デング熱流行状況-アメリカPAHO(更新8)

2012年4月4日(第14週 表), 3月28日 PAHO

デング熱流行警報

汎米保健機関PAHO/WHOは加盟国地域(特に中米とカリブ地域)に対して2012年後半にデング熱流行の大きな危険性があるので、デング熱による死亡を防止するための対応の準備と統合的な態勢を構築するよう勧告します。

デング熱と重症デング熱は、依然として、アメリカ地域の公衆衛生にとって重要な課題です。過去2年間、デング熱の流行を抑え、軽減するという各国地域の努力にもかかわらず、地域内の数か国では症例数と死亡数の歴史的記録を更新しました。実際、2010年はアメリカ大陸の歴史の中で、年間症例数が最も多い年で、169万人の患者と1,185人の死亡者が出ました。

2011年は、104万人のデング熱症例と719人のデング熱による死亡者が報告されました。

2012年は、ボリビア、コロンビア、エクアドル、スリナムでデング熱の発生が報告されました。ボリビアでとスリナムでは2011年の年末から症例増加が報告されました。さらに、前述の地域内の他の国では流行閾値には達していませんが、常在地域での発生が報告されています。

特に2012年、ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルーを含むいくつかの国々は洪水に見舞われ、デング熱の予防対策と制御活動を進めています。

この警報の目的は参加国地域の保健省へ、各地域間の統合的な行動を通してその努力を増強し、流行対策計画を開始するよう呼びかけるものです。この対策計画は、生命が奪われ、デング熱によって保健サービスへ過重な負担がかかるのを防ぐためのものです。

PAHO/WHOは、2011年の流行警報で出した勧告を繰り返します。特に、罹患率と死亡率を減少させることを目標にすることを強調し、同時にデング熱の流行による社会的経済的な影響を減少させることを目標にします。

勧告

PAHO/WHOは患者の治療、社会広報、環境管理、ベクターコントロールに焦点を当てた対策を同時に実行するよう勧告します。これらの対策を同時に実行することで効果が高まり、結果が出るまでの時間を短くすることができます。

患者治療

  • PAHO/WHOが地域内へ配布した新しいデング熱の症例管理マニュアルを参考にして下さい。そのマニュアルは訓練研修会でも使用できます。
  • 患者やその家族に対し疾患や危険な症状を見分けるのに必要な情報を提供するため、最初の症状が出た時に近くの保健センターで医療を受けるための保健教育戦略を強化して下さい。
  • プライマリケアレベル、またはそれ以上のレベルで患者の治療方針を決定する医療従事者の継続的な訓練を行い、早期発見と危険な症状が検知できるようになり、適切適宜の治療が行えるようにして下さい。
  • 保健医療サービスを組織して、デング熱の危険兆候のある患者、妊婦、基礎疾患のある患者、または特定の社会的環境に住む(保健サービスを受けることが困難な地域で独居している)患者を至急病院やデング熱の治療センターへ紹介し、適時に治療を受けられるようにして下さい。患者ケア組織は患者が増加したとき、サービスを拡大することができる可能性も含めるべきです。
  • 軽い症状から死亡することもある重症な合併症も含め、総括的なデング熱の治療を対象にして下さい。

社会広報

  • 地域レベル、国レベルでのリスクコミュニケーションと社会的動員を含めた計画を策定、修正、実施して下さい。
  • 政策立案者や市民社会団体と共に支援運動を展開し問題への注意喚起をはかり、各地域間の対応の協調を促進して下さい。
  • デング熱のリスクに対し、地域におけるデング熱の社会的決定因子の解決を目的とした計画を実行して下さい。
  • 教育的な方法論で、また流行時への備えのリスクコミュニケーションとして保健従事者を訓練して下さい。
  • 国内でデング熱の警報が出された時に統合的な対応をするために、研究所間、地域間の委員会を組織して下さい。

環境管理

  • 共有地でのベクター繁殖地を以下の方法で除去して下さい。
    1. 1.各家庭や近所や市の公共エリアの環境計画
    2. 2.特に長期間にわたってゴミ収集が中断されている場所での(繁殖地を除去する)集中的な衛生キャンペーンの計画
    3. 3.コミュニティを積極的に巻き込んで、物理的、生物学的、化学的方法での繁殖地制御の実施
  • 初期環境管理を行うことで、各家庭やコミュティで起こる環境問題に対して継続的に対応して下さい。これにはコミュニティ意識、国民参加、地域の環境政策における継続した改善を達成するさらなる働きかけを含んでいます。

デング熱流行状況

第14週に報告されたアメリカ各地域の状況は下表のとおりです。

デング熱流行状況

出典