(No.16)

ワクチン由来ポリオウイルス2型の発生-ソマリア

3月12日更新

 ソマリアで、ワクチンに由来する伝播型ポリオウイルス2型(cVDPV2)の発生が確認されました。2018年1月4日と11日にバナディール州(ソマリアの首都モガディシュ)の環境からサンプルが採取され、3種類のcVDPV2株が分離されました。これら最新の分離株は、2017年10月22日と11月2日に同じ州で環境サンプルから採取されたcVDPV2株と遺伝子的な関連がみられます。

 なお急性弛緩性麻痺(AFP)に関連した患者は見つかっていません。

公衆衛生上の取り組み

 2017年に最初の分離株が発見されて以来、バナディール州、下部シェベリ州、中部シェベリ州において、国際的に合意されたガイドラインに沿った2回の大規模ワクチン接種キャンペーン(SIA)が実施されました。
 3回目のSIAは2018年3月に実施が予定されています。疫学の進展や継続的リスクアセスメントに基づくさらなる対応は評価されています。AFP患者のサーベイランスは強化されています。

 世界保健機関(WHO)とその支援組織は現地の保健当局を支援しており、特定されたcVDPV2のリスクをより正確に評価するため、現地調査とリスクアセスメントを実施しています。

WHOによるリスクアセスメント

 今回のcVDPV2株の検出により、すべてのポリオウイルスの伝播リスクや影響を最小限にするため、すべてのレベルで定期ポリオワクチン接種率を高いレベルで維持することが重要です。またこのような事象は、ワクチンの定期接種を通じて高い集団免疫を維持することの妨げになるような大きな不安を地区や地域に与えるリスクを高めます。WHOは疫学的な状況や実施された予防措置に対する評価を続けていきます。

WHOによるアドバイス

 全ての国々、とくにポリオが発生している国や地域と頻繁に接触や渡航がある国々においては、AFP患者のサーベイランスを強化することが重要です。これにより迅速にすべてのポリオ患者を発見し、予防措置を行い、必要な場合には対応の迅速化を図れます。またこれらの国々ではすべての地域で定期ポリオワクチン接種による高い免疫獲得率を一定に保つことで、新たなウイルスの誘導や出現の影響を最小限にすることができます。 

 WHOの「国際旅行と健康(International Travel and Health)」は、ポリオが発生している地域へ向かうすべての旅行者に対し、ポリオワクチン接種が完全に行われることを推奨しています。感染地域から来た居住者(と4週間以上滞在する旅行者)には、経口ポリオワクチン(OPV)もしくは不活化ポリオワクチン(IPV)を、渡航の4週間から12ヶ月以内に追加投与する必要があります。

 ポリオウイルス感染が伝播した国々は、国際保健規則(IHR)の暫定的推奨の対象となります。これにより国々は、公衆衛生上の緊急事態としてポリオ患者を報告し、すべての国際渡航者に対してワクチン接種を考慮することが求められます。ポリオウイルスを輸出している全ての国は、渡航前の全ての国際旅行者に対して確実なワクチン接種を行う必要があります。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Disease outbreak news
Circulating vaccine-derived poliovirus type 2 – Somalia
9 Murch 2018
http://www.who.int/csr/don/09-March-2018-polio-Somalia/en/