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ポリオ野生株の根絶の進捗状況- 2010年1月~2011年3月

CDC Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR) 2011年5月13日/60(18); 582-586

 世界ポリオ根絶計画(GPEI)は1988年に着手されました。2006年までに、ポリオ野生株(WPV)の地域発生性の感染は4つの国(アフガニスタン、パキスタン、インド、およびナイジェリア)(1)を除く各国で見られなくなりました。続いて、39カ国のポリオが存在しない国において、WPVの輸入によるアウトブレイクが発生し、アンゴラ、チャド、コンゴ民主共和国およびスーダンは再興感染国となってしまいました(2,3)。この最新情報は、2010年と2011年の第一四半期におけるポリオ根絶計画の進捗状況をまとめたものです。2010年には全世界で1,291例のWPVによる感染症例が報告され、2009年と比較すると全症例数では19%の減少で、3型WPVでは92%の減少となりましたが、1型WPVでは145%の増加となりました。2010年の間に、232(18%)のWPV症例が4つのポリオ地域流行国から報告され、159 (12%)の症例がアンゴラ、チャド、およびコンゴ民主共和国で報告されました。そして、900(70%)のケースが13の国で報告されましたが、その13カ国の中には2009年にアウトブレイクが続いている2カ国と、2010年に輸入によりアウトブレイクが発生した11カ国が含まれています。2010年における、インドとナイジェリアのWPV症例は2009年と比較すると約94%以上減少しました。タジキスタンとコンゴ共和国でのアウトブレイクは、2010年の症例の2/3(842)を占めました。2010年におきた11のポリオ清浄国での新たなアウトブレイクについては収束したか、またはアウトブレイクの確認の6カ月以内に収束する見込みです。2011年の1月から3月に、かなり多くのWPV症例が2010年の同じ期間と比較して、チャド、コンゴ民主共和国、およびパキスタンで発生しました。ポリオ根絶に向けた計画のさらなる進捗と、すべてのWPV感染をなくすという2012年の目標を達成するために、財源の増強と各国政府の積極的参加が必要です。

2010~2012年GPEI戦略的計画

 2008年5月に、WPV感染の阻止する上で障害となる事項を克服するために、世界保健会合は、ポリオを根絶するための新戦略を開発しようとしました。1年間の検討期間の後に、2010--2012GPEI戦略計画(6)が生み出されました。計画には次のような中間目標が掲げられており、4半期ごとに評価されます。すなわち、1)2009年にアウトブレイクが発生した国からの症例の輸入に基づくWPV流行を、2010年中頃までになくし、さらに6カ月の確認期間において、続発したアウトブレイクでのWPV流行をなくすこと、2)再興感染国*におけるWPV感染を2010年末までになくすこと、3)4つのポリオ地域流行国のうち少なくとも2つの国において2011年末までにWPV感染をなくすこと、および4)2012年末までにすべての国におけるポリオ感染をなくすことです。

定期予防接種

 利用可能なデータが存在する最も新しい年度である2009年度に関して、12歳までに三価ポリオウイルスワクチンの三回投与がなされている(Pol3)という条件において、世界における小児の定期予防接種の達成率は83%と見積もられており、WHOの地域ごとに数値が異なっています。すなわち、アフリカで72%、アメリカ大陸で91%、東地中海領域で96%、欧州で96%、東南アジアで74%、西太平洋領域で97%となっています。†2009年における各国のPol3条件充足率は、パキスタンで85%、アフガニスタンで83%、インドで67%、ナイジェリアで54%でしたが、リスクの高い州や地方における充足率は、全国平均のよりもかなり低いものでした。

追加ワクチン接種活動(Supplementary immunization activities)

 2010年には、経口生ワクチン(OPV)を用いたワクチンの追加接種活動(SIAs)§が309回にわたり49カ国行われました(130回の全国一斉投与、140回の地域一斉投与、11回のChild health daysおよび28回の総仕上げラウンド)。これらの追加ワクチン接種活動のうち、87回(28%)が4カ国のポリオ地域流行国(インド38回、パキスタン20回、アフガニスタン12回、ナイジェリア17回)で実施され、94回(30%)がかつてポリオ清浄国であったが輸入によってアウトブレイクが発生した16カ国で実施され、56回(18%)が再興感染国(アンゴラ、チャド、コンゴ民主共和国およびスーダン)で実施され、72回(23%)が2010年にWPVの症例が確認されていない25カ国で実施されました。大半が5歳未満の小児で占められるおよそ4億人に対して22億1000万回投与分のOPVが配布されました。投与されたワクチンのうち約33%は三価経口ポリオウイルスワクチン(tOPV)で、23%は一価OPVタイプ1で(mOPV1)、4%は一価OPVタイプ3で、40%は二価OPVタイプ1及び3でした(bOPV)。

