●E型肝炎 ●ウエストナイル熱 ●エキノコックス症 ●黄熱
●オウム病 ●回帰熱 ●Q熱 ●狂犬病 ●高病原性鳥インフルエンザ
●腎症候性出血熱 ●サル痘 ●炭疽
●ツツガムシ病 ●デング熱
●ニパウイルス感染症 ●日本紅斑病 ●日本脳炎
●ハンタウイルス肺症候群 ●発疹チフス ●マラリア ●ライム病
●リッサウイルス感染症 ●レプトスピラ症 ●野兎病
●Bウイルス病 ●ブルセラ症 ●インフルエンザ
●急性脳炎(日本脳炎を除く)



■狂犬病 rabies

病原体:狂犬病ウイルスrabiesvirus
好発年齢:特になし
性差:なし
分布:世界的に分布(一部の地域を除く)

狂犬病の背景
■疫学状況
●日本、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域を除いて、全世界に分布する。
●キツネ、アライグマ、スカンク、コウモリ、ジャッカルなど、野生動物に感染サイクルが成立している。

■病原体・毒素
●ラブドウイルス科の狂犬病ウイルス。
●ウイルス粒子は砲弾型でエンベロープをもつ。ゲノムは(−)鎖RNA。

■感染経路
●通常は罹患動物による咬傷の部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入。ヒトへの感染は終末感染。実験室感染では経気道感染もありうる。

■潜伏期
●平均30日(2週間〜1、2年)。


診断と治療
■臨床症状
●前駆期(2〜10日間)にはかぜに似た症状のほか、咬傷部位に掻痒感、熱感などの異常感覚がみられる。次の急性期には不安感、恐水症状、興奮性、麻痺、精神錯乱などの神経症状が現れ、2〜7日後に昏睡期に至り、呼吸障害により死亡する。
●急性期の神経症状がみられずに麻痺が全身に拡がる例もあり(麻痺型)、特にコウモリに咬まれて発病したケースに多く、死亡までの病期は比較的長い。

■検査所見
●抗ウイルス抗体の検出(脳脊髄液、血清)。蛍光抗体法(FA)によるウイルス抗原の検出(皮膚、角膜)。

■診断・鑑別診断
◎確定診断
●脳脊髄液や血清中抗ウイルス抗体の検出、皮膚、角膜などからウイルス抗原の検出。
●死後の診断では脳組織中のウイルス抗原の検出、あるいはウイルスの分離。

◎鑑別診断
●恐水症状などの定型的な症状を示さないケースがしばしばあり、症状や経過だけでは種々の神経疾患との鑑別が困難で、原因不明の神経疾患として死亡した患者の中に、死後の病理組織学的検査により狂犬病と診断されることがある。

■治療
●発病後の有効な治療法はない。
●罹患動物に咬まれた場合の治療として、ワクチン接種および抗ウイルス抗体の投与により発症阻止が図られる。

■経過・予後・治療効果判定
●発病後数日以内にほぼ100%が死亡する。

■合併症・続発症とその対応
●最終的には呼吸麻痺。

■2次感染予防・感染の管理
●通常はヒトからヒトへの感染はない(終末感染)。
●イヌ・ネコへのワクチン接種や輸入動物の検疫の強化。



出典:日本医師会編・発行≪日本医師会生涯教育シリーズ≫「感染症の診断・治療ガイドライン」より、日本医師会の許可を得て転載