114例中5例死亡 赤道州Bikoroでサル痘発生(コンゴ民主共和国)

情報源:Radio Okapi

サル痘、あるいはサル天然痘として知られている疾患が、赤道州北部および南部で猛威をふるっています。少なくとも3つの保健地域で感染が生じています。 Bikoro保健地域では、114人がこの疾患にかかり、5人が死亡しました。
WHO/赤道州支部の報告によると、Bikoro保健地域では、114症例というこれまでの記録を塗り替える症例が発生しました。症例の大部分はMbandaka(注:コンゴ民主共和国赤道州の州都)から約82キロメートルの、 Mooto保健地域で報告されました。
医学専門家により、2週間前に、Gbadolite保健地域でサル痘様の疾患の発生が疑われていました。WHO 赤道州地域医療担当者のLouis Pia氏によると、 首都Kinshasa にあるINRB(Institut national de recherche biomédicale)に送られた患者サンプルに対する実験室試験で、これがサル痘であることが確認されました。
この疾患はBoende保健地域でも報告されています。 Boendeの患者から取られたサンプルについて、同様にサル痘が確認されました。 赤道州で感染者が何人いるのかについては、まだわかっていません。
この流行に対応するため、医学的に以下のようなことが勧告されます。衛生に注意するようにしてください。また、感染が生じている保健地域で作業する農業従事者は、森林で病気を人間に移す、サル、リス、およびセンザンコウなどの動物の死骸を拾わないようにしてください。

情報源:ProMED

最近の調査によると、天然痘が撲滅され、ワクチン政策が緩和されたすぐ後から、サル痘ウイルス(天然痘ワクチンでこのウイルスにも免疫が与えられます。)は、以前より少なくとも20倍流行していることが示唆されています。(詳細な検討に関しては、ProMED-メールの、「コンゴ民主共和国サル痘の発生増加(20100901.3124)」、およびRimoinaらによる、「コンゴ民主共和国で種痘キャンペーン中止30年後に生じた、大規模なヒトサル痘発生(Proc Natl Acad Sci USA2010; 107(37): 16262-7)」をご参照ください。
サル痘ウイルスは、天然痘よりいくぶん重症度は低いと言え、それでも傷跡が残りますし、患者が死ぬこともあります。 さらに、天然痘と比べた場合、サル痘はヒトとヒトの間で感染するだけはなく、げっ歯類や、リス、サルなどのウイルスを保有する小動物と接触することでも感染することができます。 そのため、感染制御はより困難である可能性があります。
サル痘ウイルスは、オルソポックスウイルス属の1種です。サル痘ウイルスはヒト天然痘と臨床的に同様の病気を引き起こす場合があります、そして、アフリカ中部でのアウトブレイクに際して、著しく高い致死率をもたらしてきました(上記報告参照)。しかし、2003年アメリカで、輸入されたアフリカ産げっ歯類に関連してアウトブレイクが生じた際には、死亡例はみられませんでした。 サル痘ウイルスと天然痘ウイルスの重要な違いは、今までのところのサル痘ウイルスは、ヒトからヒトへと天然痘ウイルスほど効率的に伝染していない点です。実際のところ、サル痘ウイルスはげっ歯類とリスに通常存在していますが、人獣共通感染症として他の種にも感染することができます。サル痘ウイルスは、オルソポックスウイルス属の中では、天然痘ウイルスから系統上もっとも離れたウイルス種の1つです。天然痘ウイルスは、事実上サル痘ウイルスよりもラクダ痘ウイルスの方に密接な関連があります。 このため、サル痘ウイルスが変異と選択によって、天然痘ウイルスのようなウイルスへ進化する可能性は低いと考えられます。それでも、サル痘ウイルスは、ヒトに対して重大な疾患を引き起こす可能性があることから、限られた条件下で牛痘ウイルスワクチンを再利用する必要性があるかもしれません。
ProMED Moderator: CRAIG R. PRINGLE)