ポリオウイルス調査

 急性弛緩性麻痺(AFP)の調査の信頼性は実績指標に基づいてモニターされ、実績指標には、非ポリオ性AFP発生率と、AFPにおいて適切に試料が採取された比率(7)が含まれます。¶2010年にポリオが発生した20カ国の中では13カ国(65%)において、15歳未満の児童10万人あたり2例以上の非ポリオ性AFP率と、AFPにおける適切な糞便試料採集率80%以上が達成されました。これらの国々のうち二つの調査指標の数値を充足する州または地方の人口が過半数を超える国は12カ国(60%)にすぎません。

 2009年に下水から採取した試料中におけるWPVの有無をインド(1つの市の3か所)とパキスタン(2つの市の10か所)で調査(環境調査)した結果、WPV陽性のAFP症例(7)が認められないにもかかわらず、試料中にWPVを検出しました。2010年に、これらの2つの国での環境調査に加え、他の5つの市における13か所(インド: 1つの市、5か所; パキスタン: 4つの市、8か所)が追加された結果、8つの市(7)の合計26か所で調査されることとなりました。WPV陽性のAFP症例が認められないにもかかわらずこれらの検査地において再びWPVが検出されました。2009年6月以来WPV症例は全くスーダンで報告されていませんでしたが、北スーダンで2009年に流行したWPV1感染に関連するWPV1ウイルスが、2010年12月にアスワン(エジプト)で下水の試料から分離されました。エジプトでは、長期間に渡り、環境調査が、エジプト野生株によるWPV症例が最後に発生した2004年までAFP調査の一部に加えられて行われており、その時以来今回の調査に至るまでエジプト国外に由来するWPVを度々検出していて、最近では2008年にも検出していました2008(8) **。

WPVによって確認されたAFPの発生

 2011年4月19日の時点では、2010年において麻痺を発症したWVPの症例が、世界中で合計1,291例(テーブル)報告されており、1604例の症例が報告された2009年と比較して19%減少しています。タジキスタンとコンゴでのアウトブレイクでは、840例(70%)のWVP1症例が発生し、2009年に492例だったWPV1症例数が2010年に1,204例となって145%増加したことに寄与しました。WPV3の症例は、2009年に1,122例ありましたが、2010年に92%減少して87例となりました。2011年の第1四半期に、102のWPV症例(93例のWPV1と9例のWPV3)が報告されましたが、2010年の同時期には95例(55例のWPV1と40例のWPV3)(テーブル)が報告されていました。

 ポリオ地域流行国。

 インドでは、2010年には42のWPVの発症(18例のWPV1と24例のWPV3)が報告されましたが、741例(79例のWPV1、661例のWPV3および1例のWPV1とWPV3の混合感染)が報告された2009年と比較すると94%減少しています。2009年までのインドでのポリオの症例は、北部のウッターパラデッシュ州とビハール州で発生したか、これらの州内での発症例と直接関係していました。2010年の4月21日以後ウッターパラデッシュ州で確認されたWPVの症例はなく(最後の症例はWPV3)、2010年9月1日以後は、ビハール州で確認されたWPVの症例はありません(WPV1)。2010年の第4四半期に、2つのWPV1症例が、北西ベンガル州とそこに隣接しているジャールカンド州の持続的感染の生じている地点で発生し、1つのWPV3症例がジャールカンドで発生しました。2011年1月から3月の間に、西ベンガルのコルカタの近傍でWPV1症例が報告されました。

 ナイジェリアでは、2010年には21例のWPV発症(8例のWPV1と13例のWPV3)が報告されましたが、388例(75例のWPV1と313例のWPV3)が報告された2009年と比較すると95%減少しています。しかし、12例のWPV症例が2010年の第4四半期に発生しています。2011年の第1四半期には、8例のWPV症例が報告されました(6例のWPV1と2例WPV3)(これと比較して、2010年の第1四半期では2例のWPV3症例が報告されていました。)2011年4月の時点で、ナイジェリアに起源を持つWPV3が、マリとニジェールで検出されました。コートジボワールでの2011年の症例から分離されたWPV3は、2009年にナイジェリアで分離されたWPVと遠縁に当たりるものでした。

