ニューサウスウェールズ州Macksville近傍でのヘンドラウイルス感染症発生について。

オーストラリア、ニューサウスウェールズ州衛生局 2011年7月7日

ニューサウスウェールズ州(NSW)第一次産業部(DPI)は、州北中部海岸(Mid North Coast)のMacksville近傍の施設で馬一頭がヘンドラウイルス感染症で死亡したことを受け、この感染症の2例目のアウトブレイクの感染制御活動を行っています(訳注:1例目が6月30日にニューサウスウェールズ州北部海岸のWollongbar近傍で発生しています)。NSW州獣医局長のIan Roth氏によれば、当該施設はすでに検疫下にあり、死亡した馬はすでに埋葬されたとのことです。また、死亡した馬とは別に3頭の馬が検疫下の飼育施設で飼育されているが、いまのところ症状は認められていません。

NSW健康保護局長のJeremy McAnulty医師によると、6名がこの死亡した馬と濃厚接触したため、感染した徴候の有無がモニターされることになっています。また公衆衛生ユニットがこれらの人々に暴露の程度を評価するための聴取を行っています。

Macksvilleの飼育施設は、先週木曜に馬一頭が死亡し、検疫下におかれたWollongbar近傍の飼育施設に続き、州ではヘンドラウイルスによって汚染された2つめの施設となります。現在州では、2つの飼育施設で各一頭の馬が死亡し(1頭はWollongbar近傍で、もう1頭はMacksville近傍)、同じ飼育施設にいた計4頭の馬と、感染した馬に接触した15人が監視下にいることになります。Wollongbarの飼育施設に感染馬と一緒に飼育され、現在も生きている馬は、健康状態が良好であり、ヘンドラウイルス感染のテストは陰性であることがわかっています。また日曜に死亡したMacksville近傍の馬から獣医師が検査用試料を採取しました。採取された試料は、第一次産業部Elizabeth Macarthur農業研究所の研究室で解析され、ヘンドラウイルスによる感染であることが確認されました。問題の飼育施設内外の馬の移動経路について州の獣医官による調査が行われています。しかし、Wollongbarの飼育施設や最近ヘンドラウイルスのアウトブレイクがあったクイーンズランド州への疫学的リンクを有する人や馬の動きはいまのところ確認されていません。感染した馬はイチジクの木が一本立っているパドックの中に収容されており、オオコウモリが感染源である可能性が高いと考えられています。ヘンドラウイルスは、オオコウモリによって拡散され、まれに馬から人に感染します。

ヘンドラウイルスは馬に様々な症状を引き起こします。ヘンドラウイルスに感染すると、急性の発熱を起こし、さらに呼吸器や神経の症状が急激に進行した後に死亡します。飼育している馬がヘンドラウイルスに感染している疑いがある場合には、その馬に近づかないようにし、直ちに獣医師に連絡してください。獣医師は、地元の家畜衛生および害虫駆除担当部局に連絡するか、ヘンドラウイルス感染の疑いが非常に高い場合には、第一次産業部の防疫官に連絡を取ることになります。もし、獣医師に連絡を取ることが困難であり、病気が急速に進行している場合には、緊急動物疾患監視ホットライン(Tel:1800-675-888)に電話連絡を行ってください。

これまでに起こったヘンドラウイルスのヒトへの感染は、感染馬への濃厚な接触を行った場合に限定されています。ヘンドラウイルスがヒトからヒトへ感染することやオオコウモリからヒトへ感染することを示す証拠はいまのところありません。また、馬が病気の症状を何ら示さずに、ヘンドラウイルスを周囲に排泄している可能性もありますので、馬を取り扱う上で適正な衛生的手技を守ることが常に重要です。

NSW州健康局は、ヘンドラウイルスに感染するリスクを減少させるために、次に示す手技を常に守ることをみなさんに勧告いたします。

  • 体に外傷がある場合は馬を取り扱う前に外傷を被覆するか焼灼してください。また、石鹸および流水による手指の洗浄を頻繁に行ってください。特に馬の口や鼻をさわった後(たとえば馬勒(馬の頭部に取り付ける馬具)の着脱時)、食事、喫煙の前や自分の目、鼻および口を触る前には特によく洗ってください。
  • 馬の鼻の周辺にキスをしないでください(特に体調の悪い馬には絶対にしないでください)。
  • 馬の各種体液が体につかないように保護具の着用を行ってください。

州のヘンドラウイルスに関するファクトシートを、NSWのウェブサイトで確認することができます(英語)。

http://www.health.nsw.gov.au/factsheets/infectious/hendra.html

州の第一次産業部は、域内においてオオコウモリに注意し馬に感染するリスクを減らすよう馬の所有者に勧告しました。

  • 餌や水にカバーをかけてください。
  • 樹木の下に餌や水を置かないでください。特に果樹の下は絶対に避けてください。
  • オオコウモリが好む餌を用いないでください。たとえば、リンゴ、ニンジンやサトウキビなどです。
  • オオコウモリが好む花を一時的につける樹木がパドック内に有る場合には、可能であれば、その期間はパドック内で馬を飼育しないでください。
  • パドック外で馬を飼育することが困難である場合、通常夕暮れから夜はオオコウモリの活動的な時間ですので、その時間はパドックから一時的に退去させるようにしてください。

ヘンドラウイルスに関する詳しい情報は次のウェブサイトで確認することができます。

www.agriculture.nsw.gov.au/info/hendra