黄熱以外の予防接種、予防薬について

■海外に長期間、旅行か滞在します。どういうワクチンを選べばいいですか?

”子供の場合”
 予防接種は定期予防接種を優先します。また、旅行までに打てる予防接種は前倒しするといいでしょう。あとは渡航先のリスクに応じて選択します。

”子供が現地の学校(保育施設~大学)に行く場合”
 学校の入学条件として、ポリオや麻疹・風疹・おたふくかぜの追加が必要になることがあります。早めに入学書類をとりよせ検討してください。なお予防接種の英文での証明書が必要になることがあります。母子健康手帳にある予防接種の記述を英文にする必要があります。  

”成人の場合”
 リスクに応じて接種します。外傷の危険のある場合には破傷風とB型肝炎を、衛生状態の良くない地域に滞在するならA型肝炎を、東アジア~南アジアの田園地域などの辺地に滞在するなら日本脳炎をおすすめします。接種回数等についてはお問い合わせください。

■海外に多い病気の地域分布は?

WHO International Travel and Health のChapter 5のP80~92に流行地の地図があります。以下に引用します。
A型肝炎
B型肝炎
C型肝炎
日本脳炎
マラリア
ポリオ
狂犬病
結核
HIV(AIDSウイルス)

■A型肝炎ワクチンは、どういう場合に推奨されますか?

途上国に中・長期(1ヶ月以上)滞在する人、衛生的な飲食物が入手できない場合におすすめします。水、食べ物から感染し、発病すると2~4週間病院で寝込むことになります。世界保健機関(WHO)ガイドラインでは1歳以上の小児への接種が推奨されています。
途上国でも、シンガポール、バンコク、クアラルンプール、ホンコン、マカオ、シャンハイなどの発展した都市部で衛生的な飲食を行う場合には感染リスクは最小限です。

■破傷風は、どういう場合に推奨されますか?

怪我をする可能性の高い人におすすめします。特に、交通事故のリスクのある人、危険なスポーツをする人があげられます。小児の定期予防接種でDPT三種混合ワクチンを接種している人は、10年間破傷風の免疫があります。10年以上経過している場合には1回接種し、10年間有効になります。過去に接種したことの無い方は、渡航前にできるだけ2回以上の接種をお勧めします。

■狂犬病は、どういう場合に推奨されますか?

獣医や動物ブローカーなど、動物と直接接触し、動物に噛まれたり、引っかかれたりするす能性の高い人。通常の、咬まれる前に接種する接種方法(暴露前接種)と、咬まれた後に接種する方法(暴露後接種)があります。なお日本では現在狂犬病ワクチンが著しく不足しているため、暴露前接種は一部の医療機関でしか接種できないようです。

■B型肝炎は、どういう場合に推奨されますか?

血液(輸血や注射針の使い回し)または体液(性行為によることがものを多い)に接触する可能性の高い人。感染すると急性肝炎を発病し、いったん治癒します。しかし肝臓にウイルスが残っていて、数十年後に肝硬変から肝癌になるリスクが高くなります。流行地域に長期滞在する方はできるだけ3回の接種をお勧めします。

■日本脳炎は、どういう場合に推奨されますか?

主に東アジア~南アジアの農村などの郊外に長期滞在する人。日本脳炎はブタから蚊を介して感染し、脳炎を起こします。
日本では昭和51年から日本脳炎を定期予防接種として接種してきましたが、日本脳炎ワクチンが原因と思われる脳炎患者が発生したため、平成17年以後定期予防接種としての接種は見合わせております。これは、国内で日本脳炎の感染リスクがきわめて低く、ワクチン接種のリスクの方が上回ると考えられたためです。
流行地域に滞在する場合には、ワクチン接種のリスクより感染のリスクが上回りますので、接種をおすすめします。お子さんの場合、定期予防接種の接種年齢であれば公費負担が受けられる場合もありますので、市の保健センターにお問い合わせください。

■マラリアは、どういう場合に推奨されますか?

マラリアは熱帯地域の多くの国に存在します。蚊によって感染する病気で、1~4週間の潜伏期の後に高熱で発病します。発病後5日以内に「抗マラリア薬」を用いて治療しないと重症化して死に至りますので、流行地に滞在後に高熱が出た時には、必ずマラリアの検査をうけてください。早期に抗マラリア薬で治療すれば治癒します。ワクチンは残念ながらまだありません。以下の方法で予防してください。また、発病が疑われる時には早期に治療してください。

■蚊を予防するにはどうすればいいですか?

蚊はマラリアや日本脳炎、デング熱、フィラリアなどを媒介しますので、蚊にさされないよう気をつけましょう。蚊に刺されないように、服装には長袖の服などで皮膚の露出を減らします。また、蚊取り線香、防虫剤の使用もあります。

■マラリアの予防内服薬は入手できますか?

国内ではメファキン(R)が認可されています。処方薬ですので医療機関で処方をうけてください。ただ日本には存在しない病気のため一般の医療機関では常備していないことがあります。詳しくはご相談ください。

■ポリオは、どういう場合に推奨されますか?

ポリオはいわゆる「小児麻痺」で、経口感染し発病すると脳炎を起こし、麻痺を残すことがあります。主な流行地域は南アジアとアフリカです。世界各国ではワクチンを3回以上接種していますが、日本では2回接種なので免疫が低い人がいます。特に昭和50~52年生まれの方は免疫が低い傾向があるので、1回の追加接種をおすすめします。(次項参照)

■昭和50年から52年生まれです。ポリオのワクチン接種を勧められましたが。必要ですか?

平成6年度の厚生省(現在、厚生労働省)調査によると昭和50年~昭和52年生まれのポリオの抗体保有率が低いことが示されました。ポリオウイルスの常在国に渡航される時は旅行前約1月、本人の子供がポリオワクチン接種を受ける時はその子供と同時期に、ポリオワクチンの予防接種を受けることが適当で す。なお任意接種となるので費用は自費で、健康保険は利用できません。なお抗体保有率は、昭和50年生まれで56.8%、昭和51年生まれで37.0%、昭和52年生まれで63.8%で、他の年代では、概ね80~90%です。