ブタ由来インフルエンザA(H3N2)ウイルス感染の追加症例について(2)

2011年11月7日 CDC(原文〔英語〕へのリンク

CDCは新たに2例(第6症例、第7症例)のブタ由来インフルエンザAH3N2ウイルス患者(2009年H1N1ウイルスのM遺伝子を持つ)を確定診断しました。この症例はメイン州とインディアナ州から報告されました。現時点でこの2症例間にリンクの証拠はなく、またこれらの症例からのヒト-ヒト感染も認められていません。両症例とも発症前にブタとの接触が報告されています。ブタインフルエンザウイルスのヒト感染はまれですが、起こりえます。ほとんどの症例で感染したブタとの接触に関連があります。

2009年から2010年パンデミックの原因である2009H1N1ウイルス由来のM遺伝子を持つブタ由来インフルエンザA(H3N2)ウイルスは2011年7月に初めてインディアナ州の小児で確認されました。続いて同じ遺伝子変異を持つブタ由来インフルエンザA(H3N2)ウイルス感染がペンシルベニア州の3症例(症例2から症例4まで)で確定診断されました。5症例目は10月にメイン州で確認されました。これら最初の症例は、ブタ接触のあった看護者との接触があった1例を除き、全て直接ブタとの接触がありました。

M遺伝子の獲得はブタインフルエンザA(H3N2)ウイルスと人の2009H1N1ウイルスとの同時感染の結果起こったようです。(この再集合のプロセスについての図解がhttp://www.cdc.gov/media/haveyouheard/stories/lab_testingbigimg.html.)で確認できます。
インフルエンザウイルスの感染、集合、複製におけるM遺伝子の役割についてはわかっていますが、現時点ではブタ由来インフルエンザA(H3N2)ウイルスにおけるこの変異の意義についてはわかっていません。CDCはこの遺伝子変異の影響について研究を続けています。

ブタ由来インフルエンザA(H3N2)と確認された直近の両症例は、発症前一週間以内に生きているブタとの密接な接触がありました。両者とも回復しています。これらのブタインフルエンザウイルスとヒトインフルエンザA(H3N2)ウイルスは大変異なったものなので、季節性のインフルエンザワクチンは、ブタインフルエンザウイルスを予防する効果はないと思われます。ヒトをブタ由来インフルエンザウイルスから防御するワクチンはありませんが、FDA認可の治療薬が2種類あり、これらのウイルスによる疾患を治療することができます。ヒトの季節性インフルエンザウイルス感染症の治療薬であるオセルタミビルとザナミビルはブタ由来インフルエンザウイルスに対しても効果があることが示されました。

この報告書で2005年以来米国ではブタ由来インフルエンザAウイルス感染例は合計28人となり、このうち15人はブタ由来インフルエンザA(H3N2)ウイルスに感染しており、そのうち7例は2009H1N1ウイルス由来M遺伝子を持つH3N2ウイルスでした。

ブタはブタ、ヒト、鳥インフルエンザを含むインフルエンザウイルスに感染しそれを伝搬します。インフルエンザウイルスに感染したブタはヒトがインフルエンザに罹患したときと同じような症状、咳、食欲低下、鼻水、無気力などがみられます。

CDCはヒトでの新型のインフルエンザウイルス(ブタインフルエンザウイルスを含む)感染の全てを、国際保健規則(IHR)の一部としてWHOに報告することが求められています。またCDCは毎週インフルエンザサーベイランス報告であるFluViewへこのような症例を報告しています。新型のインフルエンザウイルスによるヒト感染例の大部分は、ヒト-ヒト伝搬はしませんが、このような症例は充分に調査しヒトの間で広がらないように、もし感染した動物が同定できたならばその感染動物がさらにヒトへ接触しないようにすることが重要です。

出典

CDC:CDC Confirms the6th and 7th Cases of Swine-Origin Influenza A H3N2Virus with2009 H1N1 M Gene
http://www.cdc.gov/media/haveyouheard/stories/H3N2_virus2.html

参考

最新ニュース:2011年9月5日
豚由来インフルエンザA(H3N2)ウイルス感染が2児で確認されました。