世界におけるインフルエンザ流行状況(8)

2011年12月16日 WHO(原文〔英語〕へのリンク

要約

  • 北半球の温帯地域の国々ではインフルエンザの活動性は低いですが、カナダ、アメリカ合衆国、ヨーロッパの数カ国で散発的な発生が報告されました。
  • 熱帯地域では、アメリカ地域のコスタリカでインフルエンザA(H3N2)、中央アフリカのカメルーンではA(H1N1)pdm09とB型が最近ピークに達し、その後A(H3N2)の伝播が見られる以外はほとんどが低レベルでの活動性です。
  • 南半球温帯地域での伝播はシーズンオフレベルです。

次回の報告は2012年1月6日です。

北半球の温帯地域

この地域の国々ではインフルエンザの散発的な活動性が報告されていますが、季節的な(流行)閾値を超えた国は未だありません。カナダでは限局した活動性が8地域で報告され、3つのインフルエンザまたはインフルエンザ様疾患(ILI)の発生と3人のインフルエンザ関連入院が報告されました。米国全体ではILIの受診は基準値以下で、検体のインフルエンザ陽性率も2%未満です。散発的にインフルエンザA(H3N2)とB型が検出されています。ヨーロッパでのILI受診率は低いままですが、9ヶ国で増加傾向が報告されました。定点報告の検体の1.8%のみがインフルエンザ陽性でした;A(H3N2)が最も多く検出されました。中国北部では前週と比較するとわずかにインフルエンザの活動性が増加してきておりB型が優勢です。

熱帯地域

アメリカ熱帯地域;カリブ海地域、中米のほとんどでインフルエンザの活発な伝播は報告されていませんが、コスタリカではインフルエンザA(H3N2)の検出が増加し続けています。

サハラ以南アフリカ;カメルーン以外の国ではインフルエンザウイルスの検出は散発的な報告のみです。カメルーンではB型の伝播が6月に始まり9月上旬にピークに達しそれ以降減少しています。B型の6週間後にA(H1N1)pdm09の伝播が始まり11月上旬ピークに達し、同時にA(H3N2)の検出が増加し現在ピークに達しているようです。シエラレオネでは最近インフルエンザサーベイランスが始まり、8月下旬にA(H3N2)の伝播のピークに達したようです。ケニアでは1年を通してインフルエンザウイルスが検出され、現在はA(H3N2)が優勢でわずかにA(H1N1)pdm09とB型が報告されています。

アジアの熱帯地域;全体的な活動性は低く、限られた地域での伝播が活発です。インドでは9月からB型インフルエンザの循環が報告されています。ラオスでは11月20日-26日の88検体のうち11検体でA(H3N2)陽性でした。タイで以前報告されたA(H3N2)伝播は現在非常に低レベルでウイルスが検出されています。南アジアの他の国々ではA(H3N2)とB型インフルエンザの両方でわずかな報告が続いています。

南半球の温帯地域

南米;インフルエンザの活動性はシーズンオフレベルまで減少しています。パラグアイとチリでわずかなインフルエンザA(H3N2)が報告されています。

南アフリカ;この地域でのインフルエンザの検出は非常に低レベルです。

オーストラリア、ニュージーランド、南太平洋;オーストラリア、ニュージーランドではインフルエンザ活動性は現在シーズンオフのレベルです。オーストラリアでは昨年みられたように、シーズンオフの低レベル活動期にB型とA(H3N2)がわずかに確認されています。太平洋諸島では米領サモア、フィジー、マーシャル諸島、北マリアナ諸島で活動性が継続しています。

出典

WHO:Influenza update16December2011Update number149
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_
surveillance/en/index.html