EHECのアウトブレイクについて

WHO/Europe 2011年6月11日

6月10にドイツ保健衛生当局は、これまでに明らかとなった疫学的調査結果および食品の移動経路の調査結果から豆および芽野菜(コロハ種子(fenugreek)、緑豆(mung beans)、レンズ豆(lentils)、アズキ(adzuki beans)およびアルファルファ(alfalfa)を含む)がドイツ国内のアウトブレイク源であると発表しました。

芽野菜を感染源とする証拠が明らかとなり、新たな勧告が出されました

6月10日に、ロベルト・コッホ研究所、連邦リスクアセスメント研究所(BfR)および連邦消費者保護食品安全事務局(BVL)は共同でこれまでに明らかとなった疫学的調査結果ならびに食品の移動経路の調査結果から豆および芽野菜(コロハ種子(fenugreek)、緑豆(mung beans)、レンズ豆(lentils)、アズキ(adzuki beans)およびアルファルファ(alfalfa)を含む)が特殊な腸管凝集性ベロ毒素産生性の大腸菌(EAggEC VTEC)によるドイツ国内のアウトブレイク源であると発表しました。アウトブレイクはドイツを中心に続いています。

  • ドイツ国内に在住する人は産地に関わらず豆および芽野菜を食べないよう同当局は勧告しました。新たな勧告がなされるまでは、各家庭、食品配達業者および外食産業は現在所有している全ての豆と芽野菜およびそれらに接触した可能性のある全ての食品を廃棄してください。
  • ドイツ北部においてキュウリ、トマトおよび葉野菜サラダを食べないことを旨とする勧告は取り下げられました。
  • 同当局は、感染源とされた豆および芽野菜を生産したニーダーザクセン州の農家の全ての農産物を市場から撤去することを勧告しました。
  • 食品の配達経路等を含む、多種の調査が継続しています。これまでの調査では、感染源とされた農場から豆および芽野菜がドイツ国外へ輸出されたという証拠は見つかっていません。
  • 同当局は、食品を取り扱うとき、便所を使用した後や医療従事者が患者に接触したときは、一般的な衛生手技を徹底することを勧告しています。

BfR、BVLおよびRKIはより詳細な情報を共同で発表しています。

溶血性尿毒症症候群(HUS)

6月10日15:00中央ヨーロッパ時現在、ドイツはHUS773症例(うち死亡22例)を報告しており、前日より14例の症例1例の死亡者が増加しました。68%は女性であり、88%は20歳以上の成人で、人口100,000人あたりの最大の罹患率は、20歳~49歳の範囲に認められます。発症日は、5月1日から6月6日の間です。

腸管出血性大腸菌(EHEC)

6月10日15:00中央ヨーロッパ時現在、2,374例のEHEC感染(HUSを呈していないもの)をドイツは報告し(うち死亡12例)、前日より145例の症例と3例の死亡例が増加しました。60%が女性で、87%が20歳以上の成人です。発症日は、5月1日から6月6日の間です。

6月11日にロベルト・コッホ研究所は過去数日間において届出され、RKIに報告されたHUS/EHEC症例数が減少したことを発表しました。この減少が生野菜の消費量の変化に起因する、または(および)感染源が消滅しつつあることに起因するのかはまだ明らかではありません。しかし、過去に見られていたボランタリーサーベイランスシステムに参加している病院における血性下痢症で救急外来する1日あたりの患者数の絶対的かつ相対的な減少は、6月6日以降は見られません。

その他の国における状況

6月10日現在、欧州内では13カ国が合計36例のHUS(死亡1例)と66例のEHEC(死亡例なし)を報告しています。報告されたHUSは前日より増加せず、EHECは3例増加しています。

さらに、アトランタのアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、このアウトブレイクに疫学的リンクを有する米国内のHUS3症例(確認済み1例と疑い症例2例)とEHEC(HUSを呈していないもの)の疑い症例2例についてすでに公式発表しています。6月7日に、カナダ公衆衛生局は、ドイツ北部への渡航歴があり、ドイツ国内で確認されたO104大腸菌感染症に疫学的リンクを有する、1例のO104大腸菌感染症(HUSを呈していないもの)の疑い症例を報告しました。

感染者が存在する全ての国の患者数を以下の表に示します。

図.感染者が存在する全ての国の患者数

5例を除けば、全てのHUSとEHEC症例は、病原体への暴露後通常3-4日間(2-10日の範囲)の潜伏期間においてドイツに渡航したか住んでいた人のものです。

補足

EHECとHUSの届出上の分類は排他的なもので、数字が重複してはならないものです。急激なアウトブレイクの際の数字は暫定的なものであるため、種々の事情により変更されることがあります。

上記の情報を提示するにあたって、WHOは加盟国とテクニカルパートナー(欧州委員会、欧州疾病対策センターや複数のWHOの協力機関)の情報提供に対して謝意を表します。