タジキスタンにおけるポリオの流行

CDC Travelers'Health(Outbreak Notice)2010年9月3日

現在の流行状況

タジキスタン

インドから輸入されたポリオのアウトブレイクがタジキスタン共和国で進行しています。このアウトブレイクは、国際保健機関(WHO)ヨーロッパ地域が、2002年にポリオ根絶を認定して以来、初めてのポリオ輸入例です。

2010年8月1日の時点までに、タジキスタン保健省は急性弛緩性麻痺症例を700例報告しました。5月から6月にかけて4回の予防接種キャンペーンを行った後、麻痺症例数はかなり減少しました。この症例の中で452症例が検査診断でポリオと確定したものでした。ポリオ確定症例の中で、312例が5歳以下の小児でした。ポリオが確認された症例の中、20例が死亡したことが報告されています。

ポリオと確定した症例は、首都であるDushanbe市、タジキスタン共和国自治区、Khatlon州からの報告であり、これらは中央ないしタジキスタン南西部に位置しています。また、一地域は北部のSogd州でした。タジキスタン政府は、WHOに技術的な指導および支援を求めており、WHOはアウトブレイクに対して、近隣諸国と連絡を取り合っています。タジキスタンは南にアフガニスタン、西にウズベキスタン、北にキルギスタン、東に中国と国境を接しています。

ロシア

ロシアは現在までのところ7例のポリオの症例を報告しており、5例が旅行に関係するものでした。ロシア国内ではこれに引き続いた流行拡大はみられていません。

中央アジア

ウズベキスタンでは、タジキスタン国境近くなどでの急性弛緩性麻痺症例の増加を報告しています。しかし、今のところ、どの症例もポリオと確定されていません。すべての中央アジア地域諸国で、このアウトブレイクが終わるまでポリオウイルスが輸入されるリスクがあります。中央アジア諸国には、タジキスタンに加え、カザフスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンがあります。

(アメリカ合衆国の)中央アジア諸国およびロシア連邦旅行者に対する勧奨事項

最もポリオの感染が起こるのは感染者の糞便への接触によるものです。また、ポリオウイルスは経口飲料、汚染された物質、水、十分調理されていない食品などからも感染します。この疾患は主として5歳未満の小児に感染します。しかし、予防接種を受けていない人は、どの年齢でも感染するリスクがあります。四肢や呼吸筋の麻痺が、この疾患の症状や兆候に含まれます。 旅行者は、次のような手段でポリオから自分を守ってください。

ポリオ予防接種を受けてください。

  • 自分のポリオワクチン接種歴がポリオ予防に対応できる最新のものかどうか、主治医に確認してください。
  • 以前に小児期のポリオワクチン接種を受けているか、以前にポリオにかかったことがある場合も、十分に防御できるように、ワクチンのブースター接種を行う必要がある場合もあります。子どもと旅行する場合には、子どもも同じようにワクチンを受けていることを確認してください。

安全な食べ物、飲み水を摂取するようにしてください。

  • 完全に火を通した、まだ温かい状態で出された食べ物を食べてください。
  • 殺菌された乳製品を食べたり、飲んだりしてください。
  • 自分が安全な水で洗い、自分で皮をむいた果物や野菜だけを食べてください。
  • びんに入っているか、沸騰させた水や、びんに入り封をされた清涼飲料水(炭酸飲料やスポーツドリンク)だけを飲んでください。蛇口や噴水器からの水や氷を摂取するのは避けてください。

衛生状態に気をつけてください。

  • 石ケン水と水で頻回に手を洗ってください。もし、石ケンや水が入手できないようなら、アルコールを基剤としたジェルを使うこともいいでしょう。
  • 食事、飲水、料理をする前、トイレに行った後、おむつを換えた後、咳やくしゃみをした後には特に十分に手を洗ってください。

医療専門家に対する情報

タジキスタン、カザフスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、ロシア連邦に旅行する幼児、小児に対してのワクチン接種勧奨事項
予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)は、アメリカ合衆国のすべての乳児、小児に対して不活化ポリオワクチンを、3ヶ月、4ヶ月、6~18ヶ月、4~6歳の4回接種するように推奨しています。

  • すぐにワクチンによる防護が必要な場合には、最初の3回分は4週間間隔(38日)で行い、3回目と4回目の間隔を6ヶ月おきます。
  • 4年齢4歳以上の場合には、以前のワクチンの接種回数に関わらず、1回不活化ワクチンを接種します。

成人に対するワクチンの推奨事項

  • 不活化ポリオワクチン(IPV)あるいは経口ポリオワクチン(OPV)いずれかの接種シリーズが小児期に終了しており、成人のブースター接種を行っていない成人は(IPV・OPVのいずれかに関わらず)、出発前にもう1回ブースター接種を受けなければなりません。
  • 成人に対して、2回以上のポリオワクチンブースター接種を受ける必要があるかどうか明確に述べられた報告はありません。
  • ワクチン接種を受けていない、あるいはワクチン接種が不十分である、あるいはワクチンを接種したかどうかが不明な旅行者の場合、3回不活化ポリオワクチン(4~8週間間隔で2回、3回目の接種は2回目の接種の6~12ヶ月後に受けなければなりません。)(CDCの海外渡航者に対する健康情報の第2章「ポリオ」の頁を参照してください。)

詳しくは、こちらをご覧ください