 アフガニスタンでは、2010年には25例のWPV発症(17例のWPV1と8例WPV3)が報告されましたが、38例(15例のWPV1と23例のWPV3)が報告された2009年と比較すると34%減少しています。25例のWPV症例のうち21例(84%)(13例のWPV1と8例のWPV3)は、南部の紛争地域で報告されたもので、4例は、東部および北東部で見られたものですが、パキスタンからの輸入症例です。2011年の第1四半期には、1例のWPV1症例が報告されましたが、2010年の第1四半期には7例のWPV症例(1例のWPV1と6例のWPV3)が報告されていました。

 パキスタンでは、2010年に144例のWPV発症(120例のWPV1と24例のWPV3)が報告されましたが、89例(60例のWPV1、28例のWPV3、および1例のWPV1とWPV3の混合感染)が報告された2009年と比較すると62%増加しています。これらのうち100例(69%)の症例は紛争地域からの症例で、北西部の連邦直轄部族地域(Federally Administered Tribal Areas)からの症例73例とカイバー・パクツーンハワ州からの23症例が含まれています。2011年の第1四半期には、26例のWPV1症例が報告されましたが、2010年第1四半期に報告されたのは12例(3例WPV1と9例WPV3)でした。2010年のパキスタンのWPV1症例はアフガニスタンへと輸入されました。

再興感染国

 2010年にはスーダンでのWPVの症例報告はありませんでした。アンゴラでは、2010年に33例のWPV1発症が報告されましたが、29例のWPV1が報告された2009年と比較すると14%増加しています。2011年の第1四半期には、2例のWPV1症例が報告されましたが、2010年の第1四半期に報告されたのは1例のWPV1のみでした。2010年に、WPV1はアンゴラからコンゴ民主共和国とコンゴ共和国に伝播し、続いて2011年にガボンに広まりました(3,5)。

 チャドでは、2010年に26例のWPV1発症(11例のWPV1と15例のWPV3)が報告されましたが、58例(すべてWPV3)が報告された2009年と比較すると55%減少しています。2010年後半に新たに発生したWPV1のアウトブレイクは、ナイジェリアからの輸入によって起こったものです(図)(3)。2011年1月から3月の間に20例のWPV症例(18例のWPV1と2例WPV3)が報告されました。一方、2010年の1月から3月の間に報告されたWPV症例は、7例(すべてのWPV3)でした。

 コンゴ民主共和国では、2010年に100例のWPV1発症が報告されましたが、2009年にはWPVの症例は全く報告がありませんでした(3)。100例のWPV1のうち、南東部のカタンガ州で報告された6例は、遺伝学的な見地より2006年から2008年の間に流行していたものが再興したものと考えられています。他の94のWPV1症例は2010年の初頭にアンゴラと国境を接している南西の西カサイ州でアンゴラから輸入され、アウトブレイクしたもので、その後このアウトブレイクにより病原体は西部の3つの州に伝播しました(図)。2011年の第1四半期では、36例のWPV1症例が西部の州で報告されており、遺伝学的な解析により、全て2010年にアンゴラから輸入症例にリンクがあるものであることがわかりました。

 アウトブレイクが生じた国

 2009年より感染が発生していた3つの国(マリ、モーリタニア、およびシエラレオネ)では、2010年の発症例を最後に感染が収束しました。WPVの輸入症例が、2010年に10カ国、2011年に4カ国で確認されました(表)。これらの輸入症例の中には、2009年にタジキスタンで報告された458例が含まれており、これらはインドで流行していたWPV1が輸入されたものであることが遺伝学的に明らかになっており、このウイルス株はさらにトルクメニスタン、カザフスタンそしてロシア連邦へと広がっていきました(4)。コンゴ共和国では、2010年に382例、2011年に1例の症例が暫定的に報告されています。2010年にアウトブレイクした9カ国では、すでに収束しています(実績指標目標をほぼ達成できた監視の下で、最終症例の報告より6カ月以上が経過しています)。2010年の2カ国(コンゴ共和国とウガンダ)におけるアウトブレイクと、2011年の4カ国(コートジボワール、ガボン、マリおよびニジェール)におけるアウトブレイクは、6カ月間の監視期間中にありますが、コートジボワールの動乱がワクチン接種活動を遅らせています。

