ヨーロッパでの麻疹のアウトブレイク

2011年04月21日 WHO(GAR)

2011年4月18日現在、ヨーロッパの33の国で、6,500例を超える麻疹症例が報告されました。 疫学的調査と遺伝子型検査によって、ヨーロッパ地域の数か国およびアメリカ諸国への麻疹ウイルスの伝播が確認されました。

ベルギー*では、これまでに全部で100症例が報告されました。(2010年40症例)
ブルガリア*は、今年131症例を報告しました。(2009年から2010年にかけて、24,000症例)
フランス*は2011年1月から3月までに、4,937症例を報告しました。(2010年の全報告症例は5,090症例)
セルビア**ではおよそ300症例が、南東地域のLeskovacから報告されました。
スペイン*では2010年10月以来、2つのアウトブレイクが報告されています。Andalusia州では600以上の症例が報告されています。最初のアウトブレイクで最も感染が広がった地域は、Sevilla県およびその周辺都市でした。そこでは、2011年1月以来、350を超える麻疹症例が報告されています。 また、麻疹症例は、医療従事者の中でも報告されています。
第2のアウトブレイクはGranada県で報告されました。そこでは、2010年10月以来、約250症例が報告されています。

旧ユーゴスラビア共和国のマケドニア**では、2010年9月に麻疹のアウトブレイクが始まって以来、2011年4月第1週現在、636症例が報告されており、400以上の症例が2011年になってから診断されています。 マケドニアの首都であるSkopjeはアウトブレイクによる影響を最も受けました。

トルコ*は、2011年1月にIstanbulで80症例以上のアウトブレイクを報告しました。

スペインでの第2のアウトブレイクとトルコでのアウトブレイクを除いた、すべてのアウトブレイクで、D4遺伝子型の麻疹ウイルスが確認されました。 スペインにおける第2のアウトブレイクの症例からは、B3遺伝子型の麻疹ウイルスが分離されました。一方、2011年1月にIstanbul(トルコ)でアウトブレイクを引き起こした麻疹ウイルスは、東南アジア由来で、マレーシアやインドネシアなど東南アジアで一般的なD9遺伝子型であると確認されました。

さらに、今年、ドイツ*、オランダ*、ノルウェー*、ルーマニア*、ロシア連邦**、スイス*、イギリス*で、麻疹のアウトブレイクあるいは症例数の増加が報告されました。

旅行は、麻疹ウイルスへ暴露されるリスクを高め、予防接種を受けていない場合、麻疹ウイルスに感受性のある集団へと、更に感染を拡大させるリスクを高めます。 更に感染が拡大することを防ぐために、WHOは、各国保健当局が旅行前の予防接種を提唱すること、そして、既存の国の予防接種スケジュール通りに、医療システムによる予防接種サービスを介して、予防接種を提供するよう推奨します。

WHOは、すべての小児に対して、2回の麻疹ワクチン予防接種を、また、海外旅行する思春期年齢の人および成人に対しては、もし自分の麻疹に対する免疫の状態が不確かで有る場合には、海外旅行の前に少なくとも1回の麻疹ワクチン予防接種を受けるように推奨します。

*情報源:EUVACNET( http://www.euvac.net/graphics/euvac/index.html )
**情報源:CISID( http://data.euro.who.int/cisid/ )