ハイチでのコレラ流行 続報

情報源:WHO(GAR) 2010年11月17日

11月16日の時点でハイチ保健省は、これまでにコレラによって17,418例の入院症例、1,065例の死亡例が、7県から報告されたと発表しました。症例の報告があった県は、アルティボニット県(Artibonte)、中央県(Central)、北県(Nord)、北西県(Nord-Ouest)、北東県(Nord Est)、西県(Ouest)および南県(Sud)です。
首都のポルトープランスで症例の増加が報告されている地域は、Carrefour、Cite Soleil、Delmas、Kenscoff、Petion Ville、Tabarreです。Cite Soleilでは人口密度が高いこと、衛生状態が悪いこと、携帯の水にアクスできないことなどの問題があり、症例増加が特に心配されます。
11月16日にドミニカ共和国は、初めてのコレラ症例が、ハイチから帰国した32歳の男性で生じた、と報告しました。

図、ハイチでコレラの流行が確認されている県1,北西県2,北県3,北東県4,アルティボニット県5,中央県6,西県7,南県

PAHOおよびWHOの対応

ハイチ政府はコレラ流行によりよい対策をとるため、国としてNational Palaceに緊急対策センターを設立しました。このセンターは主要省庁である広報省、保健省、財務省、ハイチ浄水衛生機関(Direction Nationale d'Eau Potable et Assainissement)および国連機関代表、およびハイチ・国連双方からなる機関によって担われています。このセンターは多くのセクターの対応処置で、活動の能率化と情報の簡素化を行うことを目標としています。
PAHO/WHOおよびGOARN(Global Outbreak Alert and Response Network)などの保健関連機関は、ハイチ保健省を引き続き援助し、コレラ治療センター(CTC)や、重症例をトリアージしCTCに搬送するための病院レベルコレラ治療ユニット(CTU)、比較的軽症例に対する経口補水治療による一次治療ユニットの強化などを行っています。病院スタッフや関係者に対しては、臨床管理、死体の処理方法、住民に対する広報活動や社会的動員活動の方法について、保健機関や保健関連団体には、アウトブレイクに対応するための医療用品、下痢治療キット、浄水錠剤、ラクテートリンゲル点滴バッグ、経口補水塩、点滴液、カテーテル、塩素顆粒、バケツや噴霧器や手袋など備品を備えた消毒装置などが配布されています。
PAHO/WHOはコレラ発生に対応するため、ドミニカ共和国保健省とも共同しています。症例管理や、疫学、検査室・微生物学、リスクコミュニケーションの専門家からなるチームが、ドミニカ共和国内の相応する専門家と、多くの地域で、サーベイランスや症例調査、症例検出、診断および治療、また、リスクコミュニケーション、安全な水源へのアクセスの十分な確保、正しい廃棄物の廃棄方法の促進などについて、標準作業手順の改訂作業を行っています。

勧奨事項

WHOは、ハイチにおけるコレラのアウトブレイクによって、海外旅行や貿易に対して制限を設けることを勧奨しません。さらに情報が必要な場合には、WHOの「コレラの流行がみられる国、地域への海外旅行と貿易についての声明」をご参照ください。

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