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米国で発見された変異型のインフルエンザA型(H3N2)ウイルスについて(更新4 :現時点でのまとめ)

※ 以下の情報は、米国CDCが米国在住者向けに提供している情報をまとめたものです。

変異型のインフルエンザA型ウイルス(H3N2)vについて

● 豚の間で伝播しているインフルエンザウイルスは、通常は、人に感染しませんが、散発的に人に感染することがあります。

 このウイルスによって人での感染が起こった場合、そのウイルスは“変異型(variant )”ウイルスと呼ばれます。亜型の後ろに変異型を意味する“v”をつけて表記されます。

 豚の間で伝播しているインフルエンザA型(H3N2)ウイルスは、人から人に感染する季節性のインフルエンザウイルスとは異なります。このウイルスが人に感染した場合に、変異型インフルエンザA型ウイルス(H3N2)vと呼ばれます。

 2011年に、インフルエンザA(H1N1)pdm09 ウイルス由来のM遺伝子を持った新しいインフルエンザA型(H3N2)vウイルスが検出されました。

 このH3N2vの人への感染は散発的に発生しています。

● ほとんどの感染者は、豚に接触した後に発症しています。調査の結果、限定的なH3N2vの人-人感染も発生したと考えられていますが、これまで、人-人感染が持続したり、H3N2vの伝播が地域の中で効率的に続いたりした事例は確認されていません。

 米国農務省の豚インフルエンザのサーベイランスによりますと、M遺伝子を持った豚のH3N2ウイルスは米国内のかなりの州で検出されています。このウイルスは、現時点では、米国の豚の間で広く流行している可能性があります。

 H3N2vは、このM遺伝子があることで、人に感染しやすくなっている可能性があります。

疫学

● CDCは、毎週金曜日に感染者数の更新情報を公表しています。また、最近、H3N2v感染者の報告手続きを変更 しました。

● 2012年8月10日、CDC は今年のH3N2v感染者が154人になったと公表しました。インディアナ州(120人)、オハイオ州(30人)の感染者が多くなっています。

● 現在、米国内では、多数の農業フェアが開催されており、今年、これまでに行われた調査によりますと、H3N2vに感染した豚に直接接触したことが主な感染原因となっています。感染者のほとんどが、農業フェアと疫学的な関連があり、展示された豚を見に行ったか、豚小屋に立ち入った人でした。

● 現時点では、地域での持続した人-人感染の広がりは確認されていません。

 CDCが行っている季節性インフルエンザのサーベイランスでは、インフルエンザの活動性は増加していません。

● 人から人に広範囲に感染が拡大しているわけではありませんが、CDCは状況を注視しています。

● このウイルスに感染した場合の重症度は、季節性インフルエンザの重症度と同様です。感染者のほとんどは小児で、軽症であり、数日間のうちに自然に治っています。

 少数の血清学的な調査によれば、成人はこのウイルスに対して既に免疫を持っているかもしれませんが、小児には免疫がありません。

臨床像

 H3N2vの感染による症状は、季節性インフルエンザと同様で、発熱、咳、咽頭炎、鼻汁、筋肉痛です。小児では、嘔吐と下痢の症状も報告されています。軽症の場合には発熱がないこともあります。

● 症状の持続期間は約3日~5日です。

● H3N2vの複製周期や感染性期間は明らかになっていません。

診断・治療

● 臨床症状からは、季節性のインフルエンザA型やB型による感染や、インフルエンザ様疾患を起こすウイルス感染症と鑑別することはできません。このため、現時点では、発症前1週間の豚との疫学的な関連がある(豚と接触したり、豚のいるところに立ち寄ったりした後に発症したか、その発症した人の接触者である)ことがH3N2v感染を疑う重要なポイントです。豚との疫学的関連があるインフルエンザ様疾患の患者は、H3N2vに感染している可能性があります。

 H3N2vの感染は、米国で承認されているインフルエンザの迅速診断キットで検出できる場合もあれば、検出できない場合もあります。迅速診断キットで検査した結果が陰性であっても、H3N2vや他のインフルエンザウイルスの感染を除外することはできません。また、結果が陽性であっても、亜型を区別することはできません。H3N2vに感染している疑いのある患者を診察した場合には、検査の結果にかかわらず、呼吸器検体を採取し、州の検査施設に送付することが必要です。

● 季節性インフルエンザに感染して重症化するリスクの高い5歳未満の小児、妊婦、65歳以上の高齢者、基礎疾患(喘息、神経疾患、慢性肺疾患、心疾患、血液疾患、糖尿病や高度肥満症などの内分泌・代謝疾患、腎疾患、肝疾患、免疫不全疾患など)がある場合には、H3N2vの感染でも同様にリスクが高くなると考えられています。

● インフルエンザの合併症が起こるリスクの高い人で、H3N2vに感染したと疑われる人やH3N2vへの感染が疑われる入院患者には、できるだけ早期に抗ウイルス薬を投与すべきです。H3N2vは、オセルタミビルとザナミビルに感受性があります。

予防

● H3N2vに特異的なワクチンはありません。季節性インフルエンザワクチンでは、H3N2vの感染を予防することはできません。

 咳エチケットや手洗いなどの日常的な衛生対策を行ってください。また、目、口、鼻を触ることは避けてください。病気の人との濃厚接触は、できるだけ避けてください。

● 米国では、毎年、何千ものフェアが開催されており、豚の展示はよく行われています。豚と人の間のインフルエンザウイルスの感染を予防するため、次のことに留意してください。

  特に、動物に接触する前と、動物に接触した後にはきちんと手を洗ってください。
 ・ 動物がいる場所での飲食は控えてください。
  前述した、インフルエンザに感染して重症化のリスクのある人は、豚との接触や豚小屋への立
  ち入りを避けることを検討してください。
  病気にかかっているように見える動物を見たら、獣医師に連絡をしてください。
  病気の動物との接触は、できるだけ避けてください。
 ・ インフルエンザの症状があるときには、豚との接触を避けてください。

病気になった時の対応について(米国の国民向け)

● 豚と接触した後に、発熱などのインフルエンザ様の症状が出て、医療機関を受診する場合には、医師に豚と接触したことを伝えてください。

● 処方された薬は、指示通りに服用してください。

● 症状がなくなるまで、学校や仕事は休んでください。

参考

CDC  Information on Influenza A (H3N2) Variant Viruses (“H3N2v”)
 http://www.cdc.gov/flu/swineflu/influenza-variant-viruses-h3n2v.htm

CDC  Fact Sheet: Protect Yourself Against H3N2v
 http://www.cdc.gov/flu/swineflu/h3n2v-factsheet.htm

CDC  Interim Information for Clinicians about Human Infections with H3N2v Virus
 http://www.cdc.gov/flu/swineflu/h3n2v-clinician.htm

CDC  Interim Guidance for Influenza Surveillance: Additional Specimen Collection for Detection of Influenza A(H3N2)v Virus Infections
 http://www.cdc.gov/flu/swineflu/h3n2v-surveillance.htm

CDC  MMWR  Early Release  August 10, 2012
Evaluation of Rapid Influenza Diagnostic Tests for Influenza A (H3N2)v Virus and Updated Case Count — United States, 2012
 http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm61e0810a1.htm?s_cid=mm61e0810a1_w