(Khomas)州のウイントフック地区から発生しています。


図1:2017年9月から2018年1月8日までウイントフック地区で急性の臨床的黄疸がみられた週ごとの患者数(237人)

公衆衛生上の取り組み

ž 2017年12月14日、国家、地域、および地区の保健緊急管理委員会が活動し、ウイントフック市政府に大規模流行が伝えられました。
ž 5つの異なるワーキンググループが結成され、次の述べる課題分野で調整の強化や対応活動の計画が行われています:監視と検査、患者管理、調整と後方支援、WASH、環境保健、社会動員。
ž 2017年12月20日、保健大臣はWHOとその支援組織とともに、この流行について市民を教育するためのメディアブリーフィング(説明会)を開催しました。
ž 保健省は現在患者管理チームを率いており、すべての疑い例は治療のために病院に紹介されています。さらに監視と検査対応を強化するために、データの収集と報告ツールが保健施設に配布されています。患者の報告と調査、そして症例一覧表が強化されました。
ž 社会福祉保健省とウイントフック市からなる環境保健チームは現在、このアウトブレイクを引き起こした原因を特定するための環境調査を実施しています。
ž 全国的ラジオキャンペーンは感染が発生した地域社会にむけ、E型肝炎の危険性を啓発するために行われています。同時に流行に関連した定期的な説明会が進行中です。ウイントフック市は、感染が発生した地域で水質テストを行い、通常の監視を続けています。
ž 保健省は積極的な患者探索を確実に行い、感染の活動性がある地域を対象とした調整を行うために地域密着チームを支援する実地疫学者を配備しています。
ž 2017年12月23日から、赤十字のボランティアと地域の保健医療従事者をトレーニングし、E型肝炎の危険性が高い地域において社会動員と啓発を実施するための指導が行われています。
ž 2017年12月31日に、地域社会の指導者たちに権限を与えるため地域に密着した訓練が行われました。この目的は指導者への病気予防に対する意識を向上させ、また地域における病気の広がりに関与している行為や習慣を変えるための文化的に受容可能な介入を行うためです。
ž 地域の指導者や保健従事者たちはまた、E型肝炎に一致した徴候や症状を示す人々に早期ケアを行うために地域社会を教育するよう指導されました。

WHOによるリスクアセスメント

ナミビアにはA、B、C型肝炎が一般的に存在しますが、E型肝炎が診断されることは稀です。結果的に、この国ではE型肝炎の検査診断能力が限られています。加えて、E型肝炎の大半が首都ウイントフックにある生活状況が悪い不法居住地区から報告されています。これらの地区は過密状態で、安全な飲料水、水の衛生、そして衛生施設へのアクセスが限られています。さらにホリデーシーズンが国内における人々の動きを増やす可能性が高くなっています。これらの全てが、このアウトブレイクの大きな要因になる可能性があります。

 さらに雨季の間、飲料水や家庭での生活用水としてしばしば雨水や他の地表水を利用します。これによりE型肝炎の危険性が高まる可能性があります。そのため上記に挙げた要因はこの地区から他の不法居住地区へ患者が伝播することにつながり、似たような悪い衛生環境をもつ町や地域へ広がる可能性があります。したがって全体的なリスクは国レベルで高く、地域および世界レベルでは低いと評価されます。

WHOによるアドバイス

WHOは、家庭における浄水技術のように、様々な方法を通じて安全な水や衛生的な水へのアクセスを改善することを推奨しています。感染発生地域では水質検査を定期的に行う必要があります。屋外排泄の問題に対処するために、様々な居住区でトイレの数を増やす必要があります。加えて、廃棄物の管理と全体的な衛生管理を改善する必要があります。

さらに、リスクのある人々を対象とした介入が進行中です。出産前の妊婦のカウンセリングの確立、不法居住地区に住む人々に対する住宅環境の改善、保健施設や患者ケアを改善するための支援などです。疑い例に対し、適宜確定診断を行う地域と国の標準検査機関の能力は改善が必要です。

WHOは現在の大規模流行で利用可能な情報に基づき、ナミビアへの旅行や貿易に対しいかなる制限も推奨しません。上記にあげた一般的な衛生行為や他の予防措置の実行は、病気を防ぐために十分なものである必要があります。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Hepatitis E – Namibia
15 January 2018
http://www.who.int/csr/don/15-january-2018-hepatitis-e-namibia/en/