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■ツツガムシ病 tsutsugamushidisease、scrubtyphus
病原体:オリエンチア(旧名リケッチア)ツツガムシOrientia(Rickettsia)tsutsugamushi 好発年齢:成人 性差:なし 分布:アジア全域。特に、日本、韓国、中国、台湾、タイ、マレーシアなど ツツガムシ病の背景 ■疫学状況 ●1980年以後多発しており、届け出患者数は年間約500人である。 ●発生地域は北海道・沖縄を除く全都道府県に及んでいる。 ●発生時期は秋〜初冬が最も多いが、東北地方では春〜初夏にも多発する。 ●韓国、中国、タイ、マレーシアの諸国をはじめアジア各地で発生している。 ■病原体・毒素 ●Orientia(旧名Rickettsia)tsutsugamushi。 ●O.tsutsugamushiには血清学的型別があり、古典的ツツガムシ病ではGilliam、Karp、Katoの3型が標準的な型とされている。新型ツツガムシ病では、そのほかにIrie(またはKawasaki)およびHirano(またはKuroki)の2型も多い。これら両型のリケッチアのマウスに対する病原性は、標準型と異なりきわめて低い。しかし患者の臨床症状は必ずしも軽症ではなく、さらに検討を要する(なお、古典的ツツガムシ病は新潟・山形・秋田地方の河川の流域に限局して発生し、アカツツガムシ媒介性の型を、新型ツツガムシ病は、全国各地で発生し、フトゲツツガムシまたはタテツツガムシが主として媒介する型をさす)。 ■感染経路 ●O.tsutsugamushiの自然界における宿主はツツガムシで、草叢や林の土の中を生息場所とする。 ●ツツガムシの幼虫は成長過程で一度地表に出て、野ネズミなどの動物に吸着して組織液を吸う。幼虫がリケッチアを保有すると、刺咬部の皮膚から感染する。この時期は気温などの条件で、地域により一定していることが患者の発生時期を規定している。 ■潜伏期 ●5〜14日。 診断と治療 ■臨床症状 ◎症状 ●発熱、発疹、刺し口が主要症状である。 ●発熱は数日で39〜40°Cに達し、激しい頭痛、悪寒、全身倦怠、食欲不振、筋肉痛、関節痛、結膜充血、咽頭発赤、下痢・嘔吐などを伴う。約2週間弛張または稽留したのち徐々に解熱する。 ●発疹は2〜5病日に出現する。径5mm前後、紅斑性、丘疹性で全身に出現するが、胸・腹部、背部に多い。7日程度で消退に向かう。重症例では出血性となる。 ●刺し口はツツガムシの刺咬部の局所に生じる初期病変で、水疱・膿疱を経て潰瘍になり、中央部は黒褐色の痂皮で覆われ、周囲に発赤と腫脹を認める。痂皮は径10mm前後である。部位は胸・腹部、腋窩部、鼠径部、四肢に多いが、陰部など見過ごされやすい部位にあることも少なくない。疼痛はほとんどない。 ●刺し口の所属リンパ節腫脹はほとんど必発で、全身のリンパ節腫脹は約半数にみられる。肝・脾腫は通常、軽度である。 ●重症例では、DICによる出血傾向、髄膜刺激症状、昏睡、痙攣などの中枢神経症状、肝障害による黄疸、末梢血管抵抗の減弱や心筋障害による血圧低下、間質性肺炎や胸膜炎などを合併する。 ■検査所見 ●末梢血:急性期は白血球減少と好中球の相対的増加。回復期は白血球の軽度増加、リンパ球増加をみる。血小板数は急性期に軽度減少する。高度の場合はDICを疑う。貧血は重症でみられる。 ●赤沈、CRP:赤沈は中等度に亢進。CRP陽性。 ●血液生化学:AST(GOT)、ALT(GPT)、LDHが上昇し、重症例ではいずれも1,000IU/l以上となる。重症例で血清アルブミンの低下、γ―グロブリンの上昇、BUNの上昇をみる。 ●血清抗O.tsutsugamushi抗体価:間接蛍光抗体法(IFA)または間接免疫ペルオキシダーゼ法(IPA)による。感染リケッチアの血清型と一致する抗原株に対する抗体価が最も高値を示す。 ●末梢血からのO.tsutsugamushi分離:マウスまたは培養細胞で分離。結果判明までに日数を要する。 ●末梢血(全血または単核細胞)からのO.tsutsugamushiDNA検出、PCR.急性期の診断に有用。 ■診断・鑑別診断 ◎確定診断 ●刺し口。 ●血清抗O.tsutsugamushi抗体上昇。 ●末梢血からの病原リケッチア分離。 ●PCR、末梢血からの病原リケッチアのDNAの検出。 ◎鑑別診断 ●細菌、ウイルスによる発疹性・熱性の急性感染症:刺し口、感染機会の有無、血清抗体測定。 ●日本紅斑熱:臨床的には鑑別困難。発生地域、発生季節など疫学的な背景。血清抗Rickettsiajaponica抗体測定。 ■治療 ●第1選択薬はテトラサイクリン系抗菌薬である(ミノサイクリン、200mg/日)。通常1〜2日で速やかに解熱し、自・他覚所見も軽快する。ただし、薬剤の投与は7〜10日継続する。 ●テトラサイクリン系薬剤が使用できない場合は、第2選択薬であるクロラムフェニコールを用いる。 ●β―ラクタム系薬剤は全く無効である。 ●重症の場合はDICに対する処置などが必要。 ■経過・予後・治療効果判定 ●予後は一般に良好であるが、軽症から致命的なものまで幅広いスペクトルを示すのが特徴であり、現在でも死亡例の報告がある。 ●7病日以後になると重症化の傾向が高いので、早期診断が重要である。 ■合併症・続発症とその対応 ●合併症としては、DIC、間質性肺炎、脳炎・髄膜炎、肝障害などがある。 ■2次感染予防・感染の管理 ●ヒトからヒトへの感染はないので、特に2次感染の予防処置は必要ない。 ●ワクチンはない。 ●多発時期には感染の可能性がある地域の林や草叢への立ち入りを避ける。感染機会があった後の発熱には早期の対応が求められる。 |
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