動物由来感染症の病原体の多くは本来は動物が持っているものです。このため動物の種類ごとに分けて考えることで、さまざまな動物由来感染症の特徴を見いだすことができます。こうした種類分けにはもちろん例外や中間的なものもありますが、以下のように考えてみたいと思います。
●ペット
人間とペットは非常に密着した距離で生活しているため、ペット由来の動物由来感染症の特徴の一つに咬まれたり引っ掻かれたり、また気づかずに排泄物(糞や尿)に触れた手を口にもっていったりしてうつる直接伝播(後述)が多いことがあります。
ところでここ数年、生活や価値観が多様化してきたのに伴って従来のペットとは異なる動物(いわゆるエキゾチックアニマルと呼ばれます)をペットとして飼育する人が増えています。しかしエキゾチックアニマルが、これまで知られていない未知の感染症も含めてどのような感染症を持っているのか、知られていることは多くありません。
数千年以上もの時間をかけて人間との共同生活に必要な安全性が確立されてきたイヌやネコでさえ、時として彼ら特有の感染症を人にうつすことがあることを考えると、エキゾチックアニマルの持っている危険性の大きさは容易に想像できます。
●野生動物
野生動物は本来は人間とは異なる生活圏内で生きているために直接人間に感染症をうつす機会は少ないと思われがちです。しかし、タヌキ、イノシシ、サル、キジ、コウモリ、鳥類など、人間と近い距離で生きている野生動物もたくさんいます。またレクリエーション等で野外活動をする場合に野生動物の世界に足を踏み入れる機会はよくあります。また、上に述べたエキゾチックアニマルはたとえ人間に飼育されていても野生動物であることに違いはありません。
●都市型野生動物
ネズミ、ハト、カラスなどは都市型野生動物と呼ばれることがあります。これらの動物は人間に管理されていないという意味では野生動物のライフスタイルを持っています。しかし一方で彼らの食生活と住生活は人間社会に強く依存しており、集団の密度も他の野生動物に比べて高い都市型です。このため動物本来の感染症に加えて、人間の感染症を拡げる危険性も有しています。このような都市型野生動物はほとんど全ての人間の生活圏で見ることができます。
●学校動物
学校や幼稚園、および老人施設などで飼育している動物を仮に学校動物と呼ぶことにします。学校動物は、次に説明する展示動物とペットとの中間的な性格を持っていると思われます。
学校動物は児童・園児や老人施設利用者など、抵抗力の弱い人達との接触の機会が多いことから、その健康管理に十分注意する必要があります。
●展示動物
動物園や水族館など、観客に見せることを主な目的としている施設で飼育されている動物のグループです。イヌやネコなどの身近な動物から世界の珍獣までさまざまな種類が飼育されていますが、主要な施設では比較的健康管理に注意していることと、人間との直接接触が限られていることなどから動物由来感染症の感染源となることは少ないと思われます。
●家畜/魚介類
われわれ人間は牛や豚などのさまざまな種類の家畜や魚介類を食用目的などの畜産製品として利用していますが、肉、魚などが動物由来感染症の原因となる可能性があります。
●実験動物
過去には研究施設などで実験用の動物が汚染されていたために人間への感染源となった例もありました。
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