黄熱ワクチンについて

■黄熱とはどういう病気ですか?

黄熱は、黄熱ウイルス感染によって起きる重篤な感染症です。黄熱に感染した蚊に刺されることで感染します。アフリカの熱帯地域と中南米の熱帯地域にみられます。
黄熱病の症状には、
・発熱とインフルエンザ様症状
・黄疸(皮膚や眼球が黄色くなる)
・肝臓、腎臓、呼吸器などの臓器の機能低下
・吐血
・死亡
などがあります。初感染の場合死亡率は30%~50%と非常に高い危険な病気です。

■黄熱を予防するにはどうしたらいいですか?

黄熱ワクチンにより予防します。黄熱ワクチンは、国に登録された機関で接種することができ、日本では検疫所と日本検疫衛生協会で接種を行っています。
また、蚊によって人から人に移る病気ですので、蚊を防ぐことも重要です。熱帯では蚊はマラリア、デングなど他の多くの病気も運んでいます。肌の露出部には防虫剤を使用し、部屋の中では網戸や蚊帳を利用するようにしましょう。

■どういう場合に黄熱ワクチンの接種が必要ですか?

黄熱のリスク国へ渡航する場合に接種を行ってください。入国条件として国際予防接種証明書の提示を要求される場合にはもちろん接種が必要ですが、国によってはリスク国であっても予防接種を要求しない国もあります。このような場合にも、自分を守るために接種することをお勧めします。詳しくはFORTHホームページの黄熱予防接種要求国をご覧ください。

■どういう場合に黄熱の予防接種証明書が必要になりますか?

黄熱リスク国へ入国する場合と、黄熱リスク国から次の国に入国するときに提示を求められる場合があります。詳しくはFORTHホームページの黄熱予防接種要求国をご覧ください

■黄熱リスク国とはどういう国ですか?

黄熱リスク国はWHOにより公開されており、アフリカと中南米の熱帯地域の国々が該当します。黄熱の患者が発生している流行中の国だけでなく、現在患者は発生していないが流行が発生する可能性のある国も含まれます。詳しくは、WHOのInternational Travel and Health のANNEX 1(英文)または FORTHホームページの黄熱予防接種要求国をご参照ください。

■黄熱の予防接種の有効期間はどれ位ですか?

黄熱の予防接種証明書の有効期間は、接種後10日目から10年間です。実際の免疫は10年以上持続すると考えられています。

■黄熱の予防接種は、海外旅行に出発する前のいつ頃に接種できますか?

次の3つの事を考えて、接種日を決めて下さい。
(1) 黄熱予防接種証明書は、接種後10日目から10年間有効です。黄熱リスク国に入国する10日以上前に接種することをおすすめします。
(2) 接種日に発熱などの体調が悪くなると、接種できないことがあります。
(3) 黄熱ワクチン接種後10日程度以内に、ワクチンの副反応として発熱や頭痛などの症状がでる事があります。
(4) 国によって、ビザの発行手続きで黄熱予防接種証明書の提示を求められることがあります。この場合手続き開始前に接種が終了している必要があります。
このように考えますと、できれば出発する1か月以上前に接種することをお勧めします。黄熱以外の予防接種を受ける場合にはさらに時間がかかります。出発の数ヶ月前に、検疫所か予防接種をする医療機関と相談してください。
■海外へ出発または海外から到着の当日に予防接種を受けることはできますか?
中部空港検疫所支所では、接種当日に出発又は到着する海外渡航者の予約はお断りしています。

■黄熱ワクチンのもっと詳しい情報を見たいのですが?

こちらのサイトに、添付文書が公開されています。
http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00054328.pdf

■黄熱の予防接種は、何歳から何歳まで接種できますか?

原則として生後9か月以上に接種を行います。年齢の上限はありませんが、65歳以上では副反応発生リスクが高まるので、注意が必要です。
*米国での副反応調査
年齢別の接種者10万人あたりの重篤な副反応発現率
25~44歳:0.28人/10万人
65~74歳:3.5人/10万人(12.3倍)
75歳以上:9.1人/10万人(32倍)

■黄熱の予防接種証明書は、いつもらえますか?。

予防接種を受けた当日にお渡しします。ただし証明書に、10日後から有効と記載がありますので、9日間は有効ではありません。

■黄熱の国際予防接種証明書に記載ミス不備がありました。

当検疫所で黄熱の予防接種を受けられた方で、帰宅して証明書の不備(証明書とパスポートの名前、生年月日、性別が違うことなど。)に気がついた場合には、再発行します。速やかに、当検疫所検疫 衛生課へ御連絡下さい。

■黄熱の予防接種証明書を紛失しました。 再発行をお願いしたいのですが?。

接種後10年未満で、接種記録が確認できた方に対し、黄熱予防接種証明書を再発行しています。詳しくは、接種された検疫所検疫衛生課へ御連絡下さい。

■黄熱の予防接種は、どんなワクチンですか?

