ポリオの世界的状況について(更新)
CDC 2011年08月22日
アメリカや世界の他の多くの地域では、野生型ポリオウイルスに感染するリスクはありませんが、一部の国に行く旅行者はリスクがあります。ポリオは、麻痺や死亡を引き起こす深刻な問題です。以下記載されている国に行く場合、自身の受けたポリオワクチンが最新の状態であるかを確認し、もし、不十分であれば、追加の予防接種を受けておく必要があるでしょう。
以下の国へ渡航する場合、ポリオの追加接種を推奨します
アフガニスタン、アンゴラ、アルメニア、アゼルバイジャン、バングラデシュ、べナン、ブータン、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コンゴ共和国、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ジブチ、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、ガボン、ガンビア、グルジア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、インド、イラン、ケニア、カザフスタン、キルギスタン、リベリア、マリ、モーリタニア、ナミビア、ネパール、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、ロシア連邦、ルワンダ、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、スーダン、タジキスタン、タンザニア、トーゴ、トルクメニスタン、ウズベキスタン、中国の新疆ウイグル自治区、ウガンダ、ザンビア
ポリオについて
ポリオは、喉や腸に感染する病原体により起こる病気です。ほとんどは、感染者の便を介して感染が広まります。また、食べ物や水を介して広がります。主に5歳以下の小児が主に罹りやすいですが、予防接種をしていないどの世代の人にもリスクがあります。
旅行者へのアドバイス
もし、ポリオのリスク国へ旅行する場合、医師に自分のポリオ接種が最新のものであるかご相談下さい。たとえ、小児期に接種あるいは以前ポリオに罹っていても、3タイプのポリオウイルス全てに対して抗体があるか確認したうえで、接種を行う必要があります。もし、小児とともに渡航するのであれば、小児も予防接種を受けているか確認して下さい。
石鹸と水を使って手を洗うことが重要です。もし、両方使えない状況ならば、アルコールベースのハンドジェルを使用して下さい。次の場合は、特に念入りに手洗いをして下さい。
- 後 トイレ使用後、オムツ交換後、咳やくしゃみをするとき
- 前 飲食の際、料理の準備
ポリオや他の病気を避けるために、飲食物を選ぶことが手助けとなります。
- 十分に調理され、熱い状態で出されたものを食べる
- 殺菌された乳製品のみを飲食すること
- 安全な水で洗うことができ、かつ自分で皮をむくことができる果物や野菜だけを食べる
- 煮沸した水やボトルウォーター、密閉された飲料(水や炭酸飲料、またはスポーツドリンクで)のみを飲むこと。水道水、噴水の水、氷を避けること。これらが不可能な場合、水を安全に飲めるようにする方法を学ぶこと。(make water safer to drink)
ヘルスケア専門家の情報
ポリオの予防接種は、ポリオ流行国、ポリオ再興国または最近輸入例のあった国、リスク国に隣接する全ての渡航者に推奨されるものです。
世界ポリオ撲滅イニシアティブ※(GPEI)によると、2006年以降、4カ国(アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタン)が、ポリオが流行地域として残っています。アフリカの追加された4カ国、野生ウイルスを輸入した国(アンゴラ・チャド)または疑わしい国(コンゴ民主共和国、南スーダン)も、2009年半ば時点で12ヶ月以上続いており、再興感染国として指定されています。これは、渡航の準備をする上で、“ポリオ流行国”と同等と考えられます。
しかし、過去24ヶ月に、以下諸国は、野生のポリオウイルスの輸入例または輸入後の再流行のポリオ奨励が報告されています。
アンゴラ、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、チャド、コンゴ共和国、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ガボン、ギアナ、カザフスタン、リベリア、マリ、モーリタニア、ネパール、ニジェール、ロシア連邦、セネガル、シエラレオネ、タジキスタン、トルクメニスタン、ウガンダ
特に、中央・西アフリカは、インドやナイジェリアから野生株ポリオウイルスの輸入感染の後、何度もポリオの流行を経験しています。メッカ巡礼や旅行などによって、中央アフリカを始め、西・東・北アフリカに広がるリスクがあります。
以下の国々は、感染者が出た国の近くにあるため、ポリオウイルス輸入感染のリスクがあり、最近の発生があった国です。
アルメニア、アゼルバイジャン、バングラデシュ、ベナン、ブータン、中央アフリカ、ジブチ、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、ガンビア、グルジア、ガーナ、ギニアビサウ、イラン、ケニア、カザフスタン、ナミビア、ルワンダ、ソマリア、スーダン、タンザニア、トーゴ、ウズベキスタン、中国新疆ウイグル自治区、ザンビア
この最新の告示によって、中央アフリカ・ケニア・スーダンは、輸入リスク国に入り、中央・西アフリカでのポリオ流行として注目されます。
予防接種の推奨~乳幼児と小児
- 予防接種実施に関する諮問委員会(ACIP)は、アメリカ国内の全ての乳幼児と小児は、不活化ポリオワクチン(IPV)を生後2ヶ月・4ヶ月・6~18ヶ月・4~6年の計4回接種を行うことを推奨しています。
- 急ぐ場合、最初の3回の用量の間の最小間隔は4週間であり、3回目と4回目の最小間隔は6ヶ月です。
- IPVは、以前の投与量の数に関係なく、4歳以上で一回追加投与されるべきです。
予防接種の推奨~成人
- 小児期の、OPV、IPVのいずれかを接種され、成人期に追加投与(OPVかIPV)をしていない場合、出発前にIPVを受ける必要があります。
- 有効なデータでは、成人が生涯1回以上の複数の複数のIPV追加接種の必要性を示していません。
- ワクチン未接種・不完全接種またはワクチン接種状況が不明の渡航者は、IPVの3回接種すべきです(2回目の投与まで4~8週空けた後接種、3回目の接種は6~12ヶ月をおいて接種)。(SeeChapter 2, Poliomyelitis,CDC Health Information for International Travel2010,for details.)
更なる情報
ポリオは、ウイルス感染省で人から人に広がります。主に5歳以下の小児が影響を受けます。
ポリオは、ウイルスが感染した人(例えば、オムツを替えると、口に触れる前に手を洗わないことによって)の便に触れたり、または食べ物や飲料水を介して経口感染で広がることがあります。ほとんどの人は、ポリオウイルスに感染しても症状はありませんが、一部の人は、麻痺や死を引き起こすことがあります。1950年代までは、ポリオは、先進国の小児は何千人も不自由を強いられてきました。1950年代後半(IPV)と1960年代(OPV)の効果的なワクチンの導入後、ポリオは、制圧され、実質的に先進国における公衆衛生上の問題として排除されるようになりました。
OPVは2000年以降アメリカで使用されていませんが、他の多くの国々で使用されており、世界の大部分からポリオをなくすことに大きな役割を果たしてきました。筋肉内注射で投与されるIPVは、現在、米国や他の先進国で使用されています。
さらなる情報は、以下をご参照ください。
Poliomyelitis(CDC Health Information for International Travel2010)
Polio Vaccination(CDC's National Center for Immunization and Respiratory Diseases)
Immunization Schedules(CDC's National Center for Immunization and Respiratory Diseases)
Global Polio Eradication Initiative
※世界ポリオ撲滅イニシアティブは世界保健機構(WHO)、国際ロータリー、国連児童基金(ユニセフ)、米国疾病対策予防センター(CDC)、国立保健省、および他のパートナーで構成されています。