イギリスでのマラリア輸入例が2年間で30%増加

HPA 2011年5月6日

多くの症例において、抗マラリア薬の服用がなされていなかったことが明らかにされる。

世界マラリアデーに向け、the Health Protection Agency(HPA)が示した新たな情報によれば、マラリアの患者数がここ2年続けて増加しており、2008年の1370例に比して、2009年には1495例、2010年には1761例となりました。 2008年から30%近くの増加がみられたことになります。

マラリアは、予防策を講じていればほぼ防ぐことができる病気です。しかし、抗マラリア薬を服用していたかどうかについて病歴を聴取できた患者を対象にしたところ、85%の症例(調査が可能であった997件のうち850件)が薬を服用していなかったという最近の数字がでました。

ここ10年、イギリスにおけるマラリア患者の半数ほどが、西アフリカやインドへ旅行をした、特に友人や親戚に会いに行った人に報告されました。2010年には、イギリス在住者でマラリアに罹患した人の約40%(671件)がナイジェリアもしくはガーナを訪問しており、11%(195件)がインドに滞在していました。
これらの症例グループは、旅行前に、マラリア予防に関する医師の診察を受けようとしていなかったり、受けることができなかったり、適切な助言をえられていなかったり、医師の忠告に従わなかったり、目的地のことをよく知っているために自分自身がマラリアにかかるリスクがあるとは感じていなかったり、といったいくつかの理由で、マラリアにかかりやすかった可能性があります。これら要因の全てが、個人がマラリアに罹患する原因となっていることが疑われます。

友人や親戚に会いに行く旅行客はまた、ビジネスや休暇旅行に比べ、旅行に関連した感染症にかかる高いリスクがあります。これは、一か月あるいはそれ以上といった長期間に渡って滞在する傾向があり、また、家族や友人と過ごすことが多いからです。現地のコミュニティの一人として生活するという事は、現住民が感染症にかかるリスクと同等のリスクがあるということを意味しています。

HPAのマラリアレファレンス研究室のトップであるPeter Chiodini教授はこのように言っています。
「世界マラリアデーの日がやってきましたが、この日は、マラリアが発生している国に旅行するすべての人に対して、マラリアから身を守るため、旅行についての助言を受け、適切な投薬を受ける必要があることを思い出させるためにちょうどよい機会になります。自分が(マラリアのリスクがある地域に)生まれ育ったり、以前旅行したことがあったりしても、イギリス在住者であれば、マラリアに対する免疫はなく注意する必要があります。」
また、HPAの旅行および移民健康局のトップであるJane Jones医師はこのように言っていす。
「マラリアは、死に至る事もある病気ですが、ほぼ予防できる病気です。熱帯地域への旅行を計画している方は、旅行前に、家庭医や渡航クリニックで医師の助言を受ける必要があります。マラリアに一度かかれば二度とかからないというのは、根拠のない話です。われわれは、すべての旅行者のみなさんが、以下のことを守るように助言します。安全に過ごすために蚊にさされないような予防対策をしてください。また、予防内服をしてください。」

編集者備考

  1. 1.マラリア予防に関するアドバイスについては、HPAのウェブサイトのリンク(下記)を参照下さい。
  2. 2.イギリスのマラリア症例一覧(感染者数が多い国順)
感染した国Total 2010Deaths 2010Total 2009Deaths 2009
ナイジェリア44724982
ガーナ2241501
インド195199
ウガンダ9164
シエラレオネ89281
パキスタン7848
ガンビア62233
カメルーン3823
コートジボワール3640
ケニア1826