黄熱病のワクチンは弱毒性ウイルスで、生ワクチンです。 黄熱の予防接種後は、他のワクチンが4週間できません。接種量0.5ml中に、D-ソルビトール7.5mg(W/V%1.5%)、ブタ皮膚由来のゼラチン7.5mg(W/V%1.5%)が含まれています。

《女性の方へ》接種後2ヶ月間は妊娠を避けるようにして下さい。

■黄熱の予防接種は、安全ですか、副反応(副作用)は出ますか?

黄熱のワクチンは生ワクチンです。100%安全とはいえません。接種後に軽い副反応(副作用)が出ることがあります。重大な副反応としては、まれですが以下の3種類があります。

1) ショック、アナフィラキシー様症状
蕁麻疹、喘息様症状、呼吸困難、血管浮腫などのアナフィラキシー様症状が現れることがあります。特に接種後30分以内に重症化することがあるので、接種後30分は待合室で様子をみていただきます。

2) 脳炎
20万人に1人程度の割合で脳炎が起きる事があります。

3) 熱性多臓器不全
40万人に1人程度の割合で、2~5日目に疲労、筋肉痛、頭痛を伴う発熱が現れ、呼吸不全、肝機能障害、リンパ球減少、血小板減少、高ビリルビン血症状、腎不全などの急速な進行を特徴とする多臓器不全に至ることがあります。

軽度な副反応としては、疼痛、筋肉痛、倦怠感、喘息様症状等の全身反応が接種後数日間に10~30%に認められます。黄熱に実際に感染すると30%~50%が死亡すると言われていますので、接種のリスクが感染のリスクを上回る場合に接種をおすすめします。

■どういう場合に黄熱予防接種が接種できませんか?また注意が必要ですか?

以下の場合があります。

○卵、鶏肉、ゼラチン、豚肉を食べて重篤なアレルギー症状が出たことがある人。
 黄熱ワクチンの成分に微量ながら含まれるためです。

○9ヶ月未満の乳児
 接種後に脳炎を起こす可能性がありますので接種できません。黄熱流行地域への渡航を避けるか延期をご検討ください。

○妊娠中の方
 黄熱流行地域への渡航を避けるか延期をご検討ください。またワクチンによる胎児への影響も理論上否定できませんので、黄熱ワクチン接種を避けた方がよいです。ただし流行が実際に起きている地域への渡航が不可避で延期できない場合には、接種せずに渡航するのは危険ですので、接種医にご相談ください。

○免疫が低下した状態、あるいは免疫を抑制する治療を行っている場合
 免疫が低下する状態としては以下のものがあります。
 ワクチンは人為的に感染症に感染させることで免疫をつけますので、体の免疫が落ちているとワクチンを接種しても免疫がつきません。
 また、黄熱は生ワクチンなので、体の免疫がつかないとワクチンに含まれる黄熱ウイルスが増殖して、副反応が出やすくなる可能性があります。
  ◇HIV感染症、AIDS(後天性免疫不全症候群)、その他免疫に影響する疾患
  ◇ステロイドのような免疫を抑制する薬を内服している場合
  ◇癌や白血病などで抗癌剤治療や放射線治療を行っている場合
  ◇胸腺摘出や重症筋無力症などの胸腺関連疾患の場合
  ◇65才以上で、風邪にかかりやすいなどの免疫が低下している場合
 なお、高血圧、高脂血症、痛風、整腸剤、胃潰瘍、睡眠薬や抗うつ剤など多くの薬は予防接種に影響ありません。またステロイドの外用薬(塗り薬)も通常の使用量であれば問題ありません。

■黄熱ワクチンを接種できない場合はどうすればいいですか?

黄熱ワクチンを接種できない場合には、禁忌証明書を発行します。殆どの国では禁忌証明が接種証明書の代わりとして有効になりますが、事前に渡航先国の大使館、領事館に確認してください。また、ワクチンが接種できませんから黄熱に対する免疫はありません。リスク地域では蚊に刺されないよう防虫手段を取り、また黄熱の流行地域に入らないようにして感染予防をしてください。

■妊娠を予定しています。黄熱ワクチンを接種後なにか気をつけることはありますか?

黄熱ワクチンが妊婦に接種したときの悪影響の報告はありませんが、生ワクチンですので理論上胎児に悪影響がでる可能性も否定できません。接種後2ヶ月の避妊をおすすめします。

■接種後妊娠が明らかになりました。中絶する必要がありますか?

黄熱ワクチンが妊娠に妊婦に対する影響は充分には解明されていませんが、実際に悪影響があったという報告はありません。中絶する必要はありませんのでご安心ください。

■黄熱の予防接種は、授乳中でも接種できますか?

黄熱ウイルスが授乳を介して新生児に悪影響をおよぼした報告はありませんが、理論上胎児に悪影響がでる可能性も否定できません。用心のため1ヶ月程度授乳を避けることをお勧めします。

参考文献:
Yellow Fever Vaccine Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), 2002

MMWR Recommendations and Reports, November 8, 2002 / 51(RR17);1-10

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr5117a1.htm

MMWR Recommendations and Reports, November 8, 2002 / 51(RR17);1-10