ハイチでのコレラ流行 続報

情報源:汎米保健機構(PAHO)2010/12/23

ハイチ

この情報はハイチ保健人口省(MSPP)によって提供されたものです。MSPPは、Health Clusterに所属するパートナーから得られたデータを、統合した上で発表しています。
流行42週から50週までの間に、MSPPは全国で累積128,251例のコレラ症例、その中の53.6%に当たる68,764例の入院症例、2,707例の死亡例を報告しました。死亡例に関しては1,888例が医療施設で死亡し、819例が地域レベルで死亡しました。50週の時点での医療施設での致死率は2.7%で、全症例の致死率は2.1%です。

現在、ハイチの10県すべてでコレラが発生しており、死亡例もみられています。過去3週間の流行週で、最も累積症例率が多いのは、アルティボニット県(Artibonite)で人口1万人当たり305例、次いで北西県(Nort Ouest)で190例、北県(Nord)で185例、中央県(Central)167例と続きます。

ポルトープランスおよび首都地域では、44週から50週までに累積20,853例のコレラ症例が発生し、その中の38.1%、7,942例が入院し、257例(248例が医療施設、9例が地域レベル)が死亡しました。50週の時点で医療施設での累積致死率は3.1%で、全症例の致死率は1.2%でした。

ハイチ10県では、2週間に渡った減少傾向の後に、流行50週では新たなコレラ症例、入院症例、死亡例が増加しています。コレラによる医療施設での致死率は8週連続で減少し続けています。

各県のレベルでみると、50週の時点で、アルティボニット県、中央県、北県、北西県では、コレラ症例数、入院数は49週と同様に減少し続けています。南東県(Sud-Est)では50週では前週と比較して新たな症例と入院症例が減少したことが報告されました。その他の6県ではこれらの指標は増加しています。
増加が高かったのは、西県(Ouest)、グランダンス県(Grand Anse)とニップ県(Nippes)でした。アルティボニット県、北西県、西県と南東県での累積的な医療施設での致死率は、前週以下でした。他県については増加がみられました。

図.ハイチのコレラの症例数

コレラ症例数、入院数、死亡数に関する日々の更新情報は、次のリンクにあるコレラ:インターラクティブ地図で見ることができます。
http://new.paho.org/hq/images/Atlas_IHR/CholeraHispaniola/atlas.html
Health Clusterによって、国および県レベルで行われている対応に関する報告は、以下のリンクで参照できます。
http://new.paho.org/hq/index.php?option=com_content&task=view&id=4404&Itemid=3487

ドミニカ共和国

流行46週から50週にかけて、ドミニカ共和国公衆衛生省は、73例のコレラ確定患者を報告しました。75%-55例が入院を要しましたが、死亡例の報告はありません。また、4例は輸入症例で、69例が地域感染症例であると考えられています。

全32県のうち10県で、コレラの症例が見られました。Santiago (19例), Santo Domingo(15例), Elías Piña (13例), San Juan(12例), Da-jabón (3例), Valverde(2例), Independencia(2例), Monte Cristi(1例), San Cristóbal (1例)and Maria Trinidad Sánchez (1例).

PAHOは加盟国に対して、サーベイランス、対応策および準備案の更新、適切な予防対策や広報について、強化するように注意喚起します。

WHOによる12月7日の更新情報を次に掲げます。

ハイチへの旅行、貿易とコレラ流行

http://www.who.int/ith/updates/20101207/en/index.html
2010年12月7日

旅行者や短期滞在者は、安全な食事を心掛け、衛生に十分に注意を払う限り、コレラにかかることはあまりありません。しかし、依然としてコレラは、水の供給や下水整備、食物の安全、衛生状態が十分とは言えない地域で、重大なアウトブレイクを起こしています。WHOはハイチのコレラアウトブレイクに対して、旅行や貿易の制限を、いかなる形で行うことも推奨しません。政府当局は、到着客に対して、コレラの症状、衛生上の予防方法、症状が生じた場合の医療の受け方について、情報を伝えるようにして下さい。また、当局は世界的なコレラ流行状況、特に現在起きているアウトブレイクについて、トラベルクリニック、旅行医学ネットワーク、他の医療ネットワークに情報提供するようにしてください。