米国で発見された変異型のインフルエンザA型(H3N2)ウイルスについて(更新3)

2012年8月10日 CDC(原文〔英語〕へのリンク

2011年8月から12月にかけて、米国ではインフルエンザA(H3N2)の変異型ウイルス(H3N2v)に感染した患者が12人確認されています。H3N2vは、インフルエンザA(H1N1)09pdm由来のM遺伝子を持っており、この遺伝子があることで、他の変異型のインフルエンザに比べて、人に感染しやすくなっているかもしれません。このウイルスは、多くの州の豚からも検出されています。人の感染者を調査した結果、豚に接触した後に感染したほか、限定的な人‐人感染によって感染したことが明らかになっています。2012年4月には、小児のH3N2v感染者が1人報告されました。また、7月上旬にも、複数のH3N2v感染者が確認されました。それを受けて、CDCは8月3日に、健康に関する勧告を出し、電話説明会を開催しました。

人での散発的な発生や地域的な集団感染は、今後も継続して発生する可能性があります。持続的に人‐人感染が起こっている証拠はありませんが、すべてのインフルエンザウイルスは変異をする能力があり、このウイルスが広範囲に広がる可能性があります。これまでのところ、このウイルスに関連した疾患の重症度は季節性インフルエンザと同様です。少数の血清学的な調査によれば、成人はこのウイルスに対して既に免疫を持っているかもしれませんが、小児には免疫がありません。米国CDCは、このH3N2vを含む新たなインフルエンザウイルスによる感染を注意深く監視しており、適時に情報提供しています。

2012年8月10日に公表されたCDCの情報によりますと、2011年8月以降、米国でのH3N2vの感染者数は166人です。

州別のH3N2v報告数 2011年の感染者数 2012年の感染者数
ハワイ 1
インディアナ 2 120
イリノイ 1
アイオワ 3
メイン 2
オハイオ 31
ペンシルバニア 3
ユタ 1*
ウエストバージニア 2
合計 12 154

*ユタ州の感染者は2012年4月に発生しており、最近の感染者ではありません。

季節性インフルエンザの予防と同様に、いつも、手洗いや咳エチケットなどの衛生習慣を実行することが重要です。小児、妊婦、65歳以上の高齢者、免疫抑制状態にある人は、動物が周囲にいる時には、特に注意が必要です。豚との濃厚接触がある人は、豚と人との間にインフルエンザが伝播するリスクを減らすために手指衛生や咳エチケットなどの感染予防対策が勧められます。可能であれば、病気のようにみえる動物や病気の動物との濃厚接触を避けるべきです。また、インフルエンザのような症状が出た人は、豚との接触を避けるべきです。

出典

CDCInformation on Influenza A(H3N2)Variant Viruses(“H3N2v”)(2012年8月10日更新)http://www.cdc.gov/flu/swineflu/influenza-variant-viruses-h3n2v.htm

参考

FORTH 最新ニュース

米国で発見された変異型のインフルエンザA型(H3N2)ウイルスについて(更新2)
(2012年8月10日)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2012/08101410.html

米国で発見された変異型のインフルエンザA型(H3N2)ウイルスについて(更新1)
(2012年8月6日)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2012/08061321.html

米国で発見された変異型のインフルエンザA型(H3N2)ウイルスについて
(2012年7月26日)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2012/07261538.html

限定的な新型インフルエンザA(H3N2)ウイルスのヒト-ヒト感染(アイオワ州、2011年11月)
(2011年11月25日)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2011/11251635.html