 編集ノート

 ポリオ根絶計画は、2010年において1)2009年にインドおよびナイジェリアで報告された症例数の94%減を達成したこと(記録的な低値)、2)2009年の輸入によるアウトブレイクの全てを収束させることができたこと、3)2010年のアウトブレイクが全て収束状態にあること、または収束途上にあること、4)WPV3の症例数が世界的にみてかつてないほど少ない状態にあること、などから進歩がみられています。2006年から2009年の間は、1価経口ポリオワクチンが、ワクチン追加接種活動(SIAs)において主要なワクチンでした。2価経口ワクチンの導入は、3型ワクチンを含んだ経口ワクチンによるワクチン追加接種活動の頻度を上昇させたことから、WPV3の感染を減少させることにつながりました(1)。インドとナイジェリアの両国は、ポリオ根絶活動のための資金を十分に提供し、伝統的または宗教的指導者とともに全ての政府機関を動員し、根絶活動を監督、支援しました(1,9,10)。

  2010年第1四半期のWPV症例数が95例なのに対し、2011年の第1四半期に102例のWPV症例が報告されましたが、その前年までの数年間の傾向として、年間のWPV総症例数は主として季節性のWPV症例(年の中ごろにピークに達する)、ポリオのアウトブレイクの発生の有無とその規模によって左右されています。2010年の、タジキスタンとコンゴ共和国のアウトブレイクが、WPV症例842例 (65.1%)を占めていました。それにもかかわらず、積極的な追加ワクチン接種活動と移民を対象としたワクチン接種の強化が続けられた結果、インドではわずかに2010年9月1日以来6例(5例のWPV1と1例のWPV3)が報告されたにすぎません。このような進歩によって、インドは2011年に清浄化する可能性が最も高くなったと考えられます。その他の国においては、あまりいい結果は期待されていません。ナイジェリアでは、2010年末頃から2011年の3月にかけてWPVが増加し、感染が継続している州も散見されることが、それに先立つ18カ月間(2009年初頭から2010年の第3四半期まで)の間の根絶活動の進捗状況に水をさした形になっています。2010年末と2011年の第1四半期のデータは、進捗が遅れているナイジャリアやコントロール困難なWPV感染が起こっているパキスタン、アンゴラ、チャドおよびコンゴ民主共和国における緊急的な活動が必要であることを示しています。

 最近組織された独立モニタリング委員会(IMB)は、2010年から2012年にわたるGPEIの戦略計画の中間目標に向けた活動と各国における対応計画を監督しています。††この委員会の2011年3月の会合で、IMBは、パキスタンがGPEIの計画達成にとって最大のリスクとなっていることに言及しました。パキスタン大統領の指示に従い、パキスタン国家緊急対策計画が国際的な諮問のもとで国内の保健衛生の専門家によって作成され、2011年1月に始動しました。国家特別調査委員会がこの計画の実施を監督することになっており、進捗状況はIMBにより評価されることになっています。コンゴ民主共和国とアンゴラでも、政治家および保健衛生の専門家によるあらゆる支援と、GPEIからの強力な支援のもとに緊急対策計画が作成されましたが、これは直ちに実施される必要があります。また、IMBは、チャドでの再興発生の持続が、さらなるアウトブレイクによって一層事態が悪化した結果、公衆衛生の危機的状況をもたらしているにも関わらず、改善計画が機能しておらず、外部からの支援を必要としているとの結論を下しました。IMBは、2011年の終わりまでにナイジェリアを清浄化するためには一層の努力が必要であるとの見解を示しました。ポリオ根絶計画に向けた活動は、2010年においてかなりの進歩がみられましたが、IMBは、現状に基づけば、2012年までに世界中のポリオ感染を根絶させるための中間目標の達成が困難であると判断しています。ポリオの根絶に向けたGPEIの活動を順調に軌道に乗せていくためには、財源の投入と適切な国内政策を含む各国政府の迅速な対応が必要となるでしょう。

References

1.CDC. Progress toward interruption of wild poliovirus transmission---worldwide, 2009. MMWR 2010;59:545--50.

