チクングニア熱流行状況

フランス公衆衛生院 2011年04月20日

1. マダガスカルの状況

  • 2011年4月15日に、チクングニア熱患者5件(10個のサンプル)の地域内発生例が確認されました。そして、102の疑い症例が保健当局によって報告されました。
  • これら症例は、すべて東南部にあるVohipeno distictVatovaviFito-Vinany地域で発生しています。(BHI No.290[PDF形式:524KB])
  • これら疑い症例は2011年4月上旬以降より認められています。
  • 2006年以来、マダガスカル島ではチクングニア熱が地域流行(endemic)または流行(epidemic)していると考えられています。(BEH No.38-39-40)
  • 2010年2月に、WHOアフリカ地域事務局は、すでにMananjarの同じ地域にチクングニア熱が発生していることを報告していました。(BHI No.231[PDF形式:243KB])

2. セーシェル共和国の状況

  • 2011年4月15日に、チクングニア熱の症例が初めて確認され(血清転換によって確認)、23例の疑い症例が、セーシェル諸島の主島であるマヘ島 (地図1参照)で報告されました。
  • 群発例は2011年1月以降に発生しました。 ほとんどの症例が流行7-9週(14症例)に発生したものであり、12-14(8症例)にも発生が認められました。
  • 実験室診断による確認のため、南アフリカの実験室にサンプルが送られました。 結果はまだわかっていません(インド洋地域での流行状況[PDF形式:104KB]参照)。
図1.マヘ島,セーシェル諸島
コメント
チクングニア熱の最後の発生は、2007までさかのぼり、中等度の規模でした(2009年7月、インド洋におけるデング熱およびチクングニア熱について[PDF形式:266KB]、を参照)。

2. レユニオン島とマヨット島の状況

  • 現在、レユニオン県とマヨット県におけるチクングニア熱流行について、顕著な動きは認められていません。流行状況を考慮し、疫学調査がこれらの島では重点的に行われてきました。流行状況についてさらに注意深い観察が続けられています。

3. ニューカレドニア島の状況

  • 2011年3月3日以来、地域発生したチクングニア熱症例が報告されています(BHI No.284[PDF形式:46KB]No.285[PDF形式:89KB]No.286[PDF形式:187KB]参照)。
  • 2011年4月20日の時点で、18症例(確認症例15例と疑い症例3例)が、ニューカレドニアDASSLa direction des affaires sanitaires et sociales)によって報告されました。 これら18症例の中では、14症例が地域感染症例です。
  • 症例の地理分布は以下の通りです:
    • ヌメア(Nouméa):Vallée des Colons地区で8症例、Montravelで5症例、Haut -Magentaで1症例、Ouémoで疑い症例1例
    • Houaialou::疑い症例1例
    • Yate::疑い症例1例
    • Sarram:輸入された症例1例
  • 以下の制御措置が実行されました。:サーベイランスの強化、医療専門家と住民に対する情報提供、診断能力の向上、ベクターに対する制御活動
図2.ヌメア地区2011年4月20日現在のチクングニア熱確定症例数
コメント
ヌメアでは、チクングニヤアウイルスの地域感染性の伝播が、Vallée des Colons地区で始まりました。それ以降の状況から、この近辺からの次第に疾患が拡散していることが窺えます。
Montravel地区での確認症例数の増加からは、活動性のある第2の伝播のフォーカスがあることが確認されます。さらに、1つのケースが、やはりVallée des Colonsに近隣にあるHaut Magenta地区でも確認されました。
今後、以下のような事由から、状況を十分に注意しながら見守っていく必要があります。
  1. (1)ウイルスを媒介する能力があり、可能性のある媒介昆虫であるAedes aegyptiが存在すること、
  2. (2)チクングニアウイルスに対して、地域住民に免疫上感受性がみられる点、
  3. (3)診断が遅れがちであること、
  4. (4)気候上、また、昆虫学的に好ましい条件があり、ヌメアでより大規模な流行が起こる可能性が否定できないこと。