コンゴ共和国でのポリオ流行 続報

WHO(GAR) 2010年11月09日

コンゴ共和国では、ポワント・ノワール(Pointe Noire)を中心にポリオの急激なアウトブレイクが起きており、184例の急性弛緩性麻痺と85例の死亡例が報告されています。4症例で野生型ポリオウイルスⅠ型が確認されており、現在も検査室診断が継続中です。報告された症例と死亡例の大部分が15歳以上で起こりました。

図、コンゴ共和国、ポワント・ノワール

遺伝子検査により、近隣のアンゴラで流行しているポリオウイルスに、最も遺伝学的に近縁のポリオウイルスによって生じたと確定されました。最後にコンゴ共和国で地域内感染でのポリオ発生がみられたのは2000年のことでした。

ほとんどの症例が港湾都市であるPointe Noireからの報告で、Niariが5例、Bouenza2例、Brazzaville1例、Kouilou2例が報告されています。
コンゴ共和国政府は、一般大衆にこのアウトブレイクに対する注意を促しており、WHOやUNICEF、CDCなどの主たる機関からの支援を得ながら、緊急対策を講じています。1価の経口ポリオワクチンタイプ1(mOPV1)を使用した初回のワクチン接種が、Pointe NoireKouilou全体と、それに併せて近接するアンゴラのCabindaに対して、2010年11月12日(金曜日に)に始まることになっています。コンゴ共和国の他地域に対しては、mOPV1を使用して、11月18日からワクチン接種を始めます。全国で、その後追加として2回のワクチン接種が計画されています。それ以降どのくらいの規模で、どの年齢を対象として、ワクチンを接種していくかについては、今後明らかになる疫学情報に基づいて、政府が決定することになります。危険地域の周辺国境地域もカバーできるように、複数の国でキャンペーンを行う必要性があると予想されます。新しい症例が報告され続けています。

どのような場合にも、ポリオウイルスが輸入されたことを迅速に検出するため、またそれに対する迅速な対応を容易にするため、中央アフリカの国々は、急性弛緩性麻痺のサーベイランスを強化することが重要です。また、ウイルスが輸入された場合に、その影響を最小にするために、ポリオワクチン接種を受けていない集団がないように、対応する必要があります。WHOの「国際旅行と健康(International Travel and Health)」に概説されている推奨事項に沿って、コンゴ民主共和国やアンゴラのように、ポリオが流行している国へ旅行する人はすべて、またそこからの旅行者もすべて、ワクチンにより、完全にワクチンによる予防を受けている必要があります。

ナイジェリアでは本年のポリオ発生症例数が2009年の同時期に比べ、98%減少しています。この最近のナイジェリアでのポリオ根絶に向けた成果を考慮すると、中央アフリカ(アンゴラ、コンゴ民主共和国)で持続性のポリオ感染をただちに抑止すること、コンゴ共和国で起きたような新しいポリオ発生を抑止することが、国際的な疾病コントロールの最優先課題です。

さらに情報が必要な場合には以下のサイトをご参照ください。

国際ポリオ根絶計画