世界におけるインフルエンザ流行状況(6)

2011年11月18日 WHO(原文〔英語〕へのリンク

要約

  • 北半球の温帯地域の国々ではインフルエンザの活動性は低いかほとんど認められていませんが、カナダのアルバータの高齢者施設でインフルエンザA(H3N2)の流行が最近みられました。
  • 熱帯地域の数カ国で活発なインフルエンザ活動性が報告されています。アメリカ大陸のニカラグア、中央アフリカのカメルーン、東南アジアのカンボジアで報告されています。
  • 南半球温帯地域での伝搬はシーズンオフレベルに戻りましたが、オーストラリアのいくつかの地域でA(H3N2)が続いています。

北半球の温帯地域

この地域の国々ではまだインフルエンザシーズンは始まっていませんが、2~3地域での活動が報告されています。この地域の多くの国々でこの数週間インフルエンザ活動性は低いか認められていません。第44週、カナダのアルバータ州カルガリーの高齢者施設でA(H3)の発生が報告されました。カナダではこのシーズン初めての流行報告です。ヨーロッパでは、フランス、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、チェコ、ロシア西部の一部を含む多くの国々で散発的なインフルエンザ活動が報告されていますが、その地域でその活動に伴うインフルエンザウイルス検出の増加はありません。

熱帯地域

アメリカ熱帯地域;ニカラグアを除き全般的に低レベルでの伝搬が報告されています。ニカラグアでは9月下旬からA(H1N1)pdm09検出数が急増しています。最も報告患者数が多いのは首都マナグアで、14人がH1N1pdm感染で入院しました。同国でのA(H3N2)の報告はごくわずかです。エルサルバドルでのH3N2伝搬は低レベルまで減少し、ホンジュラスでは9月にピークに達したあと低レベルまで減少しました。

サハラ以南アフリカ;カメルーン以外の国では伝搬は全般的に低レベルのままです。カメルーンではB型の伝搬が6月に始まり9月上旬にピークに達しそれ以降減少していますが、これと対応してインフルエンザ様疾患患者(ILI)数が増加してきています。B型の6週間後にH1N1pdmの伝搬が始まり現在ピークに達し、同時にH3N2の検出が増加しています。特にカメルーンの定点サーベイランスで報告されるILI症例の75%以上は5歳以下の小児です。

アジアの熱帯地域;伝搬は限られた地域で活発です。カンボジアとラオスでは、H1N1pdmとB型との混合伝搬(カンボジア)や、H1N1pdm(ラオス)の伝搬が10月下旬に高レベルで報告されています。カンボジアでは定点でのILI症例の65%が検査陽性で、最多はB型(60%)とA(H1N1)pdm09、わずかにA(H3N2)が検出されています。ベトナムでは対照的にH1N1pdmの伝搬報告が年間を通して続いていますが、6月にわずかに底を打ったようです。南アジアの他の国ではわずかにH3N2とB型が報告されています。

南半球の温帯地域

南米;インフルエンザの活動性はシーズンオフレベルまで減少しインフルエンザシーズンは大部分の地域で終了したようです。伝搬報告はないか低レベルです。

南アフリカ;南アフリカではA(H1N1)pdmに引き続き、8月下旬から10月下旬にB型とA(H3N2)ウイルス伝搬が2回目のピークに達しました。これは重症急性呼吸器感染症(SARI)の患者数とウイルス検出率の調査の際に明らかになりました。全てのインフルエンザウイルスの伝搬はその後低レベルまで減少しています。

オーストラリア、ニュージーランド、南太平洋;オーストラリア、ニュージーランドではインフルエンザ活動性は現在シーズンオフのレベルですが、オーストラリアでは低レベルでのH3N2の伝搬が続いています。

出典

WHO:Influenza update18November2011Update number147
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_surveillance/en/index.html