中央アフリカでのコレラ流行

WHO(GAR) 2010年10月12日

2010年10月8日中央アフリカで現在みられているコレラのアウトブレイクは、数ヶ月前から始まりました。10月3日の時点で、1879の死亡例を含む40468症例が4つの国(カメルーン、チャド、ニジェール、ナイジェリア)で報告されています。洪水を引き起こす雨季の到来などの季節要因、劣悪な衛生条件、流行地域での人口移動などが、この通常見られないコレラの高い発生率の原因となっています。一方、この地域は定期的に小さいコレラのアウトブレイクを起こした流行地域であることも銘記しなければなりません。

WHOは国際的、また各国の保健関係者とともに、流行国および流行地域で保健担当省に技術的なサポートを行なっています。また、WHOはサーベイランス機能の強化を図っています。症例管理に必要な物品補給や、水の塩素消毒についても、いくつかの流行地域でとり急ぎ行なっています。この4つの流行国の保健担当省はサーベイランスを強化し、チャド湖周辺地域でのコレラ流行に対する準備および対応手段を見直すために、Abujaにおいて国レベルを越えた会合を開くことを予定しています。

国ごとの被害状況

カメルーン:

515の死亡例を含む7869症例(症例死亡率-CFR 6.5%)が、6つの地域(Centre, Extreme Nord, Littoral, Nord, Ouest, Sud Ouest)で、5月6日から10月3日にかけて報告されました。ほとんどの症例(97%)はExtreme Nord(極北地域)からの報告です。予防及び制御手段が現在とられています。極北地域のMarouaに、対コレラ司令本部及び制御本部が、WHOを枢軸とする保健部門の協力を受け、また、他の保健部門および水質管理消毒部門との密接な連携の下に設置されました。この本部の役割は、疫学的、実験室的サーベイランス、症例管理、社会的動員、治療センターでのロジスティクスおよび感染制御、水の供給および消毒という諸分野において、保健関係者に技術的協力を提供することです。またこのシステムにより、新しいアウトブレイクに対して迅速な警報を発出することも求められています。

チャド:

111例の死亡例を含む2508の症例(CFR 4.4%)が、6つの地域の12の保健区域で、7月13日から10月3日にかけて報告されました。いくつかのパートナー(国境なき医師団 (MSF), 国際赤十字, Oxfam, The International Rescue Committee(IRC), International Medical Corps(IMC), UNICEF, WHO)からの援助を受けながら、国の保健機関によって予防及び制御手段がとられています。

ニジェール:

62例の死亡例を含む976症例(CFR 6.4%)が、Diffa, Maradi, Tahoua, Zinder地域で、7月3日から10月1日にかけて報告されました。予防及び制御手段がとられています。

ナイジェリア:

1191例の死亡例を含む29,115の症例が(CFR 4.1%)、7月4日から10月3日にかけて、ナイジェリア連邦首都地域(FCT)を含む15の州の144の地方行政地域(LGA)で報告されました。このアウトブレイクは現在も持続しており、今まで感染がみられなかった地方にも広がっています。大規模な水害と多数の人々の移動が、事態を悪化させています。