ドイツでの志賀毒素産生性大腸菌のアウトブレイク

ECDC 2011年05月26日

5月22日、ドイツは、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)によって溶血性尿毒症症候群(HUS)と血性下痢が引き起こされている患者の数が、非常に増加していると報告しました。4月末以来、138件のHUS症例が報告されています。STEC感染によって引き起こされるHUSは、通常5歳未満の小児でみられますが、今回のアウトブレイクにおいては、症例の大多数は成人で、うち女性が2/3以上を占めます。2例のHUS患者が亡くなりました。暫定的な診断検査では、血清型O104(志賀毒素2-陽性、eae陰性)が原因となった病原体である可能性が示されています。

アウトブレイクの感染源を調査中ですが、汚染された食品が感染媒体として最も疑われます。現在、生乳や肉がアウトブレイクに関連しているという推定はなされていません。

ほとんどの症例が、北ドイツ(主としてハンブルク、北ローワーザクセン、メクレンブルク- 西ポメラニア)出身者か、そこに旅行したことがある人です。現在、EU加盟国としてスウェーデンだけが、STECとHUS症例の異常な増加を報告しています。そして、ドイツとの感染のリンクが疑われており、調査されています。

これまで、このO157でないSTECのアウトブレイクはドイツに限られていて、ドイツ国外で感染するリスクがあるという証拠は全くありません。感染を起こした媒体を同定することによって、さらにこのリスクを評価することが可能になるでしょう。5月に入ってから以降に、ドイツ国内あるいはドイツに旅行した人の中に、このアウトブレイクにリンクのある可能性がある症例を速やかに同定することが、重症疾患に進行することを防止するために必要不可欠です。

STECは志賀毒素産生性の病原性大腸菌株の1グループです。人に、重症の腸管疾患や全身性疾患を起こす可能性があります。