台湾におけるデング熱の流行状況

2011年10月26日台湾CDC(原文〔英語〕へのリンク

2011年10月25日、台湾CDCは今年2番目と3番目となるデング出血熱による死亡例を発表しました。
2番目の死亡例はKaohsiung市(高雄市)Sanmin区(三民区)Shimei村の66歳の女性で、デング熱ウイルスの血清型は2型でした。この症例は1989年にデング熱に罹患し、糖尿病の既往がありました。10月19日に発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛を伴い発症しました。

クリニックを受診後も症状は持続したため、更なる治療のため病院へ転送され、入院しました。出血傾向が出現したため、デング出血熱として保健当局に報告され、後に確定されました。しかし治療の甲斐なく10月24日に、呼吸不全か多臓器不全で死亡しました。

3番目の死亡例は、Pingtung県(屏東県)Donggang Township(東港鎮)Chengyu村の64歳の男性で、ウイルスの血清型はわかっていません。この症例は高血圧と慢性腎疾患の既往がありましたが、過去にデング熱に感染したかどうかはわかっていません。10月16日に発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛を伴い発症しました。クリニックを受診後も症状は持続したため、更なる治療のため病院へ転送され、入院しました。出血傾向が出現したため、デング出血熱として保健当局に報告され、後に確定されました。しかし治療の甲斐なく10月23日に、呼吸不全か多臓器不全で死亡しました。

台湾CDCは、発熱、頭痛、倦怠感、後部眼窩痛、筋肉痛、関節痛などのデング熱が疑われる症状がみられた場合速やかに受診すること、そして診断の促進につながるよう最近の渡航歴や既往歴(受診歴)等何でも医師に伝えることを国民に勧めています。加えて、台湾CDCは、最近の渡航歴や病歴について患者に問診することで、デング熱疑い症例に対し、警戒して診るよう医師に要請しています。

台湾では今年の夏以降、国内発生のデング熱と確定された症例数の合計は457に達しており、症例のほとんどは高雄市Lingya区(苓雅区)に居住しています。加えて、高雄市Lingya区(苓雅区)に隣接する高雄市Sanmin区(三民区)でも継続的に増加しています。さらに、国内発生のデング熱症例の地理的な集団発生がTaipei市(台北市)、Penghu県(澎湖県)、Tainan市 (台南市)、Pingtung県(屏東県)で報告され、散発的な発生がTaichung市(台中市)、New Taipei市(新北市)で報告されています。また、今年の夏以降、デング出血熱の症例数は合計6例(うち3例が死亡)です。

台湾CDCはまた、過去にDEN- 1、DEN- 2、DEN-3、DEN- 4の集団発生が同時に起こり、DEN- 1、DEN- 2、DEN-3、DEN-4が流行していたことも指摘しています。デング熱の患者が以前り患したデング熱ウイルスと異なる型に感染した場合、その患者がデング出血熱の症状を発症する確率は上がります。したがって、デング熱の流行が大きくなるにつれて、デング出血熱の流行する可能性も高くなると思われます。
台湾で報告されたデング熱症例数が警戒すべき割合に到達すれば、台湾CDCは国民へ再び警戒を呼びかけ、効果的にデング熱の広がりを防ぎ、自らや家族の健康を守るために蚊刺されを防止するだけでなく、水の入った容器を排水し、家屋周辺のベクター繁殖地を一掃する等の必要な措置を講ずるよう要請しています。

出典

台湾CDC(原文〔英語〕)
Taiwan CDC urges physicians and public to stay vigilant against dengue fever as deaths from dengue hemorrhagic fever occur
http://www.cdc.gov.tw/ct.asp?xItem=36071&ctNode=960&mp=5