●E型肝炎 ●ウエストナイル熱 ●エキノコックス症 ●黄熱
●オウム病 ●回帰熱 ●Q熱 ●狂犬病 ●高病原性鳥インフルエンザ
●腎症候性出血熱 ●サル痘 ●炭疽
●ツツガムシ病 ●デング熱
●ニパウイルス感染症 ●日本紅斑病 ●日本脳炎
●ハンタウイルス肺症候群 ●発疹チフス ●マラリア ●ライム病
●リッサウイルス感染症 ●レプトスピラ症 ●野兎病
●Bウイルス病 ●ブルセラ症 ●インフルエンザ
●急性脳炎(日本脳炎を除く)



■Bウイルス病 Bvirusdisease

病原体:BウイルスBvirus、オナガザルヘルペスウイルスCercopithecineherpesvirus1、サルヘルペスウイルスHerpesvirussimiaeともいう
好発年齢:特になし
性差:特になし
分布:Bウイルスはアジア産マカカ属のサル類が保有しており、これまでのヒトでの感染報告例はすべて米国である

Bウイルスの背景
■疫学状況
●1932年米国でDr.B(Bウイルスの名前の由来)がアカゲザルに咬まれ急性進行性髄膜脳炎症状を呈して死亡した例が最初である。その後現在まで30〜40例の報告(いずれも米国)がなされている。アジア産マカカ属サル類が自然宿主である。
●未成熟サルはウイルスに感染している率は低いが、群飼育では性成熟に達するまでにウイルスに感染し、成体では80〜90%が陽性となる。ウイルスは三叉神経節などに潜伏し、感染したサルは一生ウイルスを保有する。ストレスなどでウイルスは再活性化する。

■感染経路
●サルからヒトへの感染経路はサルに咬まれたり、引っ掻かれた際にサルの唾液が傷口に付着することが最も多い。
●唾液が眼に入ったこと、頭蓋骨を素手で洗ったこと、使用した注射針を指に刺したこと、腎臓細胞培養に用いたガラス容器の破片で切り傷を受けた例が報告されている。
●2次感染は夫から妻へ感染した1例が報告されている。咬傷病変を治療する際、妻が皮膚炎を起こしており2次感染を起こしたきわめてまれなケースである。

診断と治療
■臨床症状
●典型的臨床経過は前駆症状として暴露後1〜2日目に傷口に水疱出現、潰瘍形成。
●局所リンパ節の腫脹。その後平均10〜20日で発熱、頭痛、悪感などとともに筋肉痛、めまい、嚥下困難、腹痛。
●その後下半身麻痺から上向性に麻痺が進行し、肺虚脱で死亡する。

■検査所見
●病理学的には脳、脊髄の広範な変性と壊死、時に核内封入体がみられる。病変だけでは単純ヘルペス脳炎との鑑別は困難である。またHSV-1が強い交叉反応を示すため血清鑑別診断は困難である。

■診断・鑑別診断
◎確定診断
●吸収後の髄液中Bウイルス特異抗体の経過に伴う上昇は診断に役立つ。

◎鑑別診断
●PCRと制限酵素断片長多型(RFLP)のパターンにより、遺伝子診断的にHSV-1とBウイルスを鑑別診断する試みがなされている。

■治療
●ヒトがBウイルスに感染した場合には、単純ヘルペスウイルスの治療に使用されているアシクロビル、ガンシクロビルが有効である。

■経過・予後・治療効果判定
●ヒトのBウイルス感染は70%以上の致死率であった。最近は感染初期の抗ウイルス剤による治療や維持療法の進歩で致死率は低下している。
●通常は発症後2〜30日で死亡。

■2次感染予防・感染管理
●Bウイルスに暴露された場合の対応について、米国からガイドラインが出ている。
●ワクチンをはじめ現在Bウイルスに対する有効な予防法はない。



出典:日本医師会編・発行≪日本医師会生涯教育シリーズ≫「感染症の診断・治療ガイドライン」より、日本医師会の許可を得て転載