マラリアの流行 - ハイチ

MMWR 2010年3月5日 Vol. 59 No.8

2010年1月12日、マグニチュード7.0の地震がハイチを襲いました。ハイチはイスパニョーラ島にあり、ドミニカ共和国に接しています。地震の震源は、ハイチの首都ポルトープランス(推定人口200万人)の西10マイルの地点でした。ハイチ政府によると、およそ20万人が死亡し、50万人が家を失いました。ハイチでは熱帯熱マラリア原虫によるマラリアが流行しており、主要な媒介蚊はAnopheles albimanus(ハマダラカ)です。この蚊は戸外で刺咬することが多いです。このため、家を失って戸外や一時的な避難所で生活している人たちや、何千人というハイチで緊急援助活動を行っている人たちには、マラリアのリスクがかなりあります。1月12日から2月25日の間、ハイチで罹患した11人の熱帯熱マラリアの確定患者がCDCに報告されました。患者の内訳は緊急援助に赴いた米国在住者が7人、ハイチ人の居住者が3人、米国旅行者が1人でした。

7 人の緊急援助従事者中、6人が米軍関係者でした。この6人のうち、4人には合併症はなく、ハイチ内で治療を受けました。他の2人は中等度から重症で、集中治療のためにアメリカ合衆国に搬送されました。このうち1人は急性呼吸促迫症候群のため、挿管、人工呼吸管理を受けました。全員が完全に回復したと考えられます。

6 人の軍関係者は、全員、アメリカ合衆国を出発する前にドキシサイクリン (doxycycline) による経口薬物予防を受けており、また、ハイチ到着後、個人用の防護装具(昆虫忌避剤、殺虫剤処理済みネットおよび制服)が配布されていました。11人の患者の中で、7人の緊急援助従事者と、旅行者としてはただ1人の米国人は、予防内服するように指示を受けていました。この8人(入院した2人の米軍関係者を含む)のうち、6人は推奨されていたはずのマラリア予防薬の投与計画を守っていなかったことを届け出ました。残りの2人が薬物をしっかりと服用していたかどうかは不明でした。

アメリカ合衆国へと旅行したハイチ島居住者の3人にマラリアがみられ、1人は養子となったハイチ人でした。米国でのハイチからの輸入マラリア症例数は、一般的には、すべての症例がCDCに報告されている訳ではないので、おそらく少なく見積もられていると考えられます。

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