ウエストナイル熱ウイルスの流行シーズンが始まりました

ECDC 2011年07月29日

蚊の数が増えつつあることから、ヨーロッパ域内のルーマニア、ギリシャ、ロシアでは今年最初の人のウエストナイル熱症例が確認されました。

2011年7月21日、ルーマニア東部(ガラツィ州Galati county)で37歳女性から一人目の神経侵襲性のウエストナイル熱が報告されました。この地域は、過去にウエストナイル熱が報告された地域です。2011年7月27日、ギリシャ保健省は、2010年夏の中央マケドニア地域とラリッサ県(Larissa district)での広域な流行以降の初めて確認症例として、カルディツァ県(Karditsa prefecture)在住の52歳男性の症例を報告しました。この地域はこれまで症例が報告されてない地域ですが、2010年の流行地域に隣接しています。7月22日の時点までに、ロシア(ボルゴグラード州Volgogradskaya oblast)では3例のウエストナイル熱症例が確認されました

EU各加盟国では、これまでウエストナイル熱の報告された地域とリスクが考えられる地域のウエストナイル熱ウイルス流行について監視を強めています。ECDCはEUと隣接国に関するウエストナイル熱ウイルスの流行情報を密接に監視し、このウェブサイトで、ウイルスの流行期間中、地域別のウエストナイル熱確認症例について、毎週最新情報を地図と表で提供します。

人のウエストナイルウイルス感染症の多くは無症状です。3~14日間の潜伏期間の後、臨床例のほとんどではインフルエンザ様の軽度の症状を起こします。しかし、重篤な症例(臨床例1000例中およそ5例)には脳炎、髄膜脳炎あるいは髄膜炎の症状がでることがあります。神経侵襲性の症例の内、死亡率は4~14%ですが、高齢者の場合更に高くなります。

ウエストナイル熱ウイルスは主にイエカ属の蚊に刺されることによって伝播します。虫刺されを防ぐことがウエストナイル熱への最も有効な予防策です。虫除け薬を塗ったり、外出時は長袖を着たりズボンをはいたり、蚊の活発な時間帯は外出を控えるなどの方法があります。蚊の多い地域では、窓や扉にしっかりした網戸をすることで家庭内への蚊の侵入を防ぐことができます。

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