●E型肝炎 ●ウエストナイル熱 ●エキノコックス症 ●黄熱
●オウム病 ●回帰熱 ●Q熱 ●狂犬病 ●高病原性鳥インフルエンザ
●腎症候性出血熱 ●サル痘 ●炭疽
●ツツガムシ病 ●デング熱
●ニパウイルス感染症 ●日本紅斑病 ●日本脳炎
●ハンタウイルス肺症候群 ●発疹チフス ●マラリア ●ライム病
●リッサウイルス感染症 ●レプトスピラ症 ●野兎病
●Bウイルス病 ●ブルセラ症 ●インフルエンザ
●急性脳炎(日本脳炎を除く)




■Q熱 Qfever

病原体:コクシエラバーネッティイCoxiellaburnetii
好発年齢:特になし
性差:なし
分布:世界的に分布

Q熱の背景
■疫学状況
●世界中に分布しており、先進各国では年間数百例程度の報告がある。わが国の実態はほとんど把握されていないが、最近、国内で感染した症例の報告がなされている。

■病原体・毒素
●リケッチアであるCoxiellaburnetii。

■感染経路
●自然界では野生動物、家畜、愛玩動物が不顕性感染している。感染動物由来の羊水、胎盤などに汚染された塵挨やエアロゾールの吸引、および汚染獣皮、毛皮類などからの経気道感染が最も多い。非殺菌生乳の飲用による経口感染もありうる。その他、感染動物の尿、糞便も感染源になりうる。

■潜伏期
●2〜4週間(平均20日間)。

診断と治療
■臨床症状
●悪寒・戦慄を伴う急激な発熱、頭痛、眼球後部痛、筋肉痛、食欲不振、全身倦怠感など。発熱は38〜40°Cに及び、弛張性で2週間程度持続する。胸痛や咳、粘液性の喀痰、髄膜刺激症状を伴うこともある。

■検査所見
●末梢白血球数および分類に変化は少ない。血小板数は減少することが多い。赤沈値は亢進する。CRPは陽性化し、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDHが上昇する。
●肺炎の場合の胸部X線検査では異型肺炎像を示す。

■診断・鑑別診断
●確定診断
●血清学的診断、PCRによるDNA診断、または病原体の分離により行われる。現状では血清学的診断が一般的かつ実用的である。
●ペア血清について間接蛍光抗体法(IFA)またはELISAにより抗体価の上昇を確認する。
●PCRには患者血液を検体とする。
●病原体の分離には治療開始前の患者血液をマウス、モルモット、発育鶏卵、または培養細胞に接種する。
●鑑別診断
●発熱疾患全般が対象となる。肺炎所見がある場合は、細菌性肺炎(特にレジオネラ肺炎)、ウイルス性肺炎、マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎(オウム病を含む)との鑑別を要する。その他、インフルエンザ、ウイルス性肝炎、細菌性心内膜炎。

■治療
●急性Q熱ではテトラサイクリン系抗生物質およびクロラムフェニコールが有効である。
●慢性Q熱では化学療法の効果があまり期待できず、2年以上に及ぶ化学療法でも菌の陰性化がみられないケースが多い。

■経過・予後・治療効果判定
●急性Q熱の多くは2週間程度で自然治癒し死亡例はまれ。しかし、化学療法により有熱期間が短縮され、慢性化が予防される。慢性Q熱性心内膜炎は内科的治療のみでは予後不良の場合が多い。

■合併症・続発症とその対応
●肺炎、肝炎、骨髄炎、髄膜炎、慢性心内膜炎、慢性肝炎。

■2次感染の予防・感染の管理
●ヒトからヒトへの感染はまれであるといわれている。不活化ワクチンが開発されているが一般に広く使用するには副作用の点で問題がある。欧米では感染リスクの高い者に対してのみ使用されている。



出典:日本医師会編・発行≪日本医師会生涯教育シリーズ≫「感染症の診断・治療ガイドライン」より、日本医師会の許可を得て転載