EHECのアウトブレイクについて

WHO/Europe 2011年6月7日

アウトブレイクはドイツを中心に続いており、特殊な血清型を有する大腸菌の性状とその感染源について調査が続けられています。

溶血性尿毒症症候群(HUS)

6月6日15:00中央ヨーロッパ時現在、ドイツはHUS642症例(うち死亡15例)を報告しており、前日より12人増加しました。68%は女性であり、88%は20歳以上の成人で、人口100,000人あたりの最大の罹患率は、20歳~49歳の範囲に認められます。発症日は、5月1日から6月2日の間です。

腸管出血性大腸菌(EHEC)

6月6日15:00中央ヨーロッパ時現在、1683例のEHEC感染(HUSを呈していないもの)をドイツは報告し(うち死亡7例)、前日より82人増加しました。61%が女性で、88%が20歳以上の成人です。発症日は、5月1日から6月3日の間です。

ロベルト・コッホ研究所は、現在のHUSとEHECの届出データは、血性下痢症で救急外来した患者数のサーベイランスで得られたデータと同様に減少傾向を示していると述べています。しかし、この減少が今後も継続するかどうかはまだ明らかではありません。

その他の国における状況

6月6日18:00中央ヨーロッパ時現在、欧州内では12カ国が合計31例のHUS(死亡1例)と73例のEHEC(死亡例なし)を報告しています。

図.その他の国におけるHUSとEHECの状況

さらに、アトランタのアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、このアウトブレイクに関連する米国内のHUS2症例についてすでに公式発表しています。

1例を除けば、全てのHUSとEHEC症例は、病原体への暴露後通常3-4日間(2-10日の範囲)の潜伏期間においてドイツに渡航したか住んでいた人のものです。実験室で血清型O104:H4あるいはより正確に腸管凝集性ベロ毒素産生性大腸菌(EAggEC VTEC)O104:H4株と確認された例数が増加しています。

感染源については調査中です。

補足

EHECとHUSの届出上の分類は排他的なもので、数字が重複してはならないものです。急激のアウトブレイクの際の数字は暫定的なものであるため、種々の事情により変更されることがあります。

上記の情報を提示するにあたって、WHOは加盟国とテクニカルパートナー(欧州委員会、欧州疾病対策センターや複数のWHOの協力機関)の情報提供に対して謝意を表します。