2.CDC. Wild poliovirus type 1 and type 3 importations---15 countries, Africa, 2008--2009. MMWR 2009;58:357--62.

3.CDC. Progress toward interrupting wild poliovirus circulation in countries with reestablished transmission---Africa, 2009--2010. MMWR 2011;60:306--11.

4.CDC. Outbreaks following wild poliovirus importations---Europe, Africa, and Asia, January 2009--September 2010. MMWR 2010;59:1393--9.

5.CDC. Poliomyelitis outbreak---Republic of the Congo, September 2010--February 2011. MMWR 2011;60:312--3.

6.World Health Organization. Global Polio Eradication Initiative: Strategic Plan 2010--2012. Geneva, Switzerland: World Health Organization; 2010. Available at http://www.polioeradication.org/content/publications/gpei.strategicplan.2010-2012.eng.may.2010.pdf . Accessed May 5, 2011.

7.CDC. Tracking progress toward global polio eradication---worldwide, 2009--2010. MMWR 2011;60:441--5.

8.El Bassioni L, Barakat I, Nasr E, et al. Prolonged detection of indigenous wild polioviruses in sewage from communities in Egypt. Am J Epidemiol 2003;158:807--15.

9.CDC. Progress toward poliomyelitis eradication---Nigeria, January 2009--June 2010. MMWR 2010;59:802--7.

10.CDC. Progress toward poliomyelitis eradication---India, January 2009--October 2010. MMWR 2010;59:1581--5.

*輸入されたWPVの流行が12カ月以上継続している国。

2011年4月19日現在の数値。詳細なデータは下記のサイトに掲載されていますhttp://www.who.int/immunization_monitoring/en/globalsummary/countryprofileselect.cfm

§ワクチンの追加接種活動(SIAs)とは、数日から数週間の短期間に行われる大規模なキャンペーンであって、過去のワクチン接種履歴に関係なく全ての小児(一般的に5歳以上)に対してOPVの単回投与を行うというものです。このキャンペーンは国単位で行うことも、国の一部分(準国家的ワクチン接種活動”subnatinal SIAs”と呼ばれます)で行うこともできます。複数の型のOPVを投与した場合には複数回のSIAとしてカウントされています。

GPEI戦略的計画では、WPVの感染地または最近まで感染地であった場所に対して国ごとおよび州ごとに活動目標を設定しています。すなわち、15歳未満の小児100,000人ごとに非ポリオ性AFPが2人以上発生していること、全てのAFP症例の80%以上について適切な糞便試料が採取できていることです。ここにいう「適切な」とは、麻痺の発症した14日以内に、24時間以上の間隔を確保して、2回にわたり糞便試料が採取され、氷上または冷凍便でWHO公認の研究室に良好な状態(試料の漏えいや乾燥がない状態)で運搬されていることです。

** 2000—2011の各年度における州ごとのポリオ野生株の症例に関するデータは下記のサイトより得ることができます。http://www.polioeradication.org/dataandmonitoring/poliothisweek/wildpolioviruslist.aspx

††IMBからの報告書やIMBの情報を下記のサイトより得ることができます。http://www.polioeradication.org/Dataandmonitoring/Polioeradicationtargets/IMBreports.aspx

このテーマについてすでに分かっている事項はなんですか。

 4カ国(アフガニスタン、パキスタン、インドおよびナイジェリア)以外の国において2006年までにポリオ野生株(WPV)を根絶しましたが、39カ国で国外から持ち込まれたWPVによる感染が発生し、4カ国が再興国となってしまいました。

この報告における新規の事項はなんですか

 世界全体で1,291例の麻痺を伴うWPV感染症例が2010年に報告されましたが、2009年と比較すると19%減少しました。インドおよびナイジェリアでは94%以上減少し、世界全体で報告されたWPV3症例は過去最低となりました。しかし、2011年の1月~3月では、チャド、コンゴ民主共和国、およびパキスタンにおけるWPV症例の数が2010年の同時期よりもかなり増加しており、さらに3か国で新たなアウトブレイクが発生しました。

今後はどのようになりそうですか。

 インドのWPVは2011年に根絶されそうですが、2012年末までに世界中のWPVを根絶することは、現在の傾向からすると困難と考えられます。ポリオ根絶を援助する国およびポリオ常在国の各国政府による迅速かつ積極的な参加や関連する機関の援助が、目的の達成のために必